おはようございます。
木曜日のCozyです!
近年では、すっかりおなじみとなった「インバウンド」という言葉。
でも、先日こんな記事をネットで見たんです。
「インバウンドの店員さんが働く店…」
「え?」と、私は違和感を覚えました。
でもすぐに、
「ああ、インバウンド=外国人ということか」
と気づいたのは気づいたのですが…やっぱり違和感。
あなたは、この言葉の違和感、わかりますか?
―インバウンドってどういう意味?―
「インバウンド」と聞くと、皆さんは何を思い浮かべますか?
浅草や京都を歩く外国人観光客、外国人でいっぱいのホテルや飲食店……。
ニュースでも、
「インバウンドが急増」
「インバウンドでにぎわう観光地」
なんて言い方をよく耳にしますよね。
これだけ毎日のように聞いていたら、
「インバウンド=外国人」
と思ってしまうのも、無理はないのかもしれません。
でも、もし本当に「インバウンド=外国人」なら、
「インバウンドの店員さん」
も、おかしくないはず。
ところが、英語の “inbound” は「外国人」ではないのです。
―もともとは「方向」の言葉―
“inbound” の意味は、
“inbound”(内向きの、こちらへ向かう)
という形容詞で、「外国人」を表す名詞ではありません。
たとえば、
“inbound flight”(こちらへ向かう便 → 到着便)
“inbound train”(こちらへ向かう列車 → 到着列車)
“inbound call”(こちらへかかってくる電話)
のように使います。
つまり、“inbound” が表しているのは
「誰なのか」ではなく、「内側へ来る〇〇(という方向)」
なんです。
反対の言葉は “outbound”。
“outbound”(外へ向かう)
です。
―じゃあ、なぜ外国人観光客に?―
それなら、なぜ日本では「インバウンド」の言葉「だけ」が外国人観光客を表すようになったのでしょう?
もともと観光業界には、
“inbound tourism”(外国から国内への旅行)
という表現があります。
国連の観光統計(UN Tourism / IRTS)を見てみると、“inbound tourism” は、
非居住者が、
「その基準となる国(country of reference)を訪れる観光」
と定義されています。
日本を「内側」と考えると、海外から日本へやって来る旅行は “inbound tourism”。
逆に、日本から海外へ出ていく旅行は、
“outbound tourism”(国内から海外への旅行)
となります。
なるほど!
外国から「こちら側へ入ってくる」から “inbound” であって、外国人だから “inbound” ではないんですね。
日本では、この “inbound tourism” から「インバウンド」だけが独立して使われるようになり、今では「訪日外国人旅行」だけでなく、「訪日外国人旅行者」を指すようになったと考えられるのです。
だから、
「インバウンドが増えた」
と言えば、「日本を訪れる外国人旅行者が増えた」という意味で使われているのですね。
でも正確には、
“inbound tourists”(海外から入ってくる観光客)が増えた、と言う必要があります。
“inbound” 単体で、「外国人観光客」を表すことはないんです。
旅行業界の言葉ではなく、普通に「外国人観光客」と言いたいなら、
“foreign tourists”(外国人観光客)
とも言えますよ。
―では「インバウンドの店員さん」は?―
もうおわかりだと思いますが、
「インバウンドの店員さん」
と言ってしまうと、
「日本を訪れている外国人観光客の店員さん」
のような響きとなり、なんとも不思議な意味になってしまいます。
その人が外国人の店員さんなら、
「外国人の店員さん」
「アジア系の店員さん」
でいいんですよね。
その記事を書いた人は、「インバウンド」という言葉をあまりにも頻繁に耳にするようになったため、いつの間にか「外国人」という意味の言葉だと思ってしまったのかもしれませんね。
でも、英語の “inbound”は「外国人」ではなく「内に入ってくる◯◯」という形容詞。
たとえば、あなたがアメリカ旅行から日本へ帰ってくるとします。
日本から見れば、日本へ向かうその飛行機は “inbound flight”。
その便の乗客は “inbound passengers” と表現できます。
つまり、日本へ向かっているなら、日本人であるあなたも「インバウンド乗客」なのです。
その人が外国人か日本人かではなく、
「こちらへ向かってくる」
という方向、それが “inbound”なんですね。
このように、普段、当たり前のように使っているカタカナ英語も、元の英語をのぞいてみると、
「えっ、そういうことだったの?」
という発見があって、おもしろいですね!
それでは、今日も良い一日を!
See you next week ~!
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。








