最近(あれっ?)と思う題名の英書を読みました。
『How Emotions Are Made』
(by Lisa Barrett 脳神経科学者)
日本語なら『感情はどう作られるか』
感情って自然に「出る」もののはず。
感情を「作る」???
と?で一杯になった頭で読み出したら、引き込まれました。
今回は感情と脳の関係に迫る現代科学の最先端の一冊から、感情の一つ「怒り」のお話です。
その土台として脳が感情を作る…ということにも触れます。
<「怒らない」方法>
さて怒りと言えば、あなたはつい怒って、後悔したりしませんか?私は昔からw
冷静でいられるような方法があれば、知りたいですよね。
さてその方法は簡単。
【怒る前に驚く】というもの。
どういうことでしょう?
現代科学の最先端を利用するこの方法。少し説明します。
「感情」は、普通心の底から自然に湧くものだと皆思う。喜怒哀楽等、反応として心に抱くもの…というのが普通の印象。
だがバレット氏によれば脳は予測するモノ。感情も、先を読み予め「作る」という。
例えば、胸がどきどき、息がはーはーしだすとする。すると脳は過去の経験と、感情の「リスト」を参照。「ああこれは…怒りだな」と見込みで作り、大至急発送。我々はその「怒り」を受け取る。タッチの差で現実が追いついてくる…という具合。
つまり感情世界は脳が先手を打って作っているものらしいのです。
勿論「先手」はほんの僅か。現実はアッと言う間に追いついてくる為、我々は脳の先走りに気づきません。
でも脳の先手がなければ、時間差が生じ、打てば響くリアルタイムの交流は難しいようです。予測ゼロだと、現在のZoomのように細かくズレてストレスになるのかも。
ただ半面、予測なので時にはハズれも。例えば、わくわくする海外旅行での出会いを、それだけで恋と勘違いしたり。帰った空港での別れは珍しくなさそう。
旅の高揚≠恋のときめき、ですよね。
とにかく、バレット氏が正しく、感情が予測し組み立てられるのなら…
今度はまさにそれを利用し、無駄な怒りを減らすことができるのです。
つまり、胸がどきどき、息がはーはーする例に戻ります。過去の経験を参照し「怒り」を拵え早く送り付ける脳。我々はその上手を行き…
「怒り」が届く際「びっくりした!」と叫ぶ。でワザと「怒り」を「驚き」に受け取り違えるというもの。(「怒り」と「驚き」は、少し似ている感情なので、都合が良いらしいです。)
言葉にすればややこしいかも。でも結局は、感情のすり替え。
繰り返しますが、カッとなる寸前「びっくりした!」で、届いた感情を「怒り」から「驚き」に変えてしまう。そして自分は驚いているんだと自分(の脳)に信じ込ませるのです。
正直言うと、実地に試したことはまだ一回もw。
<不思議な符合>
でも自分に対して逆に使われた?ような体験なら2度あります。
1度目:新米教員の頃、試験問題作りが遅れ、滑り込みで教頭に持って行くと…
「ああびっくりした、間に合わないかと思った」と言われた。
(ホントは『余裕を持って作れ、バカ!』とか怒鳴りたかったのでは?)
2度目:旅先で偶然知り合ったお坊様。意気投合し別れた後、別の場所で同じ後頭部。「…サン」と後ろから呼び掛けグルっと回ると…両目が虚ろで仏像みたい。深い瞑想中だったのかも。長~い一瞬後、
「ああびっくりした、驚いたよ」と言われた。
(ホントは「人の瞑想を邪魔するな、阿呆!」とか怒鳴りたかったのでは?)
どちらのケースも、今回のお話で辻褄合いそう。
(二人はバレット氏のことを知っていたのか?)と不思議です。
いずれにせよ、あなたもこの簡単な方法を試されては。それで世の中から摩擦や衝突が減り、少しでも暮らしやすくなると良いですよね。
See you soon!
Jiro
追伸:
今回の情報も英書から得られました。英語ができると世界が広がる、住みやすくなる…かも。
『How Emotions Are Made: The Secret Life of the Brain』
◯英語版 Lisa Feldman Barrett
https://amzn.to/3SC0SKY
◯日本語版
情動はこうしてつくられる──脳の隠れた働きと構成主義的情動理論
リサ・フェルドマン・バレット
https://amzn.to/3Y8U3lx
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員