こんにちは
NYのKayoです。
「コンビニで猫が飼えるようになる」
「ボデガの猫が、法律で許可されることに」
そんなお話が、先日、New Yorkのローカル・ニュースでありました。
「ボデガ」ってなに?
ニューヨークで暮らしていると、ふと角を曲がった先に、小さな雑貨屋のようなお店がひょっと現れます。
ガラス越しに並ぶ色とりどりのスナック、キャンディ、煙草、宝くじ、バナナ、サンドイッチ、棚の上にザクッと積み上げられた日用品、、、
そう、これがニューヨーカーの日常に欠かせない「Bodega / ボデガ」。
日本人の感覚だと「コンビニみたいなもの」とつい言いたくなりますし、確かに、アメリカ人にとってのコンビニなのですが、実際には日本のコンビニとは、ずいぶん雰囲気が違います。
というのも、セブンイレブンのような、あの清潔で均一化された世界とは別物で、もっと生活の匂いのする、家族経営の「近所のお店」なのです。
あまり、高級住宅街ではお目にかからないかもしれません。
「ボデガ・キャット」の存在あり

※Photo: “Bodega Cat” by Seth W. CC BY-SA 2.0(https://www.flickr.com/photos/sethw/6415943755/)
そして、多くのボデガには昔から、こっそりと、しかし堂々と店の主のような猫が一匹、あるいは二匹、気ままに暮らしてきました。
このボデガ・キャットはキャラクターとして、ニューヨークのお土産として結構有名で、マグカップ、Tシャツ、ジグソーパズル、ポスターなどなど、いろいろな商品さえお目見えしています。
そんな可愛いくて有名な、ボデガ・キャット。
実はこのボデガ・キャット、建前としては、ずっとイリーガルでした。食品を扱う店内に動物がいるのは衛生上よくない、という理由です。
日本の感覚からすれば当然で、「えっ、猫が食品店の中に?」と驚かれる方がほとんどでしょう。
ところがニューヨークでは、この猫たちは、単なるペットとしてだけではありません。彼らは、お店のスタッフ・メンバーなのです(笑)。
というのも、ニューヨークは古い建物が多く、どんなに都会的に見えても、油断するとネズミが現れます。地下鉄だけでなく、アパートや店でも。
そんな街で、猫は最も頼りになる、害獣対策チーム。ボデガ・キャットは、店をネズミから守る存在として、長年大切にされてきました。
店主も常連客も、猫が棚の上で寝そべっていても気にしません。むしろ「ちゃんと店番してるね」と微笑ましく見守るほどです。
グレーからホワイトに
そんな文化があるにもかかわらず、法律上はずっとグレーゾーンだった猫たち。ところがこの度、ニューヨーク市議会で「ボデガで猫を飼うことを正式に認める」法案が協議され、どうやら可決されそうだ、というニュースが流れました。
長年、裏の存在だった猫たちが、いよいよ表舞台に!
もちろん、ちゃんと届け出はしなければなりませんし、届け出ればワクチンや去勢などの義務も発生してきます。もしかすると、現在のオーナーさん達にとっては、お金もかかるし、ただめんどくさくなるだけ、なのかもしれませんが。
日本では、食品のそばに動物がいるなんて考えられないかもしれません。でもNYでは、古い街ゆえの事情と、人と動物が同じ空間で、ゆるく共存する文化があるのですねぇ。
棚の隅で丸くなっている猫も、実は店を守る立派な一員(笑)。
そんな、とぼけたヒーローが、ようやく公式に認められるかもしれない、、、これからのボデガは、ますます猫の勢力が強まるのでは、と密かに面白がってます。
それではまた来週♫
Kayo
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。



