今日は、ニューヨークで利用できる、メトロカード、というプリペイドのカードのことをご紹介しようと思います。
これが1枚あれば、マンハッタンやブルックリンでのバスや地下鉄移動で使えます。(高速バス以外) おおよそ、日本で言う、SuicaとかPASMOのようなものです。ただ仕組みが日本のそれよりシンプル。
最初に20ドルぐらい入れておいて、マンハッタンではバスも地下鉄も、どこまで行っても2.9ドル(約440円)で、この乗車運賃を1回ごとに差し引いてくれるものです。
カードの購入方法は、地下鉄ブースに行き、新しくメトロカードを購入すれば良いだけです。カード代が1ドル、新規カードにつき上乗せされます。使用期限があるので、それは確認しておくと良いと思います。通常購入日より1年です。
もうずいぶんと前のお話になりますが、このメトロカードが出る前は、ニューヨークの地下鉄はトークンと呼ばれる小さな5円玉のようなコインを使っていました。
いまだに使用されている、ガタガタギーギー言ってすぐ故障するので有名なニューヨークの地下鉄改札口の回転ゲートは、何しろ100年前にできたものです。
この地下鉄用のトークンを1個回転ゲートに入れると、1回転できて、人が入場できる、という、遊園地の入り口にあるようなものです。そのトークンを、窓口にいる人に自分が何個欲しいか言って、購入するのでした。11個入りだと、小さなビニールの袋に入れて封がしてあって、10個の値段で買えます。つまり、10個以上、10個の単位で買えば、1割引なんですね。前述した通り、ニューヨークの地下鉄はどこまで行ってもトークン1個で良いのですから、旅をするものにとっては、とっても強い味方でした。
そんなトークンを使っていた時代から後、1997年、このメトロカードと言うプリペイドカードが出てきました。今まで危険で有名だったニューヨークの地下鉄駅に、なんと自販機が登場したのです。
ニューヨークは未だ街中どこを探しても、日本のような飲み物などの自販機はありません。それは、当時、お金の入ったマシーンを街角に置いておいたら、あっという間にその自販機が叩き壊されて、お金を取られるのが誰の目にも明らかだったからです(笑)。
その当時、公衆電話と言うものがありましたが、それも半分以上が叩き壊され、お金がとられていました。そんなニューヨーク。ずいぶんと近代的な都市になったものです。
そのメトロカード自動販売機が置かれたときには、ずいぶんいろんなハッカーが、そのお金を盗もうと画策していました。私も目の前で、子供たちが何かをこの自販機に仕掛けて、購買者のお金を盗もうとしていたのを見たことがあります。
単にメトロカードの出口のそばにくちゃくちゃ噛み終えたガムを貼っておくとか、そんなシンプルなことなのですが。カスタマーはお金を入れたのにメトロカードが出てこない、となるのですが、カスタマーの目からは見えないところで、メトロカードがガムで引っかかっているわけです。
それでカスタマーが駅員さんのいる地下鉄ブース(切符売り場)に文句を言いに行っている間に、出てきたメトロカードを取って逃げる、と言うような、ほんとにばかばかしいような手口の詐欺ですが、そんなことから始まって、ずいぶんあちこちの駅でやられていたと思います。そして改良に改良を重ねて、今のマシンになったんだと思います。
その自販機導入に伴い、ちょくちょく上がっていたトークンの値段も、また上がりました。でもその代わり、それを使うと、地下鉄とバスを1度に乗り継げば、1回分の料金で良いということが発表されました。以前は、乗り継ぐたびにトークンを払わなければいけなかったのです。デジタルの恩恵、と我々は喜びました。
そして、シニア料金というのが発表されました。なんと65歳以上、それから身体障害者や、収入の少ない人も、半額のメトロカードを購入することができるそうです。裏に個人の写真や、細かな情報が記載されたスペシャル・パスです。
病院の証明書や、収入証明等色々ペーパーワークの必要性はあるようですけれども、ディスアビリティのある人々が半額で済むと言うのは、これは良いことです。
現在の地下鉄料金は2.9ドルですから、(約440円)、1回乗ればどこまでも行けるのですけれども、仕事に行って帰ってくるだけで1日約880円かかってしまいますから、この交通費は決して安いわけではありません。
そして最近は「オムニ」と言うのも推奨されています。スマホとバンクカードを結びつけたもので、それがメトロカードと同じ役割をします。日本は進んでいるので、日本の皆さんは既に通勤などに「お財布ケータイ」、お使いかもしれませんね。
デジタル化が進んでいく時代となりましたね。以前は、ますます便利になると良いことばかり頭に浮かんできましたが、最近は、なんだかネガティブなことも心に浮かんで来始めました。
携帯がお財布と同じようになると言うのですが、まだその仕組みがよくわかっていません(笑)。携帯を取られたり失くしたことがあるので、なんだかますます不安です。もちろんお財布をなくしたことだってあるので、自慢ではありませんが、あの時は蒼白になりました。なので、1つのスマホの中に全てをまとめて入れてしまうのは、私は不安です。なので、この時代の流れに、なかなかすっとは乗れずにいます。(笑)
ちょっと様子を見て、どうしても、って言われたらそうしようと思っています。なので、まだ「オムニ」に変えていません。きっと、「メトロカード」が廃止と決まり、全てオムニに変えろ!、と言う通達が出るまでは、、、(笑)
と思っていたところ、2024年末には、このメトロカードが全て廃止予定なのだそうです・・・。
あっという間に、時は流れています。オムニのことをちゃんと勉強しなくては。(笑)
それではまた来週♫
Kayo
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。