軍人の世界は、端的に物をいうのが決まりです。若い頃のSwatchは、高校、大学で習った堅苦しい英語をそのまま会話で使っていました。
米軍人との仕事での付き合いが始まり、ある程度英語でコミュニケ―ションできるようになっても、
言えなかったことが一つあります。
それは、「あなたの英語が分からない」ということです。そんなことを言ったら、なんといわれるだろうか、通訳なのに英語が分からないのかと叱責されるのではないかという恐怖です。
実際、米軍人が端的に話すと、それは激しく責められているように聞こえましたし、ある意味、喧嘩腰で会話をする感じでした。あくまでも当時の感覚ですが。
ある時、思い切って英会話のテキストで覚えた“I beg your pardon?”「もう一度言ってくださいますか」と言ってみました。少しの沈黙の後、、、、
“I beg your pardon?”米軍人にはしっかりと通じたのです。つまり、「もう一度言ってい下さい」という要求が文字通り伝わったのでした。
それに気を良くしたSwatchは、“I beg your pardon?”を聞き返すときの魔法の言葉のように、いつでもどこでも誰にでも、使ったのでした。
ある時、いつものように得意げに“I beg your pardon?”と米軍人に言った時、彼が“I beg your pardon?”と切り返してきたのです。彼の目には怒りが浮かんでいました。
<I beg your pardon?で喧嘩を売ってみよう!>
会話の中で、“I beg your pardon?”(もう一度いっていただけますか)を何気なく米軍人に言った時、その米軍人から“I beg your pardon?”と切り返されました。
彼の眼には怒りが浮かんでいました。咄嗟に、何か悪いことを言ったのだろうかと逡巡しますが、
答えは出ません。
しばしの沈黙の後、米軍人から、“I beg your pardon?”は、何回も会話の中で使うものではないということ、場合によっては喧嘩を売っている文句になることを教えられました。
30年も前のことですが、その頃、英会話のテキストには、丁寧に相手の言ったことを繰り返してもらう時の表現として、“I beg your pardon?”が紹介されていました。
英会話初心者の頃のSwatchは、街中でアメリカ人に話しかけ、聞き取れないと
このフレーズを繰り返していたので、身についていたフレーズだと思います。
通訳の仕事をするようになって、米軍人同士の端的で、スピード感のある会話で、「もう一度言ってください」ということが言えなくて悩んでいた時に、思い切って“I beg your pardon?”といってよい結果が生まれた一度の成功体験で、このフレーズを多用するようになったのでした。
米軍人との会話の中で、当たり前のようにこのフレーズを使っていたところ、このフレーズの持つニュアンスと現実的な意味を教えてもらったのです。
“I beg your pardon?”は、当時でも丁寧で、少々古めかしい表現でした。そのフレーズを多発する日本人は、アメリカ人にとってどのように感じられたかがポイントです。
まるで「お前の英語が悪いから聞き取れないんだ」というような相手を責めるような言い方をしていたのです。
それを繰り返せば、さらに意味がエスカレートしていき、「何言ってるかわからないんだよ!」と喧嘩腰に聞こえたのです。
耳障りなことを言う日本人です。自分は丁寧に表現しているつもりでも、米軍人にとっては、自分の発言を批判されている、喧嘩を売られているような気分になるものだったようです。
あなたも、もし喧嘩を売りたいのでしたら、ゆっくりとこのフレーズを繰り返してください。
大変なことになりますよ。
<Sorry?(すいません。何て言いましたか)>
Swatch の体験談は、色々と悲惨な経験が多く、今では本当に笑い話です。そういった体験や失敗が英語学習のモチベーションになっています。
それでは、実際、現代ではどのような表現が、相手の言ったことを聞き返すときに使われているかを紹介します。
まず、一番簡単な表現として、
“Sorry?”
