あなたは欧米ではなぜもっとマスクをしないのか、と思ったことありませんか。
例えば「ロンドン感染者数の急増!」というニュースで、マスクしてないロンドンっ子が沢山映る時とか。また英国のサッカ―観戦について、以前の感染拡大期にもマスク着用は任意だった…と知った時などに。
私も彼らのマスク嫌いは、なぜだろうと思いました。マスク嫌いの説明はあることは、あります。よく見かけるのはコミュニケーションを顔のどの部分で行うかによるもの。あなたも聞いたことあるかも。簡単に言って次のような感じです。
「意志疎通は、日本では「目」で行うが、欧米では「口」が基本。だから「口」を覆われたくない。だからマスク嫌い」
※参考 Kayoさん記事:「ニューヨーク 稀なコロナ効果」
確かに日本に「目は口ほどに物を言い」って諺がある位。他方欧米のキリスト教は「初めに言葉ありき」で、口から発する言葉が大事そう。
でも私、発見したんです。意外な所に彼らのマスク嫌いのもう一つの理由を。その理由を見つけたのは英語の中。英米人のマスク嫌いに英語という角度から、新しい説明を加えられそうなんです。
<マスクが覆う「頬」>
私の発見の手がかりは、マスクが覆う場所。(マスクが隠すのは口だけじゃない。口と一緒に「頬」
も隠れる。ここを覆いたくない理由があるのでは…英語で「頬」はcheek/チーク…)と思った時、
浮かんだ表現。それはhave the cheek(チーク/頬) to ~「図々しくも~する」というもの。例えば
He had the cheek to propose to me.
(彼は図々しくも、私にプロポーズした)
などと使われます。
直訳は(彼は私にプロポーズする「頬」を持っていた)。結局「頬」が「図々しさ」や「厚かましさ」の意味を持つことになります。
He had the cheek(チーク) to propose to me.
彼は持つ →cheekチーク/頬← 私にプロポーズする。
II
彼は持つ → 「図々しさ」← 私にプロポーズする。
☞cheekチーク/頬 =「図々しさ、厚かましさ」
またWhat cheek(チーク)! (何を生意気な!)という表現もあります。これは(何て「頬」だ!)が直訳。ここでは「頬」が「生意気さ」を表していることになります。
What cheek(チーク) !
何て→cheekチーク/頬 !
II
何て→ 「生意気」 !
☞cheekチーク/頬 =「生意気さ」
「図々しさ、厚かましさ、生意気さ」を表す場所とは、その人の主張や「らしさ」を外に見せる場所。易々とはひっこめられないプライドがかかる場所と言えないでしょうか。
頬はこのように人のプライドがかかる場所。だからこそマスクで隠されたくないのでは。例えて言うなら、ばしっと決めたパンチパーマを「ほおっかむりで覆え!」と言われるようなものかも。
<マスクは「顎」も覆う>
マスクが覆うのは「頬」や「口」以外に「顎」も覆います。顎は英語でchin(チン)。
このchinにはKeep your chin up!「気を落とさずに(めげずに)がんばれ!」という表現があります。
(顎を上げて!)が直訳。顎が元気を表すのです。ここを覆われれば元気がなくなりそう。だからマスクをしたくない。マスク嫌いの理由がここにもありそうです。
結局、英語ではプライドや元気を表す部分を覆ってしまうマスク。だから特に英米人はマスクに嫌悪感がでる…これが私が直観することです。
頬<プライド>←覆うマスク☜嫌悪感
顎<元気>←覆うマスク☜嫌悪感
<日本のマスクし過ぎ>
マスクと言えば、日本のマスク事情、どうしても気になります。欧米とは逆に、日本人はマスクし過ぎのようです。
先日、頂上に大きな寺院がある近所の山に登りました。鬱蒼とした樹々を縫って、拝殿から漏れてくる念仏。それが静まりやがて出て来た男性が…マスクをしていたのです。(こんな山頂人気ゼロでもマスクして念仏?!)と驚いてしまいました。誰への、誰からの感染予防なのでしょう。
また先日通りを歩きながら、一人でマスクをして運転している人の数を数えたことがあります。 そうしたら10台中5,6台はマスク姿の一人ドライバー。たった一人の車内だし、このマスクも予防という意味ではゼロではないか…?
コロナで閉塞感が漂うとはよく言ったものですが、もしかするとマスクをずっとつけているからこそ、気分が落ち込みがちになってしまうかもしれません。 早くマスクなしで、元気な日常が戻るといいですね。
追伸
頬や顎がプライドや元気を表すのはドイツ語やフランス語などでは見当たりませんでした。何か情報があればお教えください。
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員