今回は,未来旅行をしていただきたいと思います。未来の日本では,一体何語が話されているのでしょうか。もちろん,日本語です。英語は話されているでしょうか。
少子化に伴う労働人口の減少は日本の経済に深刻な打撃を与えます。その対策は,労働者を増やすことですね。実は,今後50年間で,1,000万人の移民を受け入れるという構想があります。
文部科学省は,留学生の受け入れ目標を,2020年までに30万人を受け入れました。コンビニで外国人のアルバイトが増えたなという感じを裏付ける数字ですね。
私たちの知らない間に,日本は欧米諸国並みの外国人の受け入れ国になりつつあります。将来的には,10人に一人は外国人になる計算です。
それでは,今から20年後にタイムトリップして,2040年の日本の社会を一緒に覗いてみましょう。
東京都世田谷区にあるコンビニから聞こえてくる従業員と客の会話は?
<コンビニでは英語を使用!>
2040年、世田谷区のコンビニで!・・・・・・
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店員:いらっしゃいませ!(留学生のアルバイトのようです)
孫に連れられて入ったコンビニで,60歳代の夫婦は元気のよい日本語を耳にしました。
最近のコンビニは,ほとんどが外国人留学生のアルバイトで,2030年に英語が公用語になってからは,サービス業ではほとんど英語でコミュニケーションをとるようになっています。
英語が公用語になったことで,日本は世界から観光の名所として再び脚光をあび,毎年,海外からのインバウンドが1億人にも達しています。フランスやイギリスと並ぶ観光大国です。
孫:ねえ,おばあちゃん。私,アイスクリームが食べたいの,頼んでいい?
祖母:いいとも。ちょっと店員さん?
店員:What would you like?
(何にしましょうか)
祖母:あれ?さっき日本語で「いらっしゃいませ!」と言っていたのに日本語じゃないの?
東京都の条例で,コンビニ等では,日本のおもてなしの心を表現するために「いらっしゃいませ!」と「ありがとうございました」は日本語で対応するようきめられていたのです。挨拶だけは日本語です!
祖父:Ice Cream, please.
(アイスクリームをください)
※会社役員をしている祖父の会社は,20年前から英語を公用語としています。
店員:cup or cone? And what flavor would you like?
(カップにしますか,コーンにしますか。どの種類がいいですか)
祖母:?????
孫:Cone please, Mint-Chocolate-chip ,and double size.
(チョコミントダブルでコーンにして)
店員:OK! Facial recognition or one touch pay?
(OK。顔認証にしますか,ワンタッチペイですか)
孫:おばあちゃん。ここのカメラを見て!
祖母:???(孫が指さすカメラに顔を近づける)
機械音:ピンポン!(顔認証の確認音)
店員:Here you are!
(はい。どうぞ!)
孫:Thanks!
(ありがとう!)
店員:「ありがとうございました。」(笑顔)
孫:おばあちゃん,ありがとう!
2010年に始まった小学校の英語教育は,2040年には、劇的な教育効果をもたらし,子供たちは,中学を卒業するころには,英語で日常会話ができるようになっています。
日本政府は、国連のSDGs(Sustainable Development Goals : 持続可能な発展目標)の取り組みで,2030年に英語を公用語化し,国連に報告して高い評価を得ました。
孫と一緒にコンビニに入ったおばあちゃんは,英語が話せず,おろおろしています。そういえば,2021年ぐらいに、「おばあちゃん,英語が話せないの?」という記事を読んだことあったと思い出します。
さて,世田谷区のA子さん(62歳)は,ボランティアで小学校の移民クラスで日本語を教えています。有名な私立女子大学の文学部を卒業しています。
「あなた。じゃあ行ってきますね。お昼は,11時30分に宅配ランチが届きますからね!」
<移民への日本語教育か,日本人の英語教育の充実か?>
2030年に,日本でも移民法と英語の公用語法が制定されました。移民に対する日本語の教育が重要な課題となっています。子供は小学校の移民クラスで日本語を学びます。
成人の移民に対しては,各地域のコミュニティセンターでの講習が義務付けられていますが,もともと日本企業の労働力を補完するために雇用した移民ですので,企業の協力も得られません。
日本語の教育は非常にコストがかかり,習得に時間がかかります。政府は,小・中・高校の授業の30%を英語の授業に切り替えました。日本人が英語を話せば,問題はないからです。
A子さんは,移民クラスで授業を終え,帰路につきます。A子さんの日本語の授業は,なかなか好評です。日本の文化や遊びの話が豊富で,移民の子供たちが楽しんでいます。その話を,両親が聞き,親の間でもA子さんは人気者です。
でも,そんなA子さん,家に帰ると,ちょっとしたストレスがあります。
<世代のギャップは,英語教育から>
