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イギリス英語と京都弁の共通点

World Lifeな生活
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自衛隊で情報分析の任務についていた時代、イギリス英語とアメリカ英語の違いが少しわかるようになった頃,イギリス大使館の武官補佐官と業務上のやり取りをするようになりました。

その頃の私は,イギリス軍を中心に,イギリスの政治,文化,経済についてリサーチするのが仕事。

イギリスで発行される新聞や雑誌類の気になる記事を翻訳して,レポートにするのです。

そこで気がついたのが,イギリスの記事では,タイトルが肯定的に書かれているのに,中身を読むと否定的な内容になっている。またはその逆の記事があることを。

アメリカ英語とイギリス英語では,色々と違いがあり,アメリカ人,イギリス人でも伝わりにくかったり,理解しにくかったりすることがあると言われます。

私の経験でいえば、イギリス人はシニカルな(cynical:皮肉っぽい)感じで,決して否定的な言葉は使わないけれども、何か言葉に裏があるような感じ!

そんなことを考えながら,イギリスの記事を読んでいたら,面白い発想が浮かびました。

どうも,イギリス英語は、京都弁に似ている。

ブブ漬けでもどうどすか?

「ブブ漬けでもどうどすか?」は,標準語でいえば,「お茶漬けでも食べていきませんか」ということ。現代では,「どすか」はなかなか聞けませんが。

そろそろ夕飯時なのですが,お客様にお出しするようなご馳走もありません。お茶漬けのような質素なものをお出しするのは失礼だと思いますので,ここら辺でお引き取りをくださいというのが私の解釈。

ズバリ言うと,「そろそろ帰ってください!」“Get out of here!”ということです。かなりきついことを意味しています。やんわりとまるでご馳走してくれるような言い方で拒絶する。

諸説ある(※)この京都のぶぶ漬けの話ですが、似たような話がイギリス英語にもありました!

“You should definitely come for dinner!” 
(是非とも夕食にいらしてください!)

です。

夕食に誘うような話を振りながら,まったく招待する気はありません。本心は,「お帰りください」です。話の流れの中で,「突然!」,夕食の話をする、ここでぴん!とこなければいけません。

後日,「この前,夕食に誘ってくれたけど,いつですか」と話を蒸し返すのも野暮です。この表現を聞いた場合は,即座においとまごいを。

その際は,

”I’m terribly sorry I’m leaving now”
(本当に残念ながら,おいとまごいをしなくてはなりません)

と慇懃(いんぎん)にかえしましょう。

英語の現在進行形は,「すでに帰る行動をしている」ということで,相手に安堵感を与えます。

「やっと,帰るのか」ということです。笑

definitely「確実に,明確に,はっきりと」、terribly「ひどく,大変」と,状況を強調する副詞ですね。これがポイントです。イギリス人が、強調する単語を使った時は,注意です。

本当にそう思ってるの?

「よろしいなあ」と京都のおばさんにいわれたら,「それはいいですね」と取ったらあきません。京都のおばさん(通常は「姉さん」と呼ぶ)は、「そんなこと,どうでもいい」と思っているかもしれません。

これと似た表現で,イギリスでは,「良い=good」をこのように使います。

 “Quite good
(本当にいいですよ!)

しかし,これは京言葉以上に辛辣な意味があります。

仕事でこう言われた時,イギリス人は,あなたの仕事や報告に失望しています。

アメリカ人なら「本当に良い!」と太鼓判を押す表現ですが,イギリス人はやり直して欲しいと思っているのです。

また、

“It’s kind of agree!”

といわれたときは,「同意する,そう思う」と解釈してはいけません。これもkind of”が付くと

「やり直してください」「全然そう思わない」という意味になります。

kind of ,「~のような,言ってみれば」と状況をあやふやにしたたり,丸めたりする表現が挿入されたときは,「まったくその気がない」という格下げになると考えた方が正解です。

聞いてますよ

京都で話の途中で,「ええ,承りましたよ」といわれたら,「あなたの意見は伺いました。これ以上議論するつもりも,聞くつもりもありません」という意味になります。

イギリスでは、

”I hear what you say” 

直訳すれば,「あなたの言うことには,耳を傾けていますよ」なので,相手は「私の意見について了解してくれている」と思ってしまいます。

しかし、日本語でも,会話の最中に,わざわざ「あなたの話を聞いています」と言いますか?

そう、それは聞きたくない、ということ。イギリス人にとっては,「私は,同意しません。これ以上議論するつもりはありません。」という強い否定になります。

別にどうでもいいけど

「それは面白そうですね。」と京都のおじさんから言われたら、それは、相手が興味を示しているわけではありません。本当に興味があるときは,黙って聞いてくれています。

イギリスでは、

“That’s interesting!”
(それは面白そうだわね!)

も同じ状況で良く使われます。興味を示してくれたと思うのが普通ですが、イギリス人は、「別にどうでもいいけど、関係ないね」と思っているかもしれません。

そこで、興味を示してくれたと思って、調子に乗って、さらに自慢したりすると、

”That’s!!! interesting!!!!!”

はっきり、ゆっくり、声が大きくなって返ってくるようになります。その時は「いい加減にやめてくれよ!」といっているのでしょうね。

これは,言われたことがある人しか分からないかも知れません!
私、Swatchは、そんな話を聞いたことがあります。

“I’m told so!”
(そう聞いたことがあります)

経験者は語るってことかも。

イギリス大使館員,修辞学(しゅうじがく)である!

最初にお伝えしていた、イギリスの記事で、タイトルが,肯定的に書かれているのに,中身を読むと、否定的な内容になっている、またはその逆の記事。

なんでこんなちぐはぐなことが起きているのか、イギリスの武官補佐官に直接聞いてみた。

すると、武官補佐官は、仏頂面で,私の話を黙って聞いた次の瞬間,おもむろに私を直視すると、

“That’s actually Rhetric”
(それは,修辞学である!)

と一言。

続けて,イギリスは,階級社会であった。言葉でその人の社会的ステータスを表すこともあった。

相手によって表現を変えることも大切な会話術であり,処世術でもあったと言ったのです。

イギリスでは、階級社会で、言下に否定してトラブルを起こすことを避ける配慮があった。否定的な言葉を使わず、相手に理解させる、あるいはその場をおさめる言葉の文化があるのです。

京都は,帝都であり政争に民が巻き込まれた歴史があります。よそ者には,逆らうのではなく,言葉じりを合わせて身を守る文化。イギリス人と京都人の共通項がそこにあるように思います。

言葉に歴史あり!です。

 

(※)京都のぶぶ漬けのお話は、諸説あるようで、五代京都に住んでいる方に聞いたところでは、そもそも京都にはそんな習慣はなかったとか。上方落語のお茶漬けの話から広まった話ではと。

晩御飯時にまで居座るのが、そもそも失礼だけど、それに気づかない人に対して、もうすぐ晩御飯どきですが、帰らなくていいのですか?と言う京都の人の優しさから、落語の演目になった、というお話もあるようです。

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