最近よく聞くようになったSDGs。
私自身よく、SDGsについて質問されます。SDGsは,「エスディージーズと発音します」から始まり,国連の「持続可能な開発目標」と説明を続けます。
ある時,同じ人から2回もSDGsについて質問されました。本人は,私に質問したことを忘れていたのかもしれませんが,ある意味「ショック!」でした。
私の説明が良くなかったのか…とか,説明の仕方が悪かったのか…と「ネガティヴ・バイアス」(Negative bias)で物事を考えてしまいます。
ですがふと、思ったのです。これだけニュースなどで報道されていても、SDGsについてあまり分かっていないという人が大勢いるんじゃないだろうかと。
SDGsの理念は,「この地球上で誰一人として取り残さない」“No one left behind!”
そこで今日は、SDGsとは何か?ということについてお話ししたいと思います。
<ちょっとした違いに気が付きましょう>
最初に,SDGsの「持続可能な開発目標」という言葉を考えてみます。日本語でも分かりにくい言葉です。
これを英語で言うと“Sustainable Development Goals”です。
Sustainable (持続可能な)
Development (開発)
Goals (目標)
三つの英単語の頭文字(S,D,G)を並べて頭文字語にした略語がSDGです。それでは,最後の小文字のsは,どこから来たのか。そうです。Goals(目標)の複数を表すsから来ています。
Goalは,一つではないので,Goalsと複数になっています。具体的にはSDGsは,「17の目標(Goals)」と「169のターゲット(targets)」からなっています。
sをつけるだけで,たくさんありますという意味を加えることができるのです。
“Thanks”も,sをつけるだけでthank(ありがとう)を「たくさん言う」ということなんです。
<発音しにくい + 意味が不明瞭 = 記憶できない単語>
sustainable(サステイナブル)は,意味も難しく,発音も難しい。
英語アレルギーの人は、サステイナブルと聞いた途端、固まってしまいます。持続可能な~と説明を続けても、sustainable(サステイナブル)が分からず、拒否反応がもろに出てしまいます。
ですが、それは仕方ありません。実は,サステイナブルは,難しい単語なのです。どうしてかというと日本人にとって,苦手な英語の原因が2つも入っているからです。
一つは,聞きなれない英語には拒否反応を起こすこと。【sutサスト・ainエイン・ableアブル】の三つの音節にある真ん中の音節の二重母音の「エイ」。日本人には聞きなれない発音です。
英語のアルファベットの最初の文字Aは,日本人は「エー」と発音しますが,正しくは「エイ」です。例えば,人生は,「ジンセイ」ではなく「ジンセー」と発音します。
もう一つは,音便化という音の変化。単語の最後につくableは単独には,エイブルと発音しますが,他の単語につくとアブルに変化します。さらに変化し「アボー」になります。音便化は,話し言葉の中で音が,エイブル→アブル→アボーと変化すること。
ableは,「エイブル」から「アボー」と変化し,「サステイナブル」は,なんと「サステイナ・ボー」に大変身するのです。日本人は想像できない変化です。知らなければ聞き取れまぜん。
覚えにくい英単語の公式を書くと,発音しにくい+意味が不明瞭=記憶できない英単語 になります。そのうちの1つが、このsustainable(サステイナブル)なのです。
<~ビリティがついたら~性だと想像してみる>
「現代の消費生活を続けていくと10年後に,社会は「サステイナブル」な発展はない」と聞いても意味わかりません。日本語で,「持続可能な発展はない」と言われても、イメージできません。
知らない英単語の意味を想像しても,無駄ですよね。でも,知ったかぶりでもして,その場を取り繕うかと考える。これ人情です!あとで,調べておけばいいじゃないかと,私は思います。
そこで,カタカナ英語の感覚を利用して,英単語をなんとなく知っているように話すことができる方法を伝授しましょう。これは通訳がぴったりとした日本語が出てこないときに使う秘技です。笑
まず,ableをability(アビリティ)に置き換えるのです。abilityは「~する能力,または~性」という意味です。sustain-able(サステイナブル)は,サステイナ+ビリティ=サステイナビリティとなります。
実は,「~ビリティ」,カタカナ英語でいっぱいあるのです。それも難しい学問的な用語が多いのが特徴です。それを日本語にちりばめて話す議員や知事,ニュースやインタビューで良く見ます。
サバイバル →サバイバビリティ 生存可能性
レスポンシビル→リスポンシビリティ 責任感
サステイナブル→サステイナビリティ 持続可能性
ポッシブル →ポッシビリティ 可能性
クレデイット →クレディビリティ 信頼性
アカウンタブル→アカウンタビリティ 説明責任・答責性
ビリティをつけることによって,どこかで聞いたカタカナ英語になります。会話やインタビューで知らないカタカナ英語が出てきても,なんとなくわかった気がする効果を狙ってみましょう。
