もっと早くに知ってれば
ドラえもんのタイムマシンがあれば、、、昔に戻り昔の自分に教えたいことってありますよね。
例えば、
「こっちの道じゃなくて、あっちに行けば良かった…」とか、
「新しく家電を買ったのに、違うお店でもっと安く売っていた…」とか、、、
もっと深刻な例だと、
「もっと若い時に、留学や海外に行っておけば良かった…」とか、
「もっと若い頃に、もっと勉強しておけば良かった…」
「これさえ知っていれば、思春期にあんな苦い思いをすることなかったのに…」
(何を想像するかはお任せしますが…^^:)
などなど、
私の場合なんかは、友達の引っ越しの手伝いで腰を痛めてしまった経験があるので、
引っ越しの手伝いでいいカッコをして無茶すべきでないということを、
若い頃知っておけば良かったのにな…なんてことを時々思ったりします。
今日のお話しは、「もしタイムマシンがあれば、英語の勉強に苦労することなかったんじゃ?」と思うような単語のお話し。
英語習いたての頃には自分も全く知らず、聞いておきたかったなあというタイプの話です。
姿は見えないが共通の祖先
さて、実は私、フランス語検定1級、ドイツ語検定1級、スペイン語検定1級に、英語検定1級とTOEIC満点を持っているのですが、
そんな私だからこそ、単語のある共通点が見えてきます。
その共有点とは何かというと、単語のDNA。
中学で習うような単語ですが、grow, green, grassの3語。
“ grow, green, grass ”
改めてちょっと口で言ってみましょう…はいっ、有難うございます!
そうですよね。音が似ていませんか。どれも、はっきり文字では表しにくいけれど
「ぐる@♪¶、ぐる↝&%」みたいな…
(これは発音記号でも何でもありません。今適当に書いた苦肉の策!)
それに発音だけではありません。
意味も何となく似ていますよね。代表的な意味を挙げると、
grow 「成長する、育てる、~になる」
grass 「草、芝生」
green「緑色(の)」
この三つ、とても似ていてパッと何かあるって気がしますよね。
(「言われてみれば、草が大きくなっていくし、草は緑だしなあ」なんて繋がる)
この3語(に限らず多くの英単語のグループについて言える…)大昔「祖先」が同じ。
祖先が同じなどと聞くと戸惑う方もいるかな?
学校で古文を習いましたよね。もうほとんどわすれちゃったけれど、
あの古文って何百年も前の日本語ですよね。言ってみれば今の日本語の祖先。
それと同じように今使われている英語の単語、何とたいてい祖先がいるのです!
これって、すごいことだと思いませんか? Σ(・ω・ノ)ノ!
ただ困った😵
それはこの英語の(実は他のヨーロッパの言語、フランス語やドイツ語などとも共通の)祖先が生きていた、これらの単語を使っていた時代です。
ものすごく大雑把に言って、
最大で9000年前くらい。(めちゃめちゃ大雑把じゃないか!)
ですから文字はまだないし、誰も見たこともない…聞いたこともない
だからとてもアバウトな書き方ですが…
発音は「ぐる@♪¶」とでも書くしかなく
意味は「草などが大きくなる」
というような単語が祖先だったということなのです。
祖先の単語が共通なので、現在も似たような発音で、意味も似通っているのです。
ちょっと長くなりましたが、初めてなのでもう少し辛抱してくださいね。
こう習いたかったよ!
その一つの祖先が1万年近くの間にゆっくり変化して、別の語に分かれて行ったのですね。
中には使われなくなった細かい意味や用法もあったり、綴りも発音も時代時代で変わったこともあったかもしれませんね。
ただ私が知っていればなあって思うのは、この語源の正確で細かな変化の道筋ではないのです。大雑把な情報でいいのです。大昔の初めはこうだった、(そして一気に間を抜かして)で、今こうなってる、というような説明をして欲しかったなあということなんです。つまり
(例えば、
中学で英語を習う時、こんな言葉を英語の先生から聞きたかった
「ちょっとこのgrowやgreenやgrass 3つ比べてみようよ。綴りも似てるけど、発音だって似てるよ。(と言いながらgrowを何度も発音して少しづつ音を変えながらgreenに、同様にgreenからgrassに、grassからgrowに変化させる実演)大昔は一つの単語だったんだだよ。だから育つとか、草とか、緑とか意味が似てるんだ。」
というような説明。あるいは
「grassがgrowするだろ、するとgreenになるだろ。面白いなあ!」だけでも良かった。
えっこれも親戚?ホンと?
