How are you?
I’m fine,thank you. And you?
は,中学校の英語の授業で最初に覚えたフレーズです。
きっとあなたもこのフレーズだけは、何も考えることなくサラッと出るでしょう。
これくらい他の英語もサラッと話せるようになると、英会話に自信がつき、恥ずかしさを感じることもないので、それはもう本当に会話が楽しくなります。
ですが実は、英語がサラッと出る。
ペラペラ話せる後に待っていたのはある大きな落とし穴でした。
実は私自身もこの大きな落とし穴にハマり、アメリカ人の友人を激怒させてしまったことがあります。
それは日米交流行事の打ち合わせの時のことです。私と米軍の友人は,陸上自衛隊と米陸軍の交流行事について,打ち合わせ中。
私は,日本側が案内する神社見学について,丁寧に説明していると,,,,思っていた。丁寧に説明し、何度も
“Do you understand?”
「わかりますか?」
と発言した私に,アメリカ人の友人はポツリとつぶやいた。
“That’s enough!”
「いい加減にしろよ!」と。
アメリカ軍の友人は,顔を真っ赤にして,私をにらんでいる。どうしたのだろう…。何か不味いことでも言ったのだろうか…。丁寧に説明し、何度も確認したのに、ザッツ・イナフ!「いい加減にしろよ」と言われた時ので、もう私の目はテン!
「え?今なんて言った?いい加減にしろ!だって?」 米軍人に気を悪くするようなことをいったのだろうか。会話の内容を思い出してみても,心当たりが全然ない。
次の瞬間,日本語だったら「何か失礼なことをいいましたか?」と聞くところ。ですが,私はとっさに,彼にペラペラと英語を言い放った!
“What’s wrong with you?”
「何かあなたに都合の悪いことでもあったのか?」
“You don’t understand what I told you?”
「私の伝えたことで,理解できないところがあったのか?」
それを聞いた相手は,さらに顔を真っ赤にして「さっきから「お前」(you)は理解しているかと繰り返しているが,それは私のことを否定する言葉だ。」と怒鳴り返してきた。
さらに,「お前は理解できるか?という質問は,本当に失礼だよ。それもしつこいほど聞いてくる。どういうつもりだ!」と今度は冷たく言う。
私は,もうパニックです。相手を馬鹿にするつもりは全くありませんでした。彼の真面目な仕事ぶりや細かな思いやりは,素晴らしいと思っていますし,尊敬しています。
私のペラペラ英語が,アメリカの友人を激怒させてしまった!私たちは,休憩をとるために,部屋を出た。私は,自販機でコーヒーを買い,彼に“Sorry!”といって,差し出しました。
英会話で受けたカルチャーショック
アメリカ人の友人は,笑いながら“Sorry”と言い,さらに“Thank you”と言って,コーヒーを受け取った。優しいまなざしに,私への思いやりを感じる。そして語った。
友人:子供のころ,両親によく言われたよ。「お前は分かっているのか?」ってね。アメリカ人の子供たちは,家庭の中で,物事の良いか悪いかを両親から学んで大人になる。
私:日本も同じだ。
友人:Do you understand?「お前はわかっているのか?」は,非常に強い言葉だ。子供が分かっていないことを前提にしている。大人に対して使う時は,注意が必要だ。相手を責める言葉にもなる。
私:I don’t know! (「知らなかったよ」,と言ったつもり)
友人:I don’t know! か。アメリカ人の子供の言い訳の言葉だ。
私:え?
友人:子供は,親から「理解しているのか」と聞かれて自分の行為が悪いことか,良いことかの判断をする。でもよくわからない時や反発するときには,「そんなこと知らないよ!」と言って逃げる。
私:じゃあ,今私がいったI don’t knowは,君には「そんなこと知るか!」という感じに聞こえたわけだ。まるでガキの会話だね。私は,言葉のニュアンスを知らずに,英語を話しているんだ。
友人:アメリカ人は,大人になると言葉使いは慎重になる。言葉を選んで話すようになる。相手に誤解を与えない話し方,それを徹底して訓練するのが大学の授業さ。ビジネスの第一歩。
私たちは,コーヒーを飲み干し,打ち合わせに戻った。
「私の言っていることが理解できたか」を聞くのは,アメリカ人の親が小学生の子供に言う言葉だった。つまり私が言った
“What’s wrong with you?” とは、
「お前に都合の悪いことでもあったのか?」だし、
“You don’t understand what I told you?”
「私の言ったことが,お前は理解できないのか?」
のようなニュアンスで受け取られていたということだ…。大人に対して言うことではないということが,頭の中でぐるぐる回る。
アメリカ軍人はこう言っていた!
ふと別の打ち合わせで交わしたアメリカ軍人との会話を思い出すと、「ハッ!」と気付いたことが。
それは米陸軍将校との打ち合わせで,米陸軍の人事制度について説明を受けた時のこと。私は,次の日に実施される会議の通訳のために,米軍の担当者と事前の打ち合わせをしていました。
英語の説明資料には,軍事用語がびっしりと並んでいました。その説明のなかで,陸軍将校は,私に,
“Does that make sense?”