実は最近A子さんは,孫娘との会話がうまくいかないことにストレスを感じています。孫は,日本語でうまく表現できないと,英語に切り替えて話をするのです。
「日本語で話しなさい」というと,,,,
「おばあちゃん,英語が話せないの? つまんない!おじいちゃんとお話するよ!」
とご主人のもとに行ってしまいます。A子さんのご主人の会社は英語を公用語化し,英語でのコミュニケーションは不自由しません。
英語を話さないと孫とコミュニケーションが取れない時代が来るとは!還暦過ぎのA子さんは,悲しくなります。「若い頃に英語をもっと勉強しておけばよかった!」とため息をつきます。
A子さんは、夫に相談します。「英会話学校でも行こうかしら?」
「いいねえ。孫とのコミュニケーション英語講座があったと思うよ」とご主人。
A子さんの顔がパッと明るくなります。「いいわね。一からの英会話じゃなく,孫との会話のことなら興味も沸いてできるかもしれないわ!」
小・中・高校の実践英語教育で、祖父母と孫世代とのコミュニケーションギャップが生まれていたのです。孫たちが訪ねてきても,おじいちゃん,おばあちゃんの話している日本が古くてわからないらしいのです。笑い話のようですが,基礎教育の影響は大きいですね。
日本語の中で使われるカタカナ英語は,20年前のカタカタ英語ではなく,英語そのものが日本語に混じっています。発音もカタカナ英語ではなく,ネイティヴに近い発音です。
半面,来日するアメリカ人は,ある程度の日本語と,英語の日本語的発音をマスターすれば,日本語をうまく話せなくても,日常の会話は十分できる状況です。
米国人:「私は,これをプレゼンテーションして,アニュアルなコントラクトをサインしたい」
といえば,「私は,この商品を説明して,年間契約を締結したいと思っています」と日本人もわかります。
日本語と英語のチャンポン化で、アメリカ人とスムーズにコミュニケーションできるようになっています。なんとも、良いのやら悪いのやら、わかりません。
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それでは、現代に戻ってきましょう。2021年です。美しい日本語が、周りから聞こえてきます。テレビ放送も、日本語だけで、英語放送はされていません。子供たちも日本語です。安心します。
今回は,未来の日本のコミュニケーションについて想像してみました。英語が話せないと、将来的には,自分の生活にいろいろな悪影響を及ぼすかもしれません。
今,世界的に動いているグローバル化や国連のSDGsの世界的な政策は,日本の言葉の文化を一変させるような強い影響力があると思います。英語が話せないとコンビニで買い物ができないかもしれません。笑
さて,ここでもう一度,英語学習を真剣に考えてみるのも良い機会ではないでしょうか。
執筆家・英語教育・生涯教育実践者
大学から防衛庁・自衛隊に入隊。10年間のサバイバル訓練から人間の生について考え、平和的な生き方を模索し離職を決断する。時を同じくして米国国費留学候補者に選考され、留学を決意。米国陸軍大学機関留学後、平和を構築するのは、戦いを挑むことではなく、平和を希求することから始まると考えなおす。多くの人との交流から、「学習することによって人は成長し、新たなことにチャレンジする機会を与えられること」を実感する。
「人生に失敗はなく、すべてのことには意味があり導かれていく」を信念として、執筆活動を継続している。防衛省関連紙の英会話連載は、1994年1月から掲載を開始し、タモリのトリビアの泉に取り上げられ話題となる。月刊誌には英会話及び米軍情報を掲載し、今年で35年になる。学びによる成長を信念として、生涯学習を実践し、在隊中に放送大学大学院入学し、「防衛省・自衛隊の援護支援態勢についてー米・英・独・仏・韓国陸軍との比較―」で修士号を取得、優秀論文として認められ、それが縁で定年退官後、大規模大学本部キャリアセンターに再就職する。
修士論文で提案した教育の多様化と個人の尊重との考えから、選抜された学生に対してのキャリア教育、アカデミック・アドバイジングを通じて、キャリアセンターに新機軸の支援態勢を作り上げ、国家公務員総合職・地方上級職、公立学校教員合格率を引き上げ高く評価される。特に学生の個性を尊重した親身のアドバイスには、学部からの要求が高く、就職セミナーの講師、英語指導力を活かした公務員志望者TOEIC セミナーなどの講師を務めるなど、大学職員の域にとどまらぬ行動力と企画力で学生支援と教員と職員の協働に新たな方向性をしめした。
生涯教育の実践者として、2020年3月まで東京大学大学院教育研究科大学経営・政策コース博士課程後期に通学し、最年長学生として就学した。博士論文「米軍大学における高等教育制度について」(仮題)を鋭意執筆中である。
ワインをこよなく愛し、コレクターでもある。無農薬・有機栽培・天日干し玄米を中心に、アワ、ヒエ、キビ、黒米、ハト麦、そばを配合した玄米食を中心にした健康管理により、痛風及び高脂質血症を克服し、さらに米軍式のフィットネストレーニング(米陸軍のフィットネストレーナの有資格者)で筋力と体形を維持している。趣味はクラッシック音楽及びバレエ鑑賞。
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