でもここまで読んでくださって
「3つの単語ぐらいで、そんなこと面倒くさくない?」と思われた方。
もし他にも祖先を同じくする単語があったらどうでしょう?あります。それは
gross
一ダースが12あると一グロスになる、のgross
また
grocery やgrocerがそうです。これは食料雑貨店(をやっている人)という意味です。
grossについてはダースが成長してダース+ダース+ダース……って大きくなったとイメージできるしgrocer、やgroceryについては、食料品などがた~くさん山積みになっている感じでつながりますよね。
私がちょっと教えといてもらいたかったというのはこういうこと。こういうこと聞いてたら単語の覚え方,ずっと変わってたのになと思います。
まるで級友の数人が自分と親戚だったって分かったような気がしませんか?それも数人も。
ウソと見破られるまでは本当?(・∀・)
でもここまで読んでくださって
「そんなこと本当?なぜそんなこと言えるの?」と思われた別の方。
それはもっともな質問。私も中学生ならそう質問してたかもしれません。
ただ良い質問過ぎて、ずばっという答えはありません。「それはね、9000年前にタイムマシンで戻って現地の人が話しているの聞いたりたくさん分析したら、そうらしかったよ」と言えたらいいのですが、不可能な話。
実はこれは一つの仮説です。仮説というのは、文字通り「仮の説」、仮にそうだとすると色々うまく説明できるということに過ぎません。だから言わば「一種の嘘」。
ただ嘘ならばれるけど、この「嘘」はまだばれていない、それどころか世界中で賛同している人が大勢いて、まだまだ有力な仮説です。
一つの大昔の言語を想定する仮説で、印欧祖語の仮説といいます。「印」はインド、「欧」はヨーロッパ、「祖語」は先祖の言葉ですから、スケールでかーい。ほとんど誇大妄想…
英語だけの話ではなくなっちゃいますね。インドやヨーロッパのいろいろな言語、英語だけでなく、フランス語、ドイツ語、スペイン語、現在ある言語だけでなく今はもう使われていないラテン語や古代ギリシャ語、サンスクリットなどなど….全部共通の祖先から枝分かれしてきたのだああと壮大…
ある日、ある言語学者が
「どの言語も大事な単語はどこか似てるわい。うまく説明できないのかのう?単語を沢山貸したり借りたりしたのかのう。ちょっと無理だのう。I don’t know. Oh, yes, I know.そうじゃ、祖先が一緒という仮説なら実にうまく説明できるわい!」
と(多分)ひねりだした仮設なのです。
この仮説にこれ以上深入りすることはやめますね。(私の力にも余ります)ただ一つだけ。
ドイツ語で緑のことをgrün(グリュンのような発音)草はGras、フランス語でbigのことをgros(男性形)とかgrosse(女性形)と言います。これも実際似ていますよね。だからここで私がgrow, green, grass, grossについて述べたことは、英語だけでなく、他の言語を学ばれようとする時にも当てはまるような広がりを持ってしまうのです!
「紙を真っ黒にしてこい!」✍
私の実際の単語の覚え方はこんな知識とは無関係でした。
今の視点からまとめると、やり方は2つ。
1つは丸暗記。中学の頃、夏休みや冬休みの宿題に、わら半紙
(今でもあるのかな?☜🐼ある。今はかえって割高)10枚位が真っ黒になるまで、英単語を練習してこいと言われました。毎年。
それが嫌で嫌で。どうやったらとにかく紙が速く楽に真っ黒になるか友達と一緒に考え合って…私は鉛筆を5、6本まとめて持って書きました。それだととても速く真っ黒になります!もう英語の勉強とは関係ない。
もう一つは、もっとまじめ。いろいろな文章に出会い、その中で意味を推測していってだんだんに単語の知識が頭の中で増えて行ったかと思います。例えば
He was a grocer.
(彼はgrocerだった)
という文章があって、grocerを知らなかったとしても、grocery storeを知っていれば推測できるし、もしgroceryを知らなかったりしても、この文の後ろに、
His store sold food and other things used in the home.
(彼の店では食べ物や家庭で使う物が売られていた)
とあれば推測できますよね。
こういう風に、推測⇒確め⇒修正のようなサイクルを何度も繰り返してているうちに、単語の知識が少しずつ網を張っていく、「あれ?こうかな」「こうだ」「アッ違った、じゃこうかな?」という風に小さなプロセスを少しずつ辿っていって覚えてきたのが2つ目だと思います。これは結構覚え方の王道かなと思います。(わら半紙真っ黒よりね)
ただその2つの覚え方のどちらをとっても、つまり丸暗記でも文脈推測でも、その時に同時にさっきお話ししたような思いがけない単語同士の繋がりを教えてもらっていたら、あるいは自分で調べる手段があったら、その過程がずっとずっと面白くなって能率も遥かに上がっていただろうなととても残念なのです。
そういう単語習得を面白く簡単にする為だったら、単語のつながりの話は歴史的に厳密・正確である必要はありません。むしろ、大雑把でも印象深く、頭にさっと入るような感じの方がいいかもしれませんね。例えば
grassが大きくなってgrow,g-r-o-wしてgreenになるね。
greenな野菜を12×12=244個づつ大山のgrossで売るのがgrocery storeだよ。
今からそんなこと何度言ったって
There is no use crying over spilt milkですね。
でもみなさんの参考になればもちろん話は全く別。
着火剤かスパークみたいなものにならないかなあ🔥
それではまた!
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員