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東ティモールの村でウルルン滞在記

World Lifeな生活
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「東ティモール」という国の名前を聞いたことがありますか?

私も東ティモールに行くまでは場所も何も全く知らず、名前さえも聞いたことのない状態でした。それが、フェアトレードに興味を持った事がきっかけで、フェアトレードコーヒーを扱う会社が、現地を訪れるスタディツアーをしているのを知りました。

自分では行けそうにないしどんな所か見てみたい!との思いで、東ティモールのコーヒー農家をたずねる旅に参加したのです。

東ティモールは、東南アジアの国で、オーストラリアとインドネシアの間にある小さな島国です。

500年もの長い間、ポルトガルの植民地で、その後もインドネシアの占領下となり、ようやく2002年に独立を果たした21世紀最初の独立国です。

日本とは全く関係のない国のように感じますが、現在東ティモールで産出される天然ガスは全て日本に輸出されているんだそうですよ。

リゾート地から道なき道を走り山奥の地へ

東ティモールまではインドネシアのバリを経由して、首都のディリへ。

ディリは開発中ではあるものの、ビルや商業施設があったり、海岸沿いには長く続くビーチもあって思っていたよりも都会。ビーチ沿いには外国人観光客向けのおしゃれなバーやレストランもあってリゾート感満載!

聞けばティモール島の周りはサンゴ礁が広がっていてジュゴンもいるのだとか! 
ダイビング好きの私としては、ジュゴンに会えるかもしれないなんて、すごく魅力的なダイビングスポット!リゾートにきた気分で観光しディリに1泊。

しかし、私たちの目指すコーヒー農家の村は、そこから丸2日車で走って、峠をいくつも超えた山の奥。まだまだ長い旅は続きます。

街を出て田舎に入ると、周りはのどかで広い田園風景に。東ティモールでは日本と同じようにお米がよく食べられているんだそう。わら葺き屋根の家に、水田の中ではゆっくりと田んぼを耕す牛の姿。その風景は、まるで「まんが日本昔ばなし」の世界!

実際には見た事ないけれど、昔の日本を見ているようでなんだか懐かしい気分に。

途中の小さな町でさらに1泊。
だんだんと目指す村が近づくにつれて、もともと舗装されていない道がさらに荒くなり、上下左右に激しく揺られる四駆車。道なき道を、まるでジャングル探検のように進んでいく。

数台の四駆車で行っていたにもかかわらず、なんと1台の車はパンク!四駆車ですらパンクするって、どんだけ酷い道なの…。

そんなひどい道で揺られる事、約4時間。おしりも痛くなってきた頃、やっとの思いで村に到着したのです。村に着いたのは日本を出発してから4日目。長い長い道のりでした。

まるでウルルン滞在記!

車が停まった高台の下に見えたのは、広場に集まっている村の人たち。
「わー!やっと着いた~!みんないるよ~!」とみんなテンションがあがり、すぐにでも駆け出して行きたい気分。ところが、コーディネーターさんから「ちょっと待って」とストップがかかったのです。

リーダーらしき人が来て、私たちにサプライズがあって、その準備がまだできてないから車で待っていてほしいと言うのです。(え~!もうすぐそこだし。サプライズって言っても、ここからもうみんな丸見えなんだけど…。)と思いながら、待たされること30分以上…。

やっと村からOKが出た時には、待たされすぎでちょっとテンションも下がりぎみ↘
ゆっくりと広場へと下りていくと、入り口には竹で作ったアーチのゲート。その両脇を子供から大人まで村の人たちが総出で、ずらりと並んでお出迎え!

そして、アーチをくぐると…

両脇からみんなが花びらのシャワーを投げてくれたのです!

(待たされたのはこのためだったんだ!うわ~!これって、まさにウルルン滞在記やん!!!)とテンションはまた爆上がり!↗(ウルルン滞在記、知らない方はすみません(;^ω^))


まずは、広場で入村の儀式とセレモニーがありました。儀式は村の長老のような女性が、葉っぱで太い葉巻のようなものを作り、それを吸うというもの。

こういう伝統儀式も(なんかウルルンっぽい!)と一人ワクワク。しかし、吸ってみる勇気はなく、吸ったのは男性陣のみ。吸うといってもふかしただけなので、味は分からなかったとのこと。

儀式も無事に終え、広場ではセレモニーが行われました。広場を囲むように、上には真新しい竹で組まれた屋根がつけられています。この日のために用意してくれたのだとすぐに分かりました。

そして、地面には大きなスピーカーとCDプレーヤー、そして発電機も。(この村にも現代的な物もあるんだな)と思っていたら、全部、隣村(といっても山道を数時間も行ったところにある。)から借りて来たというのです。

車を持っていない彼らは、重いスピーカーを担いで歩いて運んできてくれたのです。それを知っただけで村の人たちの心からのおもてなしに、じーんと胸が熱くなりました。

すべてが手づくりの村

セレモニーも終わったら、さっそく村の探検に出発!

