「もっとお金があったらいいのになぁ。」
「明日の試合,勝てたらいいなぁ。」
これらは日本語で言えば,「願い・願望,希望」ですよね。
では,その「願い・願望,希望」を表す英語といえば何を思い浮かべますか?
そう,おそらくあなたは
“wish”
か,
“hope”
を思い浮かべたと思います。
では,この “wish”と”hope”,どう違うのかわかりますか?
−願いを表す “wish”と “hope”−
私は,パチンコ,競輪,競馬などは全くやらないのですが,
たま〜に宝くじを買うことはあります。
それこそ,サマージャンボや年末ジャンボの有名所のものです。
高額当選する確率は,限りなく天文学的数字に近いとはいえ,
「もし当たったら…」
と夢見るのです。
そう,願望・欲望の塊です(笑)
でも購入枚数も10枚程度とチキンの私。
その中でも,今まで当たった最高額は1万円。
結構すごい確率じゃないですか?
(でもね,換金するの忘れてたんですよ(^_^;))
このように,
「〜だったらいいなぁ。」
「〜するといいなぁ。」
を表す英語は, “wish” や “hope”です。
でもこの2つ,結構,混同している人が多いのです。
今回は,その区別を簡単にしっかりと身につけましょう。
― “wish” という願望−
まず,2つの使い分けのニュアンスを掴むために,冒頭の例文で考えてみましょう。
A:「もっとお金があったらいいのになぁ。」
B:「明日の試合,勝てたらいいなぁ。」
日本語で考えると,2つとも
「〜たらいい(のに)なぁ。」
で,あまり違いはないように思うかもしれません。
でももう少し深堀りして,その意味を噛み締めながら読んでみてください。
AとBの違いに気づきましたか?
そう,
Aは「現実とはちがうことに対する願望」
Bは「まだわからない未来に対する願い,希望」
のように分けることができると思いません?
これがまさに,”wish”と “hope”の違いなのです。
つまり,
“wish”は,「現実・現状とは違うこと」や「実現の確率の低いこと」などの願望に対して用いられるのです。
例えば,
“I wish I had more money.” (もっとお金があったらいいのに。)
現状は,「満足するほどのお金がない」けど,「あったらいいのに」は,
「現実・現状とは違うこと」になりますよね。
この場合, “I wish” に続く文章の動詞(または助動詞)は過去形とします。
「ここがややこしいんだよね。」
という声が聞こえましたよ,今(笑)
ではこうやって考えてみましょう。
「もっとお金があったらいいのに。」
ほら,日本語だって過去形のようにして表現するじゃないですか。
それと同じです。(ちょっと無理やりですが・・・)
「でもさ,もっとお金があればいいのに」とも言えるよ。
という声も聞こえた気が…(^_^;)
こらこら!
それはまた「へ・り・く・つ」ですよ。
「簡単な考え方」を身につけるためなので,素直に覚えておきましょうね。
「人に何かを頼まれたけど,無理だったので やむを得ず断ってしまった。」
そんな場合も,
“I wish I could….” (やってあげたかったんだけどね…。)
のように使う事ができるのです。
― “hope” という願い,希望−
対して, “hope”は「十分に実現可能な願望・希望」に対して用いられます。
“I hope our team will win the game tomorrow.”
(明日の試合,自分たちのチームが勝つといいな。)
これは,「明日の試合」というまだわからない未来のことで,しかも「勝つ可能性」がありますよね。
全然,「非現実的ではない願い・希望」なので “hope”で表すことができるのです。
“I hope you’ll come to my birthday party next week.”
(来週の私の誕生パーティに来てくれますように。)
“I hope you’ll have a great weekend.”
(素晴らしい週末をお過ごしください。)
などのように使います。
またこんなことを思う人もいるかもしれませんね。
「そのチームはすっごい弱小チームで,これまで試合に一度も勝ったことのないとしたら?」
ふふふ。
素晴らしい想像力です。(これを想定する私もww)
その場合も “hope”です。
だって,試合をする以上,勝つ可能性はあるわけですもの。
「絶対に勝つことはない。」なんて断言できません。
なのでやっぱり “hope“なのです。
−あの有名なクリスマスソングは?−
これまで,
“wish”=「現実・現状とは違うこと」や「実現の確率の低いこと」
“hope”=「十分に実現可能な願望・希望」
とお話してきました。
そこで,この歌を思い浮かべた方もいらっしゃるかもしれませんね。
ちょっと季節はまだまだ早いですが,
♪ “We wish you a Merry Christmas”♪
実は “wish”には「可能性の低い願望を表す」以外に,もう一つ
「祝福がもたらされますように」のような使い方があるのです。
“We wish you a Merry Christmas.”
(楽しいクリスマスを過ごせますように)
“I wish you good luck.”
(幸運が訪れますように)
のような感じです。
−でも使い方に要注意!−
その場合気をつけたいのは
前述したように,
「“I wish”の後に主語・動詞(過去形)」とはならない。」ということ。
「非現実的な願望」の場合は,
“I wish I had more money.”
(もっとお金があったらいいのに。)
のように,“I wish”の後にくる主語の次の動詞は “had”のように「過去形」となります。
でも,「祝福をもたらされますように」の場合は,
“I gave you money.”
(私はあなたにお金があげた)
のように,SVOOの構文(主語・動詞wish・目的語・目的語)となります。
“I” (私は)
“gave you” (あなたにあげた)
“money.”(お金を)
となり,
“I wish you a Merry Christmas.”も,
“I” (私は)
“wish you” (あなたに祈る,願う)
“a Merry Christmas.”(楽しいクリスマスを[すごせることを])
のような感じです。
“I wish you good luck.”(幸運を祈る)も,
“I” (私は)
“wish you” (あなたに祈る,願う)
“good luck.” (幸運を)
となります。
ですので,
「実現の可能性の低い願望」を表す場合は,
“I wish + I +([助]動詞の過去)”
「祝福をもたらされますように」を表す場合は,
“I wish + 人 +(good luck等の目的語)“
となります。
「良いお年を〜!」というつもりで,もしも
“I wish you had a happy new year!”
と言ってしまうと・・・・。
「(現実的ではないけど)いい年が迎えられるといいね。 」
というなんとも恐ろしく失礼な感じになってしまうので,要注意!
今回はちょっと参考書っぽくなってしまいましたが,
“wish” と “hope”の使い分けが少しでもイメージできれば幸いです。
今年もサマージャンポを買ってみようかなぁ,って思っていた私。
でも気づけば販売期間を過ぎていました。
それを知人に伝えたら,
「宝くじは滅多に当たらないけど,買わないと絶対に当たらないよ。」と。
そんなんわかってるわ!
と,心の中で叫ぶ私なのでした。
あ〜,I wish I had more money…. (笑)
まだまだ暑い日が続きますので,くれぐれもご自愛くださいませ〜。
では,また来週!
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。