または,
“Make sense?”
と聞いていました。
直訳すると「この意味が分かりますか」です。その将校は, make sense?のあとにアイコンタクトしてきました。しっかりと私の目を見つめ,理解しているかどうかを確かめていました
私は,打ち合わせで「あなたは,分かりますか」,“Do you understand?” とアメリカ人に言われたことは,一度もなかった!!!
米陸軍将校は,“Does that make sense?” または,“Make sense?”と、「この意味が分かるか?」と聞いていたのです。
英語力が向上すれば,人も成長する
「あなたは,理解できますか」
「あなたに,都合悪いことがあったのか」
「あなたは,私の言ったことを理解できないのか」
これらの表現の主語は「あなた」です。日常の会話なら聞き流すことができるかもしれませんが,私と米軍人の会話では,悪いことはすべて米軍人「あなた」ですと言っている。これは失礼ですね。
この状況に合わせて米軍人に質問するならば,「宗教行事についてお話しましたが,それについては理解していただけましたか」というべきだった。
怒っている相手に対して,「お前が悪い,そちらに不都合があったのか」と聞くのは火に油を注ぐようなもの。さらに激怒させてしまう。「私が,何か失礼なことをしましたか」と聞き返すのが普通。
「私の言っていることが理解できたか」を聞くのは,相手に非があるときにあえて使う表現と考えたほうが良い。ここで,私は,英語の持つニュアンスや使い方の背景に気が付いたのだ。
私の失敗は,ペラペラと英語を話すだけで,その微妙なニュアンスを知らずに使っていたということが原因。仕事で使う英会話は,言葉を選ぶ配慮が必要なことも実感した。
また,真剣に議論している最中に,自分が知らないことを”I don’t know”「知りません」と答えるのも,実際には,「そんなこと知るか」,「興味ないね」と聞こえることもある。
私の英語を思い出してみると、なんと失礼なことを言っていたのか,改めて恥ずかしさがこみ上げてきました。それと同時に,英語の持つ表現力に魅せられていました。
もちろんあなたが英語初心者で、まだまだ英語が話せないということなら、まずは英語がサラッと出てくるようになるまで勉強したほうが良いでしょう。ですが、英語がサラッと出てくるようになったら英語の勉強は終わりかというと、決してそうではないということです。
人の成長とともに,日本語力も上達していきます。英会話力も同じように変化し上達するのです。それに、上達し続けなければいけません。英語ペラペラのちょっとした落とし穴。気を付けたいですね!
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執筆家・英語教育・生涯教育実践者
大学から防衛庁・自衛隊に入隊。10年間のサバイバル訓練から人間の生について考え、平和的な生き方を模索し離職を決断する。時を同じくして米国国費留学候補者に選考され、留学を決意。米国陸軍大学機関留学後、平和を構築するのは、戦いを挑むことではなく、平和を希求することから始まると考えなおす。多くの人との交流から、「学習することによって人は成長し、新たなことにチャレンジする機会を与えられること」を実感する。
「人生に失敗はなく、すべてのことには意味があり導かれていく」を信念として、執筆活動を継続している。防衛省関連紙の英会話連載は、1994年1月から掲載を開始し、タモリのトリビアの泉に取り上げられ話題となる。月刊誌には英会話及び米軍情報を掲載し、今年で35年になる。学びによる成長を信念として、生涯学習を実践し、在隊中に放送大学大学院入学し、「防衛省・自衛隊の援護支援態勢についてー米・英・独・仏・韓国陸軍との比較―」で修士号を取得、優秀論文として認められ、それが縁で定年退官後、大規模大学本部キャリアセンターに再就職する。
修士論文で提案した教育の多様化と個人の尊重との考えから、選抜された学生に対してのキャリア教育、アカデミック・アドバイジングを通じて、キャリアセンターに新機軸の支援態勢を作り上げ、国家公務員総合職・地方上級職、公立学校教員合格率を引き上げ高く評価される。特に学生の個性を尊重した親身のアドバイスには、学部からの要求が高く、就職セミナーの講師、英語指導力を活かした公務員志望者TOEIC セミナーなどの講師を務めるなど、大学職員の域にとどまらぬ行動力と企画力で学生支援と教員と職員の協働に新たな方向性をしめした。
生涯教育の実践者として、2020年3月まで東京大学大学院教育研究科大学経営・政策コース博士課程後期に通学し、最年長学生として就学した。博士論文「米軍大学における高等教育制度について」(仮題)を鋭意執筆中である。
ワインをこよなく愛し、コレクターでもある。無農薬・有機栽培・天日干し玄米を中心に、アワ、ヒエ、キビ、黒米、ハト麦、そばを配合した玄米食を中心にした健康管理により、痛風及び高脂質血症を克服し、さらに米軍式のフィットネストレーニング(米陸軍のフィットネストレーナの有資格者)で筋力と体形を維持している。趣味はクラッシック音楽及びバレエ鑑賞。
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