2020年に大きなコロナパンデミックが、世界中を襲い、以前からもその傾向はありましたが、ここニューヨークでも、インターネットを使ってのネットショッピングがどんどん主流になってきて、人々が外出する回数が減りました。
人々が家に閉じこもるようになり、コンピューターやスマホでのネット販売の人気が急上昇したのと相まって、大型小売店などの売り上げが極端に減少し、またアメリカでは常に、レント(家賃)等の諸経費が、どんどん値上がりしている状況の中、信じられないような、大きなお店がどんどんクローズしています。
今回は、そのうち、まさかここが・・・と思った3店舗をお伝えします。
BARNEYS NEW YORK / バーニーズ・ニューヨーク
2019年8月に経営破綻ということで、有名アパレル販売店のバーニーズ・ニューヨークは、2020年、97年間の歴史を閉じました。既に1996年に1度倒産。連邦法により再建され、頑張ってきましたが、アメリカでの全店閉店となりました。
ニューヨークのファッションを牽引してきた大手の倒産ということで、ニューヨーカーには大変に惜しまれてのクローズでした。私も、お金を貯めてはジーンズを買いに行ったり、とにかく何かあれば、このお店に行くのがトレンディーでした。
マンハッタン7番街、17丁目のチェルシーを代表する、おしゃれなデパートメント・ストアと言うこともあって、当時は大変な人気を得ていました。お値段はなかなか簡単には手が出ない感じでしたが、お財布とか、マフラーとか、何を見るにつけても素敵で、さすがニューヨーク!だと思ったのを懐かしく思います。
日本には現在でも数軒あるようですが、日本のバーニーズ・ニューヨークは、営業形態が全く別だそうなので、お店自体は、新宿1号店以外の銀座本店、横浜、神戸、福岡には、ちゃんとあるようです。とにかく、センスの良い素敵なお店ですから、日本で、頑張って欲しいです。
Bed Bath & Beyond / ベッド・バス& ビヨンド
こちらは、日本の元プリンセス、小室真子さんがニューヨークに来て、すぐトイレットペーパーを購入にいかれたお店として、大きな記事になりました。彼女が、この店内でショッピング・カートにトイレットペーパーを入れてショッピングされる様子が写真に撮られ、ずいぶん報道されましたね。
あれで、このお店も、日本でも相当に有名になったことと思います。ニューヨークでは、大型生活雑貨店として、高級感もあり、カスタマーサービスなども充実していて、大人気のお店でした。
マンハッタンのアッパー・ウェストサイド、メトロポリタン歌劇場などのあるリンカーン・センターの斜め向かい、ビルをまるまる使った大型店舗では、店名が表す通り、寝具、浴室周りから、台所の食器や鍋、コーヒー・メーカーや絨毯に至るまで、家庭のものなら、あらゆるものが揃えてありました。当時、アメリカだけでなく世界中に、1020店舗あった、と言われています。
しかしながら、各店舗の面積がとても大きかったこと、それに伴って、雇用されていた人々が多かったこと、とてもカスタマーサービスも良かったので、思いもかけず支出がかさみ、コロナと言うパンデミックの波には勝てず、本当に残念ながら、昨年の夏に、この全てが、閉店しました。
Macy’s / メイシーズ
これは、全てクローズしたわけではなく、かなり多くの店舗がクローズしてしまった、というお話。その昔、2014年当時には、アメリカの各州でメイシーズがないのが珍しい、と言われるほどで、全米で789店舗を所有していました。
しかし、アマゾンなどのネット販売の力に押され、2019年には、店舗数は666店舗まで減少、そしてパンデミックの煽りを受け、全店舗約500店舗の中で、2026年までに150店舗を、そのうち50店舗を2024年にクローズすることがこの3月に発表されました。
789店舗が350店舗ほどにということで、半分以下にまでなるようです・・・。
このメーシーズ、日本の皆様には一瞬なじみがないかもしれませんが、アメリカ建国記念日の超有名な花火大会や、サンクス・ギビングの大きなバルーンのパレードなどのスポンサーとしても、アメリカ国民にはなくてはならない、有名なデパートなんです。
ニューヨーク店は世界最大とまで言われる広大な店舗面積を誇り、マンハッタンのど真ん中、34丁目の、6番街から7番街にかけて、1902年から、この1番人気の場所に君臨しています。
カジュアルブランドを中心のファッションから高級ブランド、そしてオリジナルロゴ入りのグッズまで、カフェやレストランも入っており、1902年当時からある木製のエスカレーターも有名で、いまだに動いているんです。
毎年、春にはメイシーズの各デパート内では、見事な季節の花々を各売り場に飾ったフラワー・ショーが行われることでも有名。私は毎年、3月末日に、このメイシーズのフラワー・ショーの写真を撮りに行くのが、とても楽しみでです。
花が咲くのには、まだまだ寒い時期なのですが、このメイシーズのデパートメント・ストアにだけは、各売り場に、見事に季節の花々が咲き誇るのです。
ニューヨーク店は本店だけに、そうそうなくならないと思いますので、ニューヨークに訪れた際は、ぜひぜひ一度お尋ねください☆
さて、ここニューヨークでは、2024年現在、ブロードウェイの街角などでは、ずいぶんと、「店舗募集」の張り紙を見かけます。
ネットで買い物は済めば、もうデパートやブティックに行く必要は無く。そうすると、お店側も、高いレントを払ってまで店舗を持つ必要は無し、ということになってきているんでしょうね。
ただ、そうなると従業員は職を失い、消費者は自分で商品を選んで自分の責任で購入。
忙しくなるのは、宅配業者さんですね。
先の世界では、もうすぐドローンで無人の配達が行われるとか、夢のような話がどんどん出てきていますが、これからどうなるのでしょう。楽しみでもあり、ちょっと不安でもあり。
それではまた来週♫
Kayo
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。