があります。
「すいません、なんて言いましたか」という感じで相手には伝わります。
“Sorry?”を発音するときには、ソーリー↑と最後のリーをあげます。相手の英語が分からなかったら、相手の言ったことに少し被るようなタイミングで言うと良いですね。
あるいは相手が言い終わったら、すぐさま「ソーリー?」と聞きます。その時、少しすまなさそうに言い返すのがコツです。偉そうに、言ってはいけません。(笑)
“Sorry?”が一番簡単な聞き返しの表現です。
“I beg your pardon?”を英語のテキストで覚えた方は、“Pardon?”も使えるのじゃない?と思うかもしれません。
答えは、“Yes and No!”です。
“Pardon?”(すいませんもう一度言ってください)という意味で使うこともできます。しかし、それを聞いたアメリカ人はほとんど「ダサい」、「古臭い」と感じます。
Swatchのように頭に白髪が目立つような年代であれば、ピッタリな表現ですが、30代、40代の人が言えば、少し違和感があるでしょう。
アメリカ人の友人に聞いたところ、彼の母親の年代である70代は、“Pardon?”を「もう一度言ってください」という意味で日常的に使うそうです。
<I couldn’t hear you! ( 聞こえませんでした)>
“Sorry?”は、カジュアルに良く使います。
少し丁寧な表現も覚えておきましょう。
お薦めは
“I couldn’t hear you!”
「聞こえませんでした」
です。
相手のことについて言うのではなく、自分が聞こえなかったと言っています。会話の中でもいろいろな状況があり、雑音で聞き取れない場合もあります。当たり障りのない表現です。
“I couldn’t hear you”は、正直にあなたの言ったことが聞こえなかったと伝えることができます。
“I didn’t catch that”「聞き取れませんでした」も相手のせいでなく、自分が聞き取れなかったことを伝えることができます。
次の表現は、相手にもう一度発言することをお願いする表現です。
“Could you say it again?”
「もういちどいってくださいますか」
です。
“Could you~?”を使うことによって、お手数をおかけしますがという感じを含むことができます。
さらに丁寧にお願いをしたい場合には、“Would you~please?”を使って丁寧さを強調します。
“Would you say it again, please?”
「もう一度おっしゃっていただけますか」
となります。
日本語も最近、若者の言葉が流行し、徐々に変わってきています。英語は、様々な国で話され、さらに米国も非常に多様化した社会になっています。
その中で英語は常に変化しています。時代ごとに新しい表現が生まれ、時代とともに変化しています。その変化に敏感に反応し、新しい表現をどんどんマスターして、会話を楽しんでいきましょう。
執筆家・英語教育・生涯教育実践者
大学から防衛庁・自衛隊に入隊。10年間のサバイバル訓練から人間の生について考え、平和的な生き方を模索し離職を決断する。時を同じくして米国国費留学候補者に選考され、留学を決意。米国陸軍大学機関留学後、平和を構築するのは、戦いを挑むことではなく、平和を希求することから始まると考えなおす。多くの人との交流から、「学習することによって人は成長し、新たなことにチャレンジする機会を与えられること」を実感する。
「人生に失敗はなく、すべてのことには意味があり導かれていく」を信念として、執筆活動を継続している。防衛省関連紙の英会話連載は、1994年1月から掲載を開始し、タモリのトリビアの泉に取り上げられ話題となる。月刊誌には英会話及び米軍情報を掲載し、今年で35年になる。学びによる成長を信念として、生涯学習を実践し、在隊中に放送大学大学院入学し、「防衛省・自衛隊の援護支援態勢についてー米・英・独・仏・韓国陸軍との比較―」で修士号を取得、優秀論文として認められ、それが縁で定年退官後、大規模大学本部キャリアセンターに再就職する。
修士論文で提案した教育の多様化と個人の尊重との考えから、選抜された学生に対してのキャリア教育、アカデミック・アドバイジングを通じて、キャリアセンターに新機軸の支援態勢を作り上げ、国家公務員総合職・地方上級職、公立学校教員合格率を引き上げ高く評価される。特に学生の個性を尊重した親身のアドバイスには、学部からの要求が高く、就職セミナーの講師、英語指導力を活かした公務員志望者TOEIC セミナーなどの講師を務めるなど、大学職員の域にとどまらぬ行動力と企画力で学生支援と教員と職員の協働に新たな方向性をしめした。
生涯教育の実践者として、2020年3月まで東京大学大学院教育研究科大学経営・政策コース博士課程後期に通学し、最年長学生として就学した。博士論文「米軍大学における高等教育制度について」(仮題)を鋭意執筆中である。
ワインをこよなく愛し、コレクターでもある。無農薬・有機栽培・天日干し玄米を中心に、アワ、ヒエ、キビ、黒米、ハト麦、そばを配合した玄米食を中心にした健康管理により、痛風及び高脂質血症を克服し、さらに米軍式のフィットネストレーニング(米陸軍のフィットネストレーナの有資格者)で筋力と体形を維持している。趣味はクラッシック音楽及びバレエ鑑賞。
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