今日の話は少し不快に思う方もいるかもしれません。
ですが、異文化理解を考える上で大切なこと。
あなたは「スメハラ」にあったことありますか?臭い(スメル)ハラスメントの略。暑い季節からか、よく話に上るそうです。
臭いなら、私は海外で、色んな町や、人の臭いによく注意が向きました。
別の世界や環境では、臭いに敏感になるのでしょう。人の家に入ったら何だか臭いに違和感…なんて経験あなたにもあるかも。
私が40年前に留学したアメリカの大学寮でも…
当時の寮はオール二人部屋。最初のルームメイトとは早々お別れ。
(この方との交流?は☛https://worldlife.jp/archives/7336)
さて新ルームメイトとお初の対面。
自己紹介の時から私は耳を疑いました。黒メガネの大柄な黒人青年が、初めまして自分はホアだと言ったからです。“I’m Whore”ですよ。
この意味を知ってますか。「売○婦」です。僕は売○婦だ、と名乗られたも同然。
20代の私はそれ以上話を続けられませんでした。ただ狼狽は伝わり気まずい雰囲気。
でも名前なんかより、前途多難を予感させるずっと大きな問題が…そうなんです。彼の体臭です。
彼の体臭は当時も今も、私史上最強。
その日以来、私の鼻孔はその臭い(腐った玉葱かパイナップルを蜂蜜漬けにしたような…)で充満。
鼻だけではなく、目がかすむは体が火照てるは。仕舞い込んだ服にも臭いが移ってきた時は正直ぞっと。
オーバーだと、あなたは思うでしょうか。
確かに「臭い」って慣れますよね。あれって嗅ぎ続けで感度が鈍るのかも。だからいっそ一日中嗅いでいれば逆に少しは楽にだったのかも。
でも大学寮って日中は留守がち。だから臭い慣れが起きません。私の鼻は彼の強い体臭に対してもいつもフレッシュな好感度だったんですw
もう寮の部屋に戻るのが苦痛。今なら「スメハラだ」と言いだしたかも。部屋には極力戻りませんでした。ただそうするとリフレッシュした鼻の感度がさらに…w
誤解しないでくださいね。彼の人格に文句はゼロなんです。ましてや肌の色とかについても。学生としては彼はごくマジメな優等生みたいでした。
でも今もしみじみ思うは五感≠理屈ということ。頭で彼をどう理解しても、鼻がNO! NO!と拒否るようなもの。体臭って人種差別の原因?とさえ思ったりしました。
<ホア君の身になれた?>
そんな悶々とするある日、日本から小包。親があれこれ送ってくれた中に焼き海苔の缶。近くにいた日本人数名も一緒。争うように祖国の味を味わいます。パリパリパリパリ…..。
そこへ突然ドアが開きホア君入室。ところが数歩入って鼻をつまみ、回れ右ですぐ退室。
僕らは海苔を手にしたままポカン…。
で、じわーっと分かってきたのは、海苔の臭いがイヤなんだってこと。そしてあの「良い」磯の香がアウトってことにも驚いたんです。
<人の宿命>
ホア君も私自身は気づかない日本人臭さに困っていたのかも。スメハラ(臭い-スメル-ハラスメント)はお互いさまだったのかもしれませんね。そう言えば、ホア君とその後別れたのも、原因は臭いだったのか…
英語の表現に
put yourself in someone’s shoes
(人の身になる)
があります。確かに他人の靴に入ればその人の臭いまで分りそうw。
冗談は別として、人の身になるってホントに難しい。簡単だっていう人見たことない。
でも少し話を広げるなら、大好きな歴史学者ハラリ氏が言うように人間は社会的動物。つまり他人の存在は人間の宿命。つまり他人の身になれない…なんていう悩みも避けられない悩みなのかも。
人の身になれるかは別として、今は表面的な人の交流さえままならない時。英語や外国語好きな身の私。他の国との普通の交流が、早くできますようにと願わずにはいられません。
See you soon!
Jiro
追伸:
彼の名を聞いた時、どう反応すべきだったか改めて考えました。
That’s an unusual name of yours.とか言えないw
名前つながりは諦め、ストレートに事実を言うなら…
You are the first black man I’ve ever met. I’m thrilled.
(初めて黒人の人に会ってワクワクさ)
くらいならOKだったかも。
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員