Hi, Jiroです。
これまで、単語のDNAと言うことで、単語の繋がりや、成り立ちを見ていくと、単語を覚えるのがちょっと楽しくなる意外な意味や語源を紹介してきました。
今日はその第三弾ということで、単語のDNAの現れ方、VとWに注目していくことにしましょう^^
なぜVは尖っているのか?
突然ですが、「ダブリューはダブルのユーのこと」って知ってますか?
実はWは、Uが2つくっついたことから、出来たそうなんです。
その話を聞いて、なるほどって思った私ですが、すぐにあれっ?とも思いました。
「ダブルのユーだったらU+U…でもWはV+V、だからダブルヴィーじゃないのかな。」
そうですよね。
ただじっと見てみるとUとVとてもよく似ていませんか。
実は最初はUしかなかったそうなんです。そのうちに、Vという先の尖った別の字が生まれたらしく、きちんと使い分けもされてなかったそうです。
だからとても大雑把ですがU,VそしてWも、歴史的にとても関係が深い。現在では特にVとW、綴りと発音の面で良く結びついているのです。
(ちなみにフランス語ではWのことを「ドゥブルヴェ」(ダブルのV)と呼びます。)
さてそのwとvのつながりを具体的な単語で見てみましょう。
wine(ワイン)はvine(ブドウのつる)から
皆さんはワインお好きですか?私はあんまりですが、地下室や専用冷蔵庫を持つほど好きな方なんかもいるそうですね。さてそのwineですが、vine(ブドウの蔓)が語源だという説があります。
wine – vine
ぶどうの蔓( grapevineとも言います)って実際に見た事あります?私は絵や写真しかないのですが、多分あちこち巻き付いて絡んでいるのでしょうか。 vineのDNAさらにたどれば、「巻く、曲がる」に行きつきます。確かにブドウの蔓は巻いていくものですね。
ところでgrapevine(ぶどうの蔓)って他の意味ご存じですか?
実は「人づて」とか「情報経路」の意味です。つるを辿って噂などが流れていくイメージですね。
grapevine informationと言えば「口コミ情報」。こういうイメージを持ってると印象に残りますね。
少し話がそれたので、元に戻りましょう。
このwine – vineですが、wとv が並んでいます。発音はwがここでは日本語のワ行の先頭にあるウゥみたいな音、vは下唇を軽く噛むヴのような音です。
どこでも、いつでも顔を出すwとv
VとWの関係の深さをもう少し実感するために、ワインについて別の言語を見てみましょう。ドイツ語ではWein フランス語ではvin 古いラテン語ではvīnumです。
Wein (ドイツ語) vin (フランス語) vīnum (古代ラテン語)
意味の同じ単語にw – v の綴りがここでもちゃんとでてきますよね。しかも綴りだけでなく発音はドイツ語のWeinは「ヴァイン」Wはドイツ語では下唇を噛む英語のVの音と同じ。フランス語は「ヴァン」みたいな音。Vは同じ英語の音。ラテン語は「ウィーヌム」と読みます。古代ラテン語のVは英語のWの音が正式です。
ドイツ語・・・・・ Wein (ヴァイン)
フランス語・・・・ vin (ヴァン)
古代ラテン語・・・ vinum (ウィーヌム)
たった一語ですが、いろいろな言語、時代で、VとWの縁の深さを少しでも感じていただけましたでしょうか。このようにVとWはとっても親密なので、英語からいろいろな単語のDNAを辿っていっても、VやWが絡んでくることがとっても多いんです。
VやWの関連が、Wakeと言う単語に見て取れます。
早速見ていきましょう。
さて英語でその例としてwakeという単語を見てみましょう^^
元気に起きたい
wake 「眼を覚ます」と言う単語ですが、実はこの単語にあるDNAは、以前ここでお話した「元気・活気」のDNA、文字にするとveg-というDNAです。
このDNAをvegetable やvigorなどで辿りましたよね。
vegetable – vigor–wake
さあここでもvとwが揃っています。v-とw-の関係の深さが見える例です。意味の上でも、目覚めって理想的には元気・活気に満ちて目が覚めるわけですよね。ただそう言われて違和感を感じる人もあるかもしれません。
「VがWとなってるのは分かったけど、とても毎朝元気に目をさますという気分じゃない…」
そうですね。そういう時もありますよね。大昔から毎朝人は「さあ今朝も狩りにでかけるぞ!」とか「今日も子供たちに朝ごはん用意してあげましょう」とか自分を励まし奮い立たせて寝床から起き出してきたのかもしれませんね。
英語のご褒美
そんな起きるしんどさが少しは緩和するかもしれないお話で締めくくります。
wakeって実はもう一つ意外な意味があるのをご存じですか。
それは「航跡」です。「航跡」というのは船が通った後、海水の表面に扇形に残っていく波の模様
のことです。こういう波紋をwakeって言うって元の意味がうまく生きている感じがしないでしょうか?wakeは「目が覚める」が元の意味なので、まるで眠っていた海水が船で元気にかき回されて目を覚ましたみたいじゃないですか?次の例なんかだとその感じが分かり易いです。
wakeはよくin the wake of ~(~の結果)と言う形で比喩的に使われます。例えば
in the wake of the revolution / scandal(革命/スキャンダルの結果…)
こうなると面白さがもう少しはっきりしませんかね。(革命やスキャンダル好き?ではなくw) それまで眠っていた状況が、はっと目覚める。その目覚めで、(例えば物価が上がる、内閣が倒れる…)何か結果が起きる…と言えるのですね。上の表現を直訳っぽく訳すと
in the wake of the revolution / scandal
革命/スキャンダルの目覚めの中で、(あるいは「革命/スキャンダルに起こされた結果」…)
一人一人が毎朝「今朝起きるのしんどいな」と起きるかもしれない。でもその時社会でもいろいろなことが起き、世の中全体が眠りから目覚め次の何かが起きていく。一人一人の人間と同じように、広く社会全体も、寝ては起きる、眠っては覚める…そんなサイクルを繰り返している。
もちろん起きることは良い出来事ばかりじゃないでしょうね。でもそういう発想・表現を英語に見つけると英語を学ぶご褒美として、気持ちまで少し広がり癒されると感じるんです。
それではまた。 See you again!
(in the wake of について:Google翻訳をやってみたら、伊語には似た表現があり、独語や仏語は「~に引き続いて」のようなものが出ました。他にご存じの方お教えください。)
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員