みなさん,こんにちは!
木曜日のCozyです。
前回お話した,「ボリューミー」っていかにも英語のような感じですが,
ほぼ「造語」。
英語ではありませんでした。
そんな中,「英語なのに気になる!」って言葉を
最近目撃した,ある「ビックリなこと」から思い出したのです。
それは “service”という単語。
みなさんは,「サービス」って好きですか?
例えば,
「こちら,当店からのサービスでございます。」と言って
美味しそうなアイスクリームを出されたら,
素直に「う・れ・し・い!」
ですよね?
だって,お店の厚意だし,
なんてったって『無料』ですもの。
普段,当たり前のように使っているこの「サービス」って言葉。
そもそもサービスって何なのでしょうか?
― “service”の意味は―
“service”には,名詞と動詞がありますが,今回は名詞に絞って考えて見たいと思います。
辞書で “service”と引くと,
『奉仕,(電車などの)便・運行,整備,公共事業,軍・兵役,接客,給仕,宗教的な儀式,etc…』
のように,それはもうたくさんの意味が出てきます。
これら一つ一つを覚えるのは大変。
なので,基本的な意味は,
「他の為に何かをすること(奉仕)」,です。
そこから考えると,これらすべてのイメージがつきやすくなる気がしませんか?
このように, “service”とは,
「誰かのために働くこと」。
しかしっ!!
「無料」という意味では使われていないのです。
―なぜ “service”が「無料」と理解されたのか?―
“service”という言葉は,基本的に
「奉仕・他のために何かをすること」ですよね。
これは私の個人的な意見になりますが,
「奉仕=ボランティア=無料」
となり,そこに「他のために何かをすること」の本来の意味が重なり
「サービス」=「無料」
と理解されるようになったのではないかと思うのです。
また,「無料」とまではいかなくても
「ちょっとお店が頑張ってお値段下げますよ」というような品物のことも
「サービス品」と言ったり「サービス価格」「タイムサービス」と言ったりしますよね。
これも,
「お店側が奉仕しますよ。」
という意味で「サービス」となったのだと思われます。
これ,結構いい見解じゃありません?(笑)
―サービス業は無料ではない!―
このような考え方から,日本における「サービス」という言葉は,
「無料」や「値引き」のように使われるようになったと考えられます。
しかし,考えてみてください。
ショップや飲食店,旅館やホテルなどの接客業や
情報通信業,運送業,医療・福祉など,人のニーズに応える様々な仕事のことを
「サービス業」
と言いますよね?
でも,それらは決して「無料」ではありません。
「私たちの持つ『自分では叶えられない欲求』に対して応えてくれる」専門的なお仕事です。
なので,そこには必ず「対価」が発生します。
そう考えると,「サービス」=「無料」ではないと理解できる気がしませんか?
―「お店からのサービスです」は英語でどう言うの?―
では,
「これはお店からのサービスです。」
というのは英語ではどう言えば良いのでしょうか。
もちろん, “service”という言葉は使いません。
答えは,
“It’s on the house.”
ほら,レストランなどそのお店オススメの看板ワインのことを
「ハウスワイン」って言うじゃないですか。
“house”って「家」だけではなく,
「レストラン」や「バー」などの飲食店を指すこともできるんですね。
ですので,”on the house”は,「店からのおごり」という感じです。
ちなみに,
「私のおごりだよ。」という場合は,
“It’s on me.”と言います。
「ここの料金は私に乗ってる」って感じですね(笑)
―無料ってどう言うの?―
“service” ≠ 「無料・値引き」。
「サービス」って,他のために何かをすることが基本の意味であって,
「無料で提供する」ということではないんですね。
日本では,ついつい「無料」のような意味合いで使ってしまいがち。
無料の場合は,
“free” を名詞の前に付けましょう。
例えば,
“free paper”(フリーペーパー:無料の新聞)
“free shipping” (送料無料)
でも,
“sugar-free”(砂糖不使用の)
“tax-free”(無税の,免税の)のように,
名詞の後ろに “free”をつけるとまた意味が違ってくるので要注意です!
日本では普通に使われている「サービス」=「無料」ですが,
英語では一般的ではない使い方なので,気をつけましょうね。
また,ホテルなどの「無料の朝食」は,
“complimentary”を前につけて, “complimentary breakfast”のように言います。
―サービスを勘違い?―
「最近目撃した,ある『ビックリなこと』」ですが,
あるスーパーへ行ったときのこと。
お寿司のコーナーを取り掛かったとき,ある外国人の女性がその前にいました。
そこには無料でいただける「わさび」と「お醤油」が入ったバスケットが。
縦横30cmくらいの大きなバスケットに,それぞれいっぱいに入っていました。
その女性は,自分のバッグから使い古したレジ袋を取り出し,
おもむろにそのわさびとお醤油の入ったバスケットを丸ごと持ち上げ,
「全て」を自分のレジ袋へイン。
確かに無料,無料です。
でも,それは
「自分がここで買ったお寿司を食べる際に必要な数」というのが私の考え。
しかしそれは日本人的な考えなのかもしれません。
このようなサービスがあまりない国から来たからなの「かも」しれない彼女にとっては,
「無料なんだから別にいいでしょ。」
と勘違いしてしまったのかもしれません。
そう思い,説明すると無視。
「ああ,わざとか…」
「無料って難しいなぁ。」
「サービスって,やっぱりタダじゃダメなんだな。」
とちょっと残念な気持ちになってしまったワタクシ。
私はその日,精肉コーナーで焼き肉用のお肉を買いました。
ええ,もちろん,側にあった無料の牛脂をいただきました。
2つほど…。
ああ,やっぱり無料はありがたや〜。
それではまた来週〜。
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。