教員時代急にクラスが荒れたことがありました。全国的に学級崩壊、授業崩壊が流行していた頃。
授業中の私語は勿論、ふらっと立ち上がり歩き回る、揉めて掴み合う…
叱りつけても、立たせたりしても全然言うことを聞きません。授業どころではなく、途方に暮れてしまいました。
そんな時出会ったのが『Restitution / 立ち直り~規律の再構成~ (※邦訳なし)』というハウツー本。当時参加していたカウンセリング研究会で話題になりました。
掴む藁を探していたような私は、思わず聞き耳を。
なんでも、「罰を選択させ自分でplanning / プラニングさせる」、という目新しいもの。罰の一方的押し付けではないし「立ち直り」なら未来志向的な感じ。試してみようとすぐ思いました。
例えば窓が割られたとします。基本はマンツーマンの丁寧な聞き取り。ただ最後のまとめ方がキモ。
「~君は、窓ガラスを割っちゃったけど、何か埋め合わせをクラスの為にやってくれない?やれば皆が見直してくれ、自分も自分を見直せるようなお仕事。何か窓に関係したことで…考えてくれない?」
みたいな感じに話をもっていくのです。
ただ生徒に全て考えさせようとすると時間がかかり過ぎます。なので実際は窓ふき等から選ばせたケースがほとんど。大事なのは、生徒が罰の押し付け感をできるだけ感じないことらしかったです。
作業の種類だけでなく、量や時間なども一緒に決めなければなりません。普段の何倍もの時間と労力がかかります。分刻みの日課の中に、面談時間を作ること自体一苦労。でも行き詰まりの打開に繋がればと、手探りでやり始めました。
そのうちにRestitutionのやり方にだんだん慣れてきました。すると不思議なもので敵対的な雰囲気が減り、生徒との人間関係が少しづつ改善していくようでした。
<まさか、こんな風に真似られるとは…>
「restitution / 立ち直り」導入の数か月後には、授業も少しやりやすくなりホッとしてきた矢先。校内で行われた文化祭でのことです。
体育館のステージで生徒の出し物が次々に行われていきます。ある高2生の出し物は先生達の物まね。舌を巻くような見事な真似の数々に大笑いしていると「次は今村先生のマネ」と。そして私の口調を真似ながら「ねえ、死んでくれない」。
これには私はハッとしました。「先生の優しさは口先だけ」と言われている気がしたんです。
特に新しく取り入れたrestitutionがらみで考えないわけにはいきませんでした。
生徒が(今村はうまいこと言って生徒を操ってるだけ)…とはっきり思っていたかどうかは分かりません。自分でも何となく意識してた「口先だけ」感を一人の生徒に見抜かれた気がしたんです。
ただ、そのマネ自体は「すべりました」。聴衆には「死んでくれない」とかまるで意味不明だったのかも。
今思えばRestitutionは、所詮小手先のスキルだったのかもしれません。でも授業崩壊や学級崩壊にストップがかかったのも事実。
私としてはRestitutionは有難いスキルだったと言うしかないですね今回Restitutionに触れられたのも一冊の洋書を通してでした。あなたの英語学習が、新しい情報源の開拓に繋がると良いですね。
See you again!
Jiro
追記:Restitution~Restructuring School Discipline 1998 Diane Chelsom Gossen
<英語版>
知ってる内容を英語ルートで理解する。洋画で字幕を読んで英語を聞くように。
↓ ↓ ↓
英語版はこちらから☆
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員