「いよーっ、国が見えた!」の語呂合わせでお馴染みの1492年。
イタリア人、クリストファー・コロンバスが航海中に、アメリカ大陸を発見した、と言われています。
(本当は、西インド諸島だったらしい)
アメリカ合衆国では、2021年は10月11日の月曜日がコロンバスデー。ほとんどの官公庁などがお休みのようです。
今日は、このコロンバスデーについて、少しお話ししたいと思います。
アメリカでは長い間、英雄と思われているコロンバス。
1971年より例年、10月の第二月曜日がこのコロンバスデーとなり、アメリカの休日とされています。
しかしながら、彼のこのアメリカ大陸の発見と侵略によって、歴史上もともと平和な生活を営んでいた、アメリカインディアンの人々を、窮地に追いやることになりました。伝染病や、武器を持ち込んで武力での戦争、嘘をついて彼らの土地を売却させたり、数々の信じられないような虐殺等が行われました。
なので、人道的に、このコロンバスをヒーローとすることに対して、アメリカ国内では、いろいろ異なる意見の大きな波が出てきています。
1992年、すでにアメリカ合衆国内13の州では、議会を通して、この同じ日を「先住民の日」と名付け、ネイティブ・インディアンの人々の尊厳を守ろうとするとともに、「コロンバスデー」をなくしました。そしてこの動きは、年々アメリカ全土で、ますます強くなっているようです。
このような状況下ですので、「コロンバスデー」に対して、いろいろ扱い方が違うようです。
まずニューヨークの証券取引所はオープン。ほとんどの銀行はお休みですが、アメリカン・ナショナル・バンクだけは開いていると。
郵便局はお休み、官公庁は、州や地方によって違うそうです。コロンバスデー当日の経済紙によると、シカゴは公式な休日と認めていますが、デラウェアはそうでは無いとの記事が書かれていました。
コロンバスは奴隷商人
コロンバスが、西インド諸島の先住民を、まず到着日から奴隷にし始め、その後何千人もの人々を、武力行使で奴隷としてスペインに送りました。コロンバス自身はイタリア人だが、彼の船のスポンサーになったのはスペインだった為、スペインに送っていたようです。
後に彼は有名な奴隷商人として、名を馳せます。
コロンバスの後、歴史は引き継がれ、60年後には、もともと25万人程いたはずの西インド諸島の人々は、たった数百人を残すところとなりました。そして金鉱が発見されたため、ヨーロッパ人がどんどん乗り込んで行きました。
西部劇の設定は実際と逆
西部劇と言えば、アメリカの広大な荒野で、白人のカウボーイがインディアンたちを追いかけ、やっつけていく映画が頭をよぎるのではないでしょうか。
白人のカウボーイが、もちろんヒーロー。インディアンは窃盗や陵辱を繰り返す悪人の設定です。しかし、このストーリーが、まるで逆の設定だったとは、私も結構最近まで、気がつきませんでした。
なぜ逆の設定だったのか・・・当時、ハリウッドの映画製作者たちは、全て白人でした。
1981年に当選した第40代アメリカ大統領、白人のロナルド・レーガンは、そんな西部劇のヒーローだった、元ハリウッドの俳優です。彼は2期全うし、8年間、アメリカ合衆国の大統領を続けました。
お互いを思いやるアメリカへ
アメリカ建国以来245年経つ中で、色々な国の人が増え、人種の割合の推移も時代とともに変わって行きつつあるせいもあると思いますが、お伝えした「先住民の日」のように、少しでも人道的に、他の民族を思いやる気持ちが出てきたのではと思います。
自分としても、今アメリカの人種はどうなっているのか、国勢調査の結果などを調べてみたのですが、人種として数を数えるには、あまりにも複雑すぎるようです。今まで色々な意味で人種が混ざりあって来た国なので。
参考:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/アメリカ合衆国の人種構成と使用言語#概要
自分たちの民族だけでなく、他の人種や民族の人たちを思いやれる気持ちが出てきたら、それは素晴らしいことですよね。
みんながそうなれば良いのに、と心から祈ります。
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。