自分の人生の半分以上がアメリカ生活なのに、いまだに「あ、私は日本人だ!」とハッと思う時があります。
今回は、そんな、私は日本人だなあ!と思う瞬間をいくつかお届けします。
①銀行の閉店時間
「銀行に行かなくちゃ、と思った時に、あっ午後3時に閉まる! !と思ってしまう時」
アメリカの銀行は大抵5時ぐらいまで開いています。
調べてみたところ、日本の銀行は、銀行法と言う法律で決まっているので、ほとんどの銀行は午後3時に閉めるのだとか。しかし最近は、それに従わない銀行も増えてきたり、インターネットバンキングなどもありますよね。どんどん、使う人が便利なように変わっていく事は良いことだと思います。
日本の経済が発展しないのは、古い規則に縛られ過ぎていることだと。午後3時に銀行の窓口を閉めて、後は、当日のお金の出し入れを1円に至るまで、しっかり現金と帳簿をマニュアルで合わせていたのは昭和の時代のこと。
21世紀の現代ではコンピューターがあるのですから、新しい良い事はどんどん取り入れて、グローバルな歴史の変化にちゃんとついていけると良いですよね。
②重さの単位
「体重を計るとき、ついキログラムで考えてしまう時」
普段の生活では、パウンド(ポンド)を使っています。
1 パウンドは、約454グラム。お惣菜やお肉とかを買うときには、ハーフ(1/2)パウンド(約227グラム)、クォーター(1/4)パウンド(約114グラム)、などとして使います。
自分1人で、体重が今日は昨日よりちょっと減ったかな、などと考えるのには日本のキログラムでも別に構わないのですが、ドクターズ・オフィス(医師の診察)に行った時や、普通にアメリカ人との会話で、普段からパウンドで計算していないと話に入れないので、最近はずっとパウンドで考えています。
③イエス・ノーの答え方
ルームメイトが、「私、薬飲み忘れたよね?」って言ってきた時、そうそう、って言う意味で「イエス、イエス」って言ってしまい、間違った!英語では「ノー」って言うべきだった、と言い直す時。
これは、日本語と英語両方で生活している方にはあるあるなのですが、相手が言ったことが正しかった場合でも、質問が否定形だったら、答えが「ノー」になるのです。
この場合、薬を飲み忘れていたら、その事実は「まだ飲んでいない」から、日本語だと「イエス(そうそう)」なのですが、飲んで「いない」と言う事実なので、英語では「ノー」と言うのです。全く逆の返答の仕方になります。
この返答の仕方は、日本人の観光客でも覚えておくと良いかもしれません。これでずいぶん、英語圏での会話の誤解も解けると思います。
④歯医者さんで靴を
「歯医者さんで診察用の椅子に座るのについ靴を脱ごうとしてしまう時」
日本で靴を履いたまま診察用椅子に座り、歯科衛生士さんにすごく怒られたことが頭にあり、こちらでもつい靴を脱ごうとしてしまう時があるのですが、こちらでは靴を履いたまま診察椅子に座わります。
これから診療で、デンテスト(歯医者)に、どういうふうにこの歯の状況を説明しようか、などと考えながら診察椅子に座ると、つい逆のことをしてしまったりします。
アメリカでは、人前で靴を脱ぐと言うのは、完全に「マナー違反」ですから、不思議な顔をされます。人間て、間違っちゃいけない!と意識すると、かえってそこで、あれ?どっちだったっけ、と思い、間違っちゃうことも、ありますよね(笑)
ちなみに、日本では、「歯医者さん」と言うふうに「歯の医者」と扱われますが、アメリカでは歯医者はあくまで「デンテスト」で、「ドクター」の扱いではないです。
⑤警察官は正義の味方
ポリス・オフィサー(警察官)を見ると、日本で尊敬していた時のように、こちらの警察官をも、尊敬しようとしてしまう時。
アメリカでは、警察官を特別に尊敬はせず、単に同じ人間で、違う職業の人たち、と考えている。
私が日本にいた頃は、自分が子供だったからか、警察官は、悪い人たちを捕まえる正義の味方で、自分の危険も顧みず、私たちの生活を守ってくれているスーパースターなんだ、とずっと思っていました。
でも、ニューヨークでは、正義感に満ち溢れていると、簡単に銃で撃ち殺されたりするので、なかなかこれはよく考える必要があります。自分の信念に逆らうのは心苦しい、と思われますが、必要なときにはとにかく逃げる、と言うことが自分の身を守るためには大切なのだ、とこちらに来て知りました。
さて、今回は以上ですが、また思い出したら、「アメリカでのあるある」書いてみますね。
ではまた来週
Kayo
P.S,
今日もニューヨークは燦々と太陽が輝いています。ヒーターが充分効いた部屋でこれを書いていられるのも、とても幸せなことです。
皆さまも、年の暮れ、お忙しいとは思いますが、どうぞ胃腸を大切に、暖かくしてお過ごしくださいね。
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。