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ワールドツアー 回想録#2「アイルランド」その2

World Lifeな生活
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前回までのあらすじは、ワールドツアー 回想録#2「アイルランド」その1ということで、ワールドツアーでアイルランドに行った際のお話をしましたが、今回はツアー先について、もう少し詳しくお話しますね。

今回のアイルランド・コンサートツアーでは、「キャンプヒル・コミュニティ」のコンサートホールを、イギリス領北アイルランドで3ヶ所、アイルランド共和国で1ヶ所 、演奏して回ります。

夢のようなキャンプヒル滞在

ツアーで回った「キャンプヒル」とは、学習障害(限局性学習症)のある子供から大人までが、世話をする人やセラピストらと共に住み、学び、働くところです。

日本で「キャンプヒル」と言うと、「キャンプするところ?」とか、「どこかの丘の話?」って言われますが、海外ではキャンプヒルという言葉は一般的。

誰かの助けを必要とする人々が、何の心配もすることなく、助けを受けながら、のどかに生涯生活を送ることができる、素晴らしいシステムのようです。

私が訪れたアイルランドのキャンプヒルでは、立派な教会やホールもあり、みんなで畑を耕し穀物を作り、牛や山羊を飼い、パンを焼き、チーズを作り、布を織ったりと、のどかに自給自足に近い生活をされています。

そこで、自家製の、美味しいミューズリィ(オーツ麦に、ドライフルーツやミックスナッツ、ヒマワリの種などを足したもので、シリアルの1種。ハリーポッターで、ホグワーツ魔術学校の朝食に出ていました)や、出来立てのバター、蜂蜜なども頂きました。またなんと、それぞれの美味しいこと!

もう毎日が、溢れる光の中での森林浴。しばし都会の喧騒と暑さを忘れる、夢のような時間が過ぎました。

音楽の国アイルランドは、スタンウェイを置く

さて、ツアーのお話に戻りまして、今回の演奏は、どのホールも満席で、大歓迎して頂きました。

まずちょっと驚いたのは、どの会場のホールも立派で、スタインウェイなどのグランドピアノがちゃんと入っていること。

調律もしっかりしてありました。これはとてもありがたいことです。さすが、歴史のあるヨーロッパ。

アメリカでは、まだ演奏会場にピアノがあればラッキーで(なければ電子ピアノを持ち込み)、あったとしても、まさか開拓時代のピアノ?というようなシロモノだったりすることがあります・・・。

本当にボロボロで、日本では全くお目にかかったことのないようなピアノであるにも関わらず!、平気で、”コンサートをやってください”、と言われたりすることもあるのです。

ジョークのような話ですが、有名なピアニストでも、ニューヨークで、鍵盤の真ん中の「ド」と「ファ」と「ソ」がないピアノで、ライブをさせられた、と言う話も聞いたことがあります(笑)

職人が手作りするスタインウェイ・ピアノ

音楽を普段あまりお聞きになられない方から、「スタンウェイ・ピアノ」ってなんですか?と聞かれたので、ここで少し、スタンウェイ(Steinway piano)について、少し詳しく説明を。

私自身が世界に1600人ほどの、スタンウェイ公式ピアニストなのですが、まず音が本当に心地いい。聴く人の心にすっと入ってくる、とても柔らかできれいな音なのです。

それとスタンウェイ・ピアノは、世界でも3本の指に入る、大きなコンサートホールでも、多彩な響きをもたらすことのできる、革新的なオリジナルの技術を使って作られたピアノです。
その理由は、何しろ手作りのパーツが多い。

いまだに、スタインウェイのファクトリーでは、たくさんの職人さんが木屑まみれになって働いていて、「工場で機械が作るピアノ? あー、カードボード(ボール紙)のピアノのことだね」と、売り上げ重視の某ピアノ会社のことを笑っていました。みなさん、年季のはいった職人さんたち!

ピアノの音は、1つの鍵盤を押すと、連動している1つの木のハンマーが、ピアノの中にびっしり張り巡らされているピアノ線をコツンと打って、音を出すというシンプルなものなのですが、その音を作り出すには、信じられないくらい、いくつもの要素が関わっています。

スタンウェイ・ピアノの場合、ピアノ線を叩くハンマーは、一つ一つ職人さんの手で削って作られています。このハンマーの曲線で音が変わりますし、ハンマーについているピアノ線を直接叩くフェルト。

これも、専門の方が一つ一つ、手で毛羽立てながらピアノ線に直接当たる部分を作っていくんです。

毛羽立てるのにも、その毛布みたいな生地を、ふわっと繊維そのものを立ち上げる剣山というか、注射器みたいな薬品とかもあったりします。調律師という仕事がありますが、彼らが使う道具はハンマーを基本とし、ピアノの内部を調整しようと思えば100種類以上。音をどう出すかによって、細かく道具を変えていくそうなんです。

このフェルトの部分が柔らかければ柔らかいほど、マロッとした音になります。古いピアノの音が硬くなっていくのは、このフェルト部分が何度もピアノ線に叩きつけられることによって硬くなったりし、音が劣化していくんです。

そして、スタンウェイの「まろやかな響き」を出すのに大事なピアノ本体の、ボディー部分の枠組みです。

グランドピアノの、ちょうど鍵盤側から見て、右脇のところにある見事な曲線ですが(画像参照)、これは機械の中に入れて乾かすのではなくて、人間の手で、板を少しずつ少しずつ押して作っていきます。本当に、少しずつ、少しずつ人間の力で、自然乾燥で曲げていくんです。

手作りピアノは、これら以外にも、とんでもない手間がかかっています。どんなに手間がかかっても、自分たちで芸術作品であるピアノを手作りして行く、という、すごい気骨が伺えました。

自分が、このスタインウェイピアノの公認ピアニストに認定されていることもあり、工場の見学ツアー、またいろいろな展示会にはいつも呼んでいただきます。

※公認ピアニストは、世界で歴代1600人ほどしかまだいないようです。ホロウィッツ氏や内田光子氏、ビリージョエル氏らも選ばれています。

以前ドイツの、ハンブルグにあるSteinway pianoの工場も、見学に行って来ました。歴史のあるヨーロッパのピアノ。とても感激したことを覚えています。

1つだけ、自慢しちゃおかな。ニューヨークの私の自宅のSteinway pianoには、今は亡き、創立者スタインウェイ氏のひ孫、ヘンリー・スタインウェイさんの自筆サインが入っています。

たまたま納品の時、ニューヨークの、当時カーネギーホールの向かいにあったスタインウェイホールにいらしてたの。これもニューヨークならではの思い出ですね。


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少し、といいながら、ついついピアノのことを熱く語ってしまいましたので、ツアーの続きはまた次回お伝えしますね♫

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