電気もないこの村は私がこれまで訪れたどんな秘境の地よりも秘境で、みんながどんな生活をしているのか知りたくて、もう興味津々でした。

まずは、みんなが住んでいる家へ。ホテルも宿もない村なので、私たちの宿は村のリーダーさんのお宅。子供さんたちが、近くの親戚宅に移ってくれ、そのお部屋を使わせてもらうことに。

この村のお家は竹組みの壁に、わら葺きの屋根でできています。中に入ってみると、日本で言うと土間のような感じで床は土。昼間でも暗く、ひんやりしています。

円形の家の中は壁でいくつかの部屋に仕切られているものの、ドアはなく布がドア代わり。家の中にトイレやキッチンはありません。家具もほとんどなく、家と同じく竹で作られた、ベッドと椅子があるくらいのもの。

ちなみに、竹のベッドはしっかりとしていましたが、寝心地はというと…。

固くて、寝袋をひいただけではごつごつと竹の継ぎ目が骨に当たって、痛すぎる!そして、夜は結構冷えて、竹ベッドは寒いし、腰は痛いしでほとんど眠れないまま朝を迎えました。(笑)

台所はどこにあるかというと、料理をする小屋が別にあります。そこでみんな一緒に煮炊きをします。

料理をする小屋と言っても石を丸く並べただけのかまどがあるのみ。(え、こんなところで料理できるんだ…。キャンプみたい…。)と思う位シンプルなもの。

換気扇などない小屋なので、料理をすると煙とすすが小屋中に充満して、自分が燻製されているみたい!煙たいし、目も開けている事さえも大変な状況。この状況で料理できるってすごい。

次に私が気になったのは水の確保。井戸を掘ったりしているのかと思っていたら水は、近くの川から引いているそう。

水汲み場があり、樋から水が常に流れ出ています。下にできた大きな水たまりで、洗濯をしたり、さらにそこから畑へと水をひいて、豆などの野菜を栽培したりしていました。

村の畑や台所で使われていたのは、またまた竹を使って作り出された雑貨たち。竹を編んで作った大小のかごやざる、そして、竹の筒はコップや水筒として使われていたのです。竹って生活雑貨から家まで作れて便利すぎ!

日本から遠く離れた地なのに、昔の日本人がしていたのと同じように竹を利用して使っているのを見て、(人間って、みんな身の周りにある物を使って必要なものを作りだしていくんだなぁ。同じだなぁ)と何だか嬉しくなりました。

そして、面白かったのがトイレ。広場に1つだけ、和式のトイレがあったのですが、トイレに入ると壁のすぐ隣で豚さんたちがブーブー鳴いているのが聞こえるのです!

もちろん、水洗トイレではないので、用を足した後はバケツにためてある水で流します。そして、それはそのまま隣の豚さんたちの元へと流れていって、彼らのエサとなるのでしょう。これって、豚を使った自動下水処理システム!環境にも優しくて無駄がない!びっくりです!

小さな村の中に色々な生活の知恵や工夫がつまっていて、村の探検は興味が尽きません。

言葉はいらない

さて、私たちが村の人たちに興味津々なように、村の人たちも私たちに興味津々。特に子供たちは後をちょこちょこついてきて、写真を撮るとデジカメの画面に映る自分の姿に大はしゃぎ!

みんな笑顔がとってもかわいかったのですが、写真を撮られるのに慣れてないからか、カメラを向けると緊張して、みんなまじめ顔。まさか魂を取られるとは思ってないと思いますが…(笑)

そんな村人たちとの会話はというと、東ティモールでの公用語はポルトガルの植民地時代が長かった事もあってポルトガル語と現地のテトゥン語。ポルトガル語ならまだ聞いた事もありますが、その村では英語はもちろん、ポルトガル語も分からず、通じるのはテトゥン語のみ。

テトゥン語は聞いた事もない全くの未知の言語。全体的な事はコーディネーターさんが通訳してくれるものの、個別の会話となると言葉では通じないため、ボディーランゲージしかありません。

お互いに体全体、顔の表情全てを使ってコミュニケーションを図るのは、まるでジェスチャーゲーム!言葉は全く通じない中、ボディーランゲージだけでコミュニケーションをとるのは難しいかなと思いましたが、意外や意外、結構通じ合えるんです!

近くの山を案内してもらっていた時の事です。途中、竹にボトルがぶら下がっていて、中に何か液体が入っています。それを竹のコップに入れて「飲む」というジェスチャーと共に渡されました。

何かも分からず飲むのは怖いなぁと思って口までもっていって躊躇していると、また「飲む」ジェスチャーをしてウンウンとうなずいています。

他の参加者の人が「竹から作ったお酒じゃない?」と言うので、液体を指さしてから、酔っ払いのようなジェスチャーをしてみると、「そうそう」と言わんばかりに大きくうなずいて、酔っぱらうジェスチャーで返してくれました。

(竹からお酒もできるんだ!)とまた竹のすごさに驚かされつつ、こわごわながら一口飲んでみました。味は甘酒が発酵したようなちょっと酸味があるお酒。味は決して美味しいとは言えませんでしたが、そこでみんなでお酒を飲み、酔っぱらったふりをして笑いあった事で、お互いの距離はグッと近くなった気がしました。

私たちはみんな「ただの人間」

人間の表情やジェスチャーって、国は違っても、どんなに外と交流のないへき地でもきっと一緒なんですよね。

誰から教えられた訳でもなく、世界で決められたルールがある訳でもないのに、人間はみんな嬉しい時は笑い、悲しい時は泣き、怒る時は怒り、楽しい時は踊りだす。

嬉しい時に怒りの表情をする人種はいないんです。当たり前の事かもしれないけれど、言葉も全く通じず、そして、近代文化から離れた山奥の秘境の地に来たことで、その当たり前の事に気づいたのです。

国や言葉が違っても、肌の色、目の色が違っても、そして宗教が違っていても、私たちはみんな同じ、「ただの人間」。「人間」という同じ仲間。

だから言葉は通じなくても心と心で通じ合える。笑い合える。そして、分かり合えるのだと思う。

We are only human. We are all friends.

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※私が行った東ティモールのスタディツアーを行っている特別非営利活動法人パルシック
東ティモールの他、スリランカ、マレーシア、シリアなどの支援を行っています。
↓ ↓ ↓
https://www.parcic.org/

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