日本で焼肉屋さんでお馴染みの「牛角 / Gyu-Kaku」なんと、New Yorkに、4店舗もあります。このニューヨークのパンデミックを乗り切ったなんて、すごいです。
地元の店でさえ、資本のないところはどんどん潰れて、おまけにニューヨークでは、レストランの屋内営業が禁じられていた約1年間。
「牛角」はテーブルの下からの、特別な排煙システムを使っている最新式のグリルなので、他の韓国風焼肉店のように、サイド・ウォークに作られた、アウトドアの簡易テーブルに、ポータブルのガスコンロを持ち出して営業する、と言うことをしなかったのです。
それで、このパンデミック期間には、完全に店を閉めるしかなかったので、存続は難しいだろうなぁと、正直自分は思っていました。なので、こうやって今元気に戻ってきているのを見ると、ほんとに嬉しいです。
奮発して、ホリデー・マジック・スペシャルのプレミアム・コースを食べに行ってきました!
あ、そういえば、ニューヨークの「大戸屋」は、日本にお住まいの方々には信じられないかもしれませんが、高級ジャパニーズ・レストランです(笑)。
「牛角」は、そこまで高級店ではない感じがしますが、それでも、クリスマスのディナー・スペシャルとなれば、少しは気張らないとなかなか行けません。(笑)
賛否両論の焼肉システム
まずこの調理方法、人気が出るまで、なかなか歴史があり、面白いです。
日本では当たり前の、自分で焼いて、いい頃合いで裏返す、「お客さんがシェフ」と言うシステムは、最初は色々と賛否両論がありました。
韓国料理の焼肉店は、ニューヨークでは、お店の人が、目の前のテーブル上のグリルで、ちゃんと焼いてくれます。日本風の、自分で肉を焼く料理店と言うのは、2012年、有名店では「牛角」が初めてだったのです。
アメリカ人のお客さんは、「面白い!」という人と「レストランなら、ちゃんとシェフがクックしてから、お客さんに出すべき」と言う、賛否両論に分かれました。
そんな中、うまい具合に、日本の漫画、ゲーム、アニメブームに乗り、日本に行きたい、行ってみたい若者が増え、その旅行者たちが、YouTubeで日本旅行記を次々アップし、自分たちが各自のテーブルで調理する、お好み焼きやもんじゃ焼き、そしてこの焼肉文化を「面白い!」と伝えました。
そんなわけで、今ニューヨークでは、この焼肉を自分で焼くのが、とても人気になっています。
アメリカ版「牛角」メニュー
この「アメリカ版牛角メニュー」なかなか面白いです、多分。と言うのは、私は日本の牛角に行ったことがないので、わからないのですが、クオリティーは、相当に違いがあると思います。
味噌ダレにつけてある肉も出てくるのですが、この味噌ダレが甘いです。甘辛のタレにマリネしてある肉も、この甘辛が相当に甘いです。もしかしたら、日本のお客さんだったら、こんなの「牛角」じゃない、て言って怒っちゃうかも(笑)。
なので、グリルに乗せた途端、1分もたたないうちにこのタレが真っ黒に焦げます。(笑)
ガーリック枝豆も、枝豆をさやごと、ガーリックのタレであえてあります。日本人にとって、枝豆のさやは、できればあまり口に入れたくないものですが、この調理の感じだと、外側のガーリック・タレが美味しくて、これをさやごと舐め回すアメリカ人も多いのではないか、と思われます。
秀逸だと思われるものもあり、それが、ブロッコリー・チーズ・フォンデュです。軽く下味のついたブロッコリーを、アルミホイルでバッグ状にしっかり包んであります。それを表裏3分ずつ焼いて、チーズはとろけるチーズが1センチ四方ぐらいのキューブになって10個位入ったものが、アルミ箔のカップについてきます。ちょうどいい具合に出来上がりました。
そして、コースについてくるご飯物ですが、「GYU-SUSHI 」と「ビーフすき焼きビビンバ」です。いろいろ想像できて、楽しいですよね。
ぎゅう寿司は、白ご飯の上に、醤油にくぐらせたローストビーフが1枚載っていて、わさびがついていました。私には、すぐなんだかわかりました。けれど、でも、普通のアメリカ人には「GYU(ぎゅう)」って意味不明ですよね。「なんだかわからないものの寿司」を食べるわけなので、皆さん度胸あります(笑)。
ビーフすき焼きビビンバは、甘辛に調理した小さく刻まれたビーフが、ビビンバにはいっていました。多分、このローマ字で書く「SUKIYAKI」 という意味は、「甘辛のビーフの事」みたいです。
あと、もう一つ、このメニューの中で不思議な日本語は、「UMAKARA ポーク」(旨辛豚)、です。辛くはなかったですが、うまかったので、良しとしましょう!
皆様に、ご安心いただきたいので1つ書き添えますが、牛角サラダと味噌汁は、想像したようなものがちゃんと出てきました。それだけは、お伝えしておきますね。(笑)
デザートのMOCHI アイスクリームは、茶色で、中に何やらボバというパールぽい粒状のものが入った餅アイスクリーム。いわゆる、雪見大福みたいなやつで、周りが茶色くて、中に何か入っています。
調べたところ、これはブラウンシュガーのアイスクリームで、Boba と言うのは、中国語でタピオカの事だそうで、なるほど、タピオカ入りのMOCHIアイスクリーム、ブラウンシュガー味、でした。
(実際に食べた時は、何味なのか、中に何が入っていたのか、実はわかりませんでした、謎に満ちたアイスだったので、面白かったです。)
お得なハッピーアワー
このお店で、特筆すべき素晴らしい事は、1時から5時まで、毎日ハッピーアワーで、ドリンクが、割引になっています。
なんとキリン・ビールの60オンス入りのピッチャーが、普通だと24ドル(約3600円)のところ、ハッピーアワーで夕方5時前だと、18ドル(約2700円)。60オンスってよく考えてみたら、1800ミリリットル、一升ですね。もちろん、パンデミック前と値段は大幅に変わりました。
以前はもっともっと安かったのです。でも、このお店はニューヨークでは、良心的な方です。
さて、今回の「牛角」ディナー、締めて$133.5、約10%のタックスと約20%のチップを足して、2人で$170ちょっとでした。
日本円だと、2万5000円越えですかね。やっぱり、気張ったディナーになっちゃいました。年に一回のことだから、ま、いっか!いろいろ、面白かったし、記事も書けたし。
それでは皆様、良いお年をお迎えくださいませ♫
Kayo
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。