もしもですが、自分の給料を自分で決められるとしたら、あなたはどうですか?
(会社が決めたのをもらうのが給料。非常識なこと考えても無意味…)と思うだけでしょうか。
ところがそんな会社が実際にあるんです。ブラジルのサンパウロに、セムコと言うハイテクの会社。
会社の帳簿、給料の相場等の資料をもらい、自身で考えて決めるんだそうです。(会計帳簿の見方の勉強会などもちゃんとあるみたい。)
但し好き放題には決められず、会社全体のことを考えて決めるのだそうです。だから法外な言い値を言っても最終的には通らないそう。皆社長になったつもりでという感じかもしれませんね。
あなたはどう思います?判断力のある大人として扱われる感じがするか、それとも面倒くさいか。
確かに会社の状態を帳簿から知るなんて大変そうだし、そう簡単にできるのか?って思いますよね。黙って給料を受け取る方が気楽かも。実際そういう考えの人はセムコにもいて、そういう人は決まった給料を普通にもらうみたいです。
私数年前にこの会社の存在を知り、興味が湧いて社長の書いた本など2,3冊読みました。そしたら非常識で驚くことばかり。給料を社員が決めるなんてほんの一部の話だったんです。
――出張旅費は無制限。会社を名乗って出かける人物なら、宿泊先・移動手段も自分で選べる。
――従業員が管理職を点数評価するアンケートが年2回あり、結果が全て公開される。
――秘書や受付嬢はいない。管理職でも誰でも、外部の応対・コピー取り・お茶くみをする。
――管理職の部屋は職務とは無関係なので、存在しない。専用駐車スぺ―スもない。
―-座席が決まっていない。誰がどこにでも座れる。
――会社のあらゆる全ての会議に従業員が誰でも参加できる。いつ入室・退席するかも自由。
――採用試験の面接に将来同僚になる従業員も同席する。
――ドレスコードはなく、何を着て出勤しても良い。
――リモートで、どこで働いてもよい。働く場所が問題なのではない。
――就業規則は誰も見ないし、まず無駄だから存在しない。
最新のデータでは、経営状態は非常に良いらしいです。2000人余の従業員の満足度も高く、離職率は年1~2%。国内就職人気企業ナンバーワン。世界中から見学者が絶えないとか。
この方は学生時代から革命的な経営者の片鱗を見せていたようです。学園祭の模擬店をやった時、仕入れ業者を入札で決めたら結果的にすごい売上。その利益でクラスでリゾートに行ったという。以来
You come to school on business.
(お前は学校に仕事で来ている)
と皆に揶揄われたとか…
私思うに、こうやって給料を自分で決めさせるって、結局は経営者と従業員の完全な信頼かなと。経営状況を全て公開するなんて、従業員を100%信用してのことでは。
他の経営方針も、信頼なしでは実行できなさそうです。例えば出張旅費が無制限なんて、良識ある大人として完璧信用しているわけですよね。
他の普通の企業はどうでしょう。セムコほどオープンな高い信頼関係はないのかもしれませんね。
セムコは、従業員を信頼する方針を、思い切って他の企業の何倍も進めている気がします。
私最近Nonzeroという進化心理学の本を偶然読んだんです。著者によれば歴史の大筋は、人が互いに信用し認めあうような倫理的な方向。弱肉強食の競争関係が、持ちつ持たれつの協力関係により乗り越えられてきたとも。
そう言える証拠は、あなたは普通に人を信頼したり、感謝すると気持ちが少しハッピーになりません?でも人をうまく騙せてもそう嬉しくない。(あまり騙さないかもw)…
信頼したり、感謝するとハッピーになる人の方が淘汰されずに生き延びてきた。つまり人間は人を信頼したり、感謝するのが幸せだと感じるように進化してきたのだそうです。
この歴史の倫理的な方向って、セムコの信頼100%のやり方にまさにぴったりではないでしょうか。
それはともかくとして、今回のお話がらみの洋書3冊。
Maverick! : The Success Story Behind the World’s Most Unusual Workplace
The Seven-Day Weekend
Nonzero : Logic of human destiny
うち最後の一冊はまだ訳がありません。またAmazonで例えば経営関連の書籍を英語と日本語で調べると、検索結果が何十倍も違います。
つまり、事実として言えるのは最新の経営とかを知りたければ、洋書を読むしかないということ。
経営の知識だけではありません。洋書が読めると、自分の知識の広がりが何十倍にもなります。
あなたの世界が英語を通して広がると良いですね。
See you soon!
Jiro
追伸
Maverick!: The Success Story Behind the World’s Most Unusual Workplace
Random House Business (2001)
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www.amazon.co.jp/dp/0712678867
The Seven-Day Weekend 2004
Random House Business
↓ ↓ ↓
www.amazon.co.jp/dp/1591840260
奇跡の組織 秦 卓民 光文社 2019
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www.amazon.co.jp/dp/4334951201
Nonzero Logic of human destiny Robert Wright Vintage 2001
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www.amazon.co.jp/dp/B000Q9IRBY
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員