こんにちは
NYのKayoです。
日本で「セカンド・ハンド」と聞くと、なんだかおしゃれな響きがあります。
古着屋さんの店頭には、アメリカのかっこいいジーンズがずらり。ひざが少し擦れているのも「味」として扱われ、なんとヴィンテージと呼ばれれば、値札の桁が一気に跳ね上がりますよね。
日本のセカンドハンドは、どこか「特におしゃれな人のためのファッション文化」という感じがします。
アメリカの古着屋さん
ところがアメリカでのセカンド・ハンドは、通常もっと生活に根ざした、温かい(?)システムなのです。こちらでは「thrift shop / スリフト・ショップ」と呼ばれ、多くは教会や慈善団体が運営していて、教会に来る人たちや近所の人が、もう着なくなった洋服や履かなくなった靴、使わなくなった食器や家具などを寄付し、それをボランティアの人たちが丁寧に値札をつけて、店頭に並べます。
そして、驚くほど安い。新品の半額どころか、1ドルコーナーなんて当たり前。私の友人は、20ドルで見つけたウェディング・ドレスをお直しして、特別な費用をかけず、自分たちの手作りの結婚式で、皆から「素敵!」と褒められていました。
ウェディング・ドレスが、まさか教会のスリフト・ショップ出身だとは、誰も思わなかったでしょう。
もちろん、誰かが着た中古のウェディングドレスなんて、大切な結婚式なのに冗談じゃないわ!と立腹される方もおられることでしょう。それはここではちょっと目をつむってくださいませ。(笑)
なんと、その収益金は
アメリカではスリフト・ショップの本当の魅力は、安いだけではありません。
売上金が、地域の人々を支えるために使われるのです。たとえば、The Salvation Army(救世軍)のスリフト・ショップでは、アルコール中毒などの依存症からの回復を支援する施設や、ホームレスの人たちのための住居プログラムに、収益が寄付されるそうです。Goodwill / グッドウィルという大きな団体では、障がい者や失業中の人に、職業訓練の機会を提供しているのだそう。
つまり、もう着ない服をクローゼットから出して教会に持っていくだけで、どこかの誰かの人生を少しだけ助けているのです。
別にブランド品でなくて良いのです。自分が使わなくなった物が、誰かの手に渡ってまた使われ、そのお金がさらに別の誰かを支える。まるで静かに回っていく「やさしさの循環」とでも言えるかな。
そして、これは自己申告なのですが、持ち込んだ分の金額が、その人の節税になります。
日本にもリサイクルショップはありますが、目的は多くが「安く買う」「高く売る」という経済の循環で、社会の弱い立場の人たちを支える、という意識はあまり根付いていない気がします。アメリカのスリフト文化を見ていると、物の再利用が単なるエコを超えて、人の再生にもつながっているように感じます。
不用品を寄付することで、誰かを助けることができる
それにしても、スリフトショップは本当に楽しい場所です。宝探しのように広い店内を歩いていると、思わぬ掘り出し物に出会います。
50セントのコーヒーマグ、80年代のブローチ、そしてなぜか妙に気になる年代物のアヒルの置物。実は私はこのアヒルになぜか惹かれて、これを購入してしまいました。(笑) いつも私の部屋の本棚に、並んでいます。
このように、値段ではなく、出会いで物を選ぶ喜びがあります。レジで支払いをするとき、「これで少しでも誰かの役に立つなら」と思うと、ちょっと心が温かくなるのです。
アメリカに来てから、私は服を捨てることがほとんどなくなりました。着なくなったセーターやコートは、近くの教会のスリフトショップに持っていきます。寄付箱の前でいつも少し胸が温かくなるのは、グッバイ、と言いながらも、その服が次の人生を歩んでいくような気がするからです。
セカンドハンドとは、文字通り「第二の手」。けれど、そこにあるのは「第二のチャンス」なのかもしれません。物にも、人にも。
そんなアメリカのスリフトショップ文化、日本にも、もう少し広まったらいいのになと思います。だって、便利なだけじゃなくて、誰かに優しい仕組みだからです。
eBayとかメルカリとか私は使ったことがありません、収入が入るのも確かにありがたいことですが、それだけではない何か心が暖かくなるものが、スリフト・ショップにはあるようです。
それではまた♫
Kayo
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。





