少し前になりますが、日本から元プリンセスご夫妻がニューヨークへ移住されたと言うニュースもあり、マンハッタンの物価や住宅事情など、日本で話題になっていたそうですね。そんなこともあってか、マンハッタン住宅事情について教えて下さい、という質問もいただきましたので、今回はその辺のお話をお伝えして行こうと思います。
部屋を借りる際、日本だったらまず必要といわれる、でもアメリカでは必要ない、というのがあります☆
マンション?アパート?
まず、アメリカでのアパートの通常の呼び方は、ちょっと違うので、ご説明しますね。日本で言うところの「マンション」は、すべて「アパート」と呼びます。「アパートメント・ビルディング」の略です。何億円もする超豪華、お城のような住居を「マンション」と呼ぶ場合はありますが、これは「超」が付くような豪邸のことです。
そして、間取りについて日本では、「1DK」「2LDK」というような言い方をしますが、アメリカでは「1bedroom」「2bedroom」と、ベッドルーム(寝室)の数を最初に言います。リビング・ルーム(居間)、ダイニング・ルーム(食堂)は通常は付いているので、特に言いません。
ベッドルームの必要数は、夫婦が使うのがメインベッドルーム、それから子供たちのベッドルームの数、またおじいちゃんおばあちゃんなどのベッドルーム、また、お客さまが多い家は、エキストラベッドルームも入れて考える感じですね。
ただ、上記の限りでなく、ベッドルームが特についていなくて、1部屋の中にリビング、ダイニング、ベッド、バスルームがある場合、「Studio(スタジオ)」と呼びます。日本のワンルームみたいな感じですね。
ニューヨークでは、ソーホー地区など昔倉庫街だったところを改築したアパートなどは、ロフトになっていて、大きな1ルームで全て賄うような、「Studio(スタジオ)」と言われるアパートも結構多くあります。
上がり続ける家賃
家賃について、ニューヨーク、特にマンハッタン内ではとにかくどんどん上がっています。パンデミックで、ワクチンを打ちたくない人たちが仕事を続けられなくなって、高い家賃を払い続けられなくなり、ずいぶんの人がマンハッタンから流出した、ということがあったのですが、それでも値段が下がると言う事はなく、ただ空き物件が増えて、アパートを見つけやすくなった、と言うのが実情でした。
見つけやすくなった、とういのは、もともとニューヨークでは、部屋を見てから決める、なんていってたら見つからない、物件は奪い合い!という状態だったので。
昨年後半から景気が戻りつつあり、値段はまたうなぎ登りと聞いています。
知り合いで、ニューヨーク市の職員をリタイヤした人が、一人暮らしで現在借りている、アッパーウェスト地区(マンハッタンの北の方で西側、セントラルパークのそば)で、キッチンダイニングで6畳、リビング12畳くらいの小さなワンベッドルームで、毎月約4500ドル(約50万円))の家賃だと聞き、驚いたことがあります。
家賃が高いのも驚きですが、公務員の年金でそれが払って行けるのだから、アメリカの保障制度はすごいな、と思いました。
では、続きは、頂いた質問にお答えする形で進めますね。
敷金、礼金はある?
日本と同じように、あります。敷金の事はデポジットまたはセキュリティ、礼金や手数料の事はフィーといいます。通常それぞれ1ヵ月分ずつのようですが、これはケースによって違います。
契約には何が必要?
まず、当たり前ですが本人の写真付きIDです。車の免許証や、パスポートなど。それと、クレジットレポート(信用証明)。厳しいところでは、収入証明書。現在働いている会社からもらえるそうです。大家によっては、それらの書類はいらない場合もあります。
保証人も必要?
日本では大抵の場合必要だと思いますが、アメリカで、アパートを借りるときに必要だとは聞いた事はありません。なので必要ないですね。
余談ですが、友人がアルバイトをゲットするときに、保証人が必要と言われ、私に電話がかかってきたことがあります。ほんの1 -2分、その人の人柄について聞かれて、とってもいい人ですよ、って言っただけで終ったのですが(笑)
アパートを借りるときは保証人は必要ないですが、アルバイトをするのには保証人が必要、というのは意外に思われるかもしれませんね。
まあ、保証人とはいっても、特に書類とか出すわけではないので、これでいいの?っていう感じではありましたが。
アパートを借りるのは、いい人だから貸す、真面目そうな人だから貸す、というわけではなく、あくまで契約書の内容を実行できるなら借りれる、ということ。なので、家賃の支払いを待ってもらう、家賃滞納なんてことはなく、払えなかったら即撤去です。
家賃に光熱費とか含まれる?
これは、アパートによって、いろいろあるようですが、普通、「水道・電気・ガス代込み」のところが多いと言われています。最近は、ネット代も含まれるなんてところもあるようです。ネット代込みというのは、日本でもあるそうですね。
駐車場は付いている?
これもケースバイケースですが、アパートに付いていても、なかなか空きが出なかったりします。アパートのレントと同じく値段もどんどん右肩上がりです。アッパーウェストサイドのアパートの地下駐車場で700ドルくらいです。ニューヨークでは、ストリートによっては駐車できる路上もあるので、やはり無料で路上に停めている人も相当に多いです。
分譲マンションってある?
もちろん、分譲のアパートも多いです。これには2種類あり、コンドミニアム(日本の分譲マンションのような感じ)と、コアップ(共同所有)と言われるものに別れます。コアップは、審査のレベルが非常に高く、日本にはない法人のシステムで、外国人にはなかなか敷居が高く、それを購入するのは我々にとっては簡単ではないと聞いています。
コンドミニアムは、だれでも購入することができます。なので、隣近所にどんな人が住むのかはわかならないですが、コアップの場合は、厳しい審査に通って、アパートのグループに入ることが出来た人しか購入できないので、限られた層の人しかいない、というのがいい人には良いのかもしれません。コアップは、売る時も自分の好きなようには売買ができません。
以上、ざっとですが、NYのアパートの事情、まとめてみました。
こう急に物価が上がってくると、私などは収入がついていかず、生活がもっと苦しくなる人々も増えると思います。私服を肥やすことばかりを考える政治家が、少しでも減ってくれれば、と思うのですが…
資本主義の世の中では、そうは簡単に行かないのかもしれませんねぇ。嘆息。(笑)
では、また来週。
Kayo
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。