意外な意味や繋がりを見つけて楽しく英語を学ぶのに役立つ単語DNAの第9弾。
今回は同じDNAを持つfool, bless, blood, flowerを中心に見ていこうと思います^^
私がまだ小さい頃、英語を一足早く習いだした姉にあることで馬鹿にされたことがあります。何かというと、
「ねえジロ― 『ボクはフールです』って言ってみて」「ボクはフールです」と何の疑いもなく繰り返す私。「はは!バーカ!『ボクはバカです』って言ってんのよ!」言われ放題の私が見えるようです。
さて中学に入って「フール」の意味が「馬鹿」と分かりこの単純な罠が分かりました。ホントに素直で単純だったんですよね。
でもそれ以上に驚きだったのは、後年「フール」にも単語DNAがあるらしいと分かった時です。こんな単語にも語源があるんだとびっくりしました。
「フール」が持っている語源的な単語DNAって何でしょう。
それは「膨らむ」という単語DNAです。この単語DNAは数千年前の当時、発音が「ブフゥエル」のような音だったそうで、意味は「膨らむ」。
それが言わば大昔の姿だったわけです。それが何千年も経つうちに少しづつ姿を変えて今でもいろいろな単語の中に生き残っているんですね。その一つがfool(フール、「バカ者」)というわけです。
つまり頭が「膨れて」いるだけで中身が空っぽ、つまり馬鹿者というわけです。
『ボクはフールです』って言ってみてと繰り返し言っていた姉には、「頭空っぽね」と揶揄われていたとも言えるのかも。
神様の助けをもらうbless
英語を話す人の前でクシャミをすると、必ずと言っていいほどかけられる言葉があります。「(God) bless you!」という表現です。あなたも耳にしたことがあるかもしれませんね。「神様があなたを(災厄・病気等から)守り助けてくださいますように」という意味です。
bless(ブレス)の定義は「神が恵みを与える」などになります。(「ブレス」と言っても「呼吸」のbreathとは別単語ですよ)
さてこのblessもfool同様「膨らむ」単語DNAから生まれた単語です。「ブフゥエル」という発音に似通っていますよね。起源は動物を犠牲にする儀式にあるそうです。司祭が(例えば)羊を前に、刀を手にして神様に何事かお願いしていると想像してください。
生きの良い羊なら、ちょっと生々しいですが)刺された時、血が噴き出るでしょう。その出血の様子が、まるで花が「膨らみ」咲いたかのように当時の人には見えた…その犠牲のおかげで神が守ってくれるんだというのが、blessという単語の由来らしいんですね。
今度God bless you!と言われたら、blessの語源をめぐってちょっと面白い英会話が続くといいですね!(もちろん飛沫に注意しながらですが…)
犠牲のbloodにもこのDNA
そしてその儀式で流されたblood(ブラッド「血」)も、やはり同じ「膨らむ」単語DNAから生まれてきた単語です。繰り返しになりますが、「花が『膨らみ」咲いたかのよう」に出る血なのでbloodにも「ブフゥエル」みたいな発音を持つ「膨らむ」という単語DNAが入っているのです。
「ブフゥエル」と「ブラッド」では発音が変わりすぎじゃないのかと思うかもしれませんね。でも今話題なのは、文字のないとても古い時代のことです。文字を使わない大昔のやり取りを思い浮かべるには、「伝言ゲーム」がいいかもしれません。
伝言ゲームの経験があれば、すぐお分かりのように、耳から聞いた内容がどこかで180度変わったりしていて驚かされますよね。文字のない数千年前には誰も言わば伝言ゲームをしているようなものだったのかも。そうだとしたら、単語の発音位どんどん変わったとしても無理ありませんよね。
各国で咲く「花」にもこのDNA
最後にflower(フラワー「花」)にもこの「膨らむ」単語DNAが入っています。まさに蕾が膨らんで花になる訳なので、「花」を表すとき「膨らむ」という単語DNAが使われたのですね。
ところで花を表す言葉は英語にはもう一つありますよね。blossom(ブロッサム「花・樹の花」)です。
30年位前の歌に「チェリーブロッサム」という曲がありました。もうあなたは知らないかもしれないけれど、一世を風靡した松田聖子が歌った歌です。
松田聖子というと、私静岡の駅で新幹線を降りたら、目の前で松田聖子が歌を歌っていたのでびっくり仰天した思い出があります。駅のホームで歌謡番組が中継されていたのです。そんな中継今ではちょっと考えられませんよね。
さて話がそれましたが、ブロッサムはチェリー「桜」のように樹に咲く花のことです。そしてこのblossomにも「膨らむ」という意味の単語DNAが入っています。
だから英語では「花」というと、普通の庭に咲くflowerでも、blossomでもどちらも「膨らむ」DNAが入っているんですね。
他の言語の例を少しひくと、フランス語ではfleur「フロール」のような音、スペイン語ではflor「フロール」、ドイツ語ではBlume「ブルーメ」、各国共通で同じ「膨らむ」DNAから生まれた言葉なんです。国は違っても、根が共通の今でも似ている言葉の花が咲いてるようですね。
今日も単語同士の意外な関係の話をしました。こんな風に(?)少しでも楽しみながら英語を学んでいけるといいですね。
それではまた
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員