“I’m an alien.”
(私はエイリアンである。)
あなたはこのフレーズを聞いてどう思いましたか?
「エイリアン」
きっと,宇宙人的なものを思いついたのではないでしょうか。
このフレーズには,さらに続きがあるんです。
“I’m an alien. I’m a legal alien.”
「私はエイリアンである。合法的なエイリアンである。」
さて,あなたはこの意味わかりますか?
―あの有名な映画―
「エイリアン」って言ったら,あの映画を思い出しません?
あの,完璧とまで言われた未確認生命体。
思い出しただけでも,ドキドキハラハラします。
そんなエイリアンですが,本来の意味は,
「外国人」。
という意味で使われていました。
実は,アメリカなどの入国に関する審査や書類では,
“Alien”: 外国人: 米国市民、米国籍以外の人物
“Resident alien”:居住外国人
“Non-resident alien”:非居住外国人
というような表記がされていました。
私も以前,ロサンゼルス空港の入国審査で “Alien”と大きく書いてあるのを見て
「私はエイリアンなんだ…」
と思った記憶があります(笑)
しかし2021年,現バイデン政権は “illegal alien”(不法外国人)だけでなく,すべての外国人に対して
「公式書類等で, “alien” という言葉を使用しないよう指示」したそう。
これにより,公式書類等では,
“Non Citizen”(アメリカ市民ではない人)
“Undocumented noncitizen”(非正規滞在者)
のような表記になったのだとか。
でも調べてみると,一般的にはまだ “alien”は使われているみたい。
「外国人登録番号」は USCIS#と書類には記載されていても,
一般的には
“Alien Registration Number”
と呼ばれているよう。
やっぱりあの「エイリアン」の印象が強いからなのですかね。
― “alien”って,なぜ地球外生命体のイメージなの?―
これ,やっぱりあの映画からだと思うじゃないですか。
ほら,1979年に公開された“The Alien”という映画。
でも実はイギリスの小説家 Herbert George Wells(H.G. Wells)が
1898年に発表した,「宇宙戦争」という小説からはじまったのだとか。
そもそも「外国人,よそ者」という意味があったこの言葉を
「宇宙人」
に当てはめて使ったことからなんだそうですよ。
そして映画「エイリアン」が大ヒットしたことによって,
さらに多くの人に認識されるようになり,
「エイリアン=宇宙人」
のように定着していったのだとか。
あ,そうそう。
火星人っていうと,なんだかクラゲみたいなのを想像するじゃないですか。
あれも,H.G. Wellsの「宇宙戦争」に描かれたイラストからの影響だそうですよ。
― “foreigner”=外国人―
さて,「外国人」というと一般的に私たちが知る単語と言えば,
“foreigner”
だと思います。
たしかに,「外国人」という意味。
でもこれ,使い方によっては失礼に感じる人も多いのだとか。
まあ,普通に考えて
“Are you a foreigner?”
(あなたは外国人ですか?)
という質問はする機会があまりないかとは思いますが,
「部外者」「よその人」のように,そこに偏見を感じる人もあるそう。
“foreign”は,「外国の」という意味の形容詞。
“He is from a foreign country.”
(彼は外国出身です。)
というのは間違いではありません。
ただ, “He is a foreigner.”と言ってしまうと
「彼は(この場所の人じゃない,よそ者だ)」
というニュアンスにとられかねないので,ここはちゃんと
“He is American.”
(彼はアメリカ人です。)
“She is from Canada.”
(彼女はカナダ出身です。)
のように,その人のアイデンティティをはっきりと言ったほうがいいかもしれませんね。
― “gaijin” ガイジン,外人―
私は仕事柄,様々な国の人と仕事をしています。
だから,この「ガイジン」という言葉を使うことはまずありません。
先日,散歩でとってもかわいいワンコと出会ったんです。
名前は素敵な英語名。
「あ,それ私の友だちと同じ名前だ。」
と言ったら相手の方が,
「それ外人ですよね?」
って仰ったんですね。
一瞬,「ウッ…」と詰まってしまった私。
あまり海外に馴染みがないと,
「ガイジン」
という言葉を使うにも悪気はまったくないですよね。
だから仕方がありません。
その情報を「まだ得ていないだけ」なんです。
だから,皆様にはここで知識を増やしていただけたらな,と思うのです。
さて,その「ガイジン」。
「ガイジン」って「外の人」って書くじゃないですか。
なんか「自分とは違うよそのひと」って感じがしませんか。
「外の人」
と言うのと,
「外国の人」
というのは,捉えられ方がちょーっと違うんですね。
だから,言うのであれば
「外国人」
が良いと思うのです。
もっとわかりやすく言えば,「ガイジン」という言葉は,英語で言う
“alien”
と同じ感覚だと思うんですね。
“alien”って,「本来,その場にいる者ではない者」というニュアンスがあるそう。
それを考えると,
「外の人=ガイジン」って,「ここの人じゃない」感が入っている言葉だと思うのです。
もちろん,使っている人にそのような悪意はありません。
ですので,”alien”と言う言葉がアメリカで変わろうとしているように,
日本も「ガイジン」という言葉も変えていきたいな,と思うのです。
「ガイジン」ではなく,やっぱり
「外国人」
でお願いしますm(_ _)m
そんな私,反省なのですが,
こんなこと言っておきながら,
「あの外車,カッコいい!」
なんて言ってしまって,
「ガイジンはやめようって言うなら,ガイシャもやめなきゃ。外国車ね。」
と諭されてしまったのでした。
スミマセン。
ということで, これを書いている間,私の頭の中では
“Whoa, I’m an alien. I’m a legal alien.”
というフレーズが回り続けております。
わかった方いらっしゃいます?
そう,あの歌です。
正解は…
また来週〜♪
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。