社会は,「サステイナビリティの時代である」というと、なんとなくわかったような気がする。サステイナビリティは,何かの可能性があることを意味しているのではないと想像できます。
それで十分です。先ほども言いましたが,その場をしのいで,後で調べておけばいいのです。
SDGsの説明も,サステイナブル「持続可能な」を,サステイナビリティ「持続可能性」とすると説明もしやすく,カタカナ英語効果で,聞き手の記憶に残りやすくなります。
英単語の意味を知らなければ,英会話はできない。それは妄想です。日本語の中のカタカナ英語が多少分からなくても,会話はできます。そこには,想像力が働いています。
それがきっかけで英単語を調べ,英語の学習効果が上がるのではないでしょうか。
<サバイバルからサステイナブルへ>
サステイナブル「持続可能な」という単語が初めて使われたのは、1987年。環境と開発に関する世界委員会で,「サステイナブル・デベロップメント」(持続可能な開発)という言葉が生まれ、SDGsに引き継がれました。
これが歴史的な転換期だったのです。それまで,世界中が,発展途上国などへの支援に対して,Survival「生存する,生き延びる,サバイバルする」という言葉を使っていました。
1987年に,サバイバル「生き延びる」がサステイナブル「持続可能」に変わったのです。持続可能とは,将来も現在のような環境で人類が生活を続けることができるようにすること。
SDGsは,「俺だけ生き延びる」から「人類が今の生活を続ける」には,どうしたらよいかを考えようという歴史的な意識の転換から生まれた理念だったのです。
SDGsは,さらに社会面に目を向けて持続可能性を考えました。地球上のすべての人が「平等に社会的な恩恵を享受でき,幸せに生活する」ためにはどうしたらよいかを考えたのです。
スーパーのレジ袋の問題でもありません。SDGsの17のゴールを達成するためには,さらに20年,30年の月日が必要です。私たちの人生全般にかかる大イベントなのです。
SDGsとか、sustainable(サステイナブル)と言われると、英語が苦手な人は固まってしまいますが,そこに私たち日本人に馴染みのある言葉を足すだけで、意味を捉えることができます。
日本語の中にカタカナ英語が増えるのは,世界が英語で動いているということです。
その新しい動きを,日本政府は日本語に取り入れているということ。
英語が理解できれば、今後世界がどのように動いていくのかが、ある程度見えてくるはず。SDGsについて調べれば,英語の勉強にもなり,世界を知ることにもなると思います。
執筆家・英語教育・生涯教育実践者
大学から防衛庁・自衛隊に入隊。10年間のサバイバル訓練から人間の生について考え、平和的な生き方を模索し離職を決断する。時を同じくして米国国費留学候補者に選考され、留学を決意。米国陸軍大学機関留学後、平和を構築するのは、戦いを挑むことではなく、平和を希求することから始まると考えなおす。多くの人との交流から、「学習することによって人は成長し、新たなことにチャレンジする機会を与えられること」を実感する。
「人生に失敗はなく、すべてのことには意味があり導かれていく」を信念として、執筆活動を継続している。防衛省関連紙の英会話連載は、1994年1月から掲載を開始し、タモリのトリビアの泉に取り上げられ話題となる。月刊誌には英会話及び米軍情報を掲載し、今年で35年になる。学びによる成長を信念として、生涯学習を実践し、在隊中に放送大学大学院入学し、「防衛省・自衛隊の援護支援態勢についてー米・英・独・仏・韓国陸軍との比較―」で修士号を取得、優秀論文として認められ、それが縁で定年退官後、大規模大学本部キャリアセンターに再就職する。
修士論文で提案した教育の多様化と個人の尊重との考えから、選抜された学生に対してのキャリア教育、アカデミック・アドバイジングを通じて、キャリアセンターに新機軸の支援態勢を作り上げ、国家公務員総合職・地方上級職、公立学校教員合格率を引き上げ高く評価される。特に学生の個性を尊重した親身のアドバイスには、学部からの要求が高く、就職セミナーの講師、英語指導力を活かした公務員志望者TOEIC セミナーなどの講師を務めるなど、大学職員の域にとどまらぬ行動力と企画力で学生支援と教員と職員の協働に新たな方向性をしめした。
生涯教育の実践者として、2020年3月まで東京大学大学院教育研究科大学経営・政策コース博士課程後期に通学し、最年長学生として就学した。博士論文「米軍大学における高等教育制度について」(仮題)を鋭意執筆中である。
ワインをこよなく愛し、コレクターでもある。無農薬・有機栽培・天日干し玄米を中心に、アワ、ヒエ、キビ、黒米、ハト麦、そばを配合した玄米食を中心にした健康管理により、痛風及び高脂質血症を克服し、さらに米軍式のフィットネストレーニング(米陸軍のフィットネストレーナの有資格者)で筋力と体形を維持している。趣味はクラッシック音楽及びバレエ鑑賞。
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