あなたは英語版のJR車内放送を聞いたことあります?何か物足りなさを感じませんでしたか?
私はJR東海(在来線)で2,3年で(コロナ過もあり)数回聞きましたが何だか物足りない感じ。
ワケは単純。最後に英語放送にお決まりのThank you がないのです。
(Thank youを言う言わないなんて大したことない…)とあなたは思います?
私はThank youを言うかどうかは大違いな気がします。どういうことでしょうか?
まずThank youに言葉を補ってみましょうThank you (for listening).「(聞いてくれて)有難う」と補えるでしょう。
誰かに話しを「聞いてもらう」とは、「相手の静けさを破る」ことと言えそう。
それならThank you (for listening).を言わないのは、相手の静けさを破る意識が薄い、大切という意識がないことでは。
つまりThank youと言わない=聞き手の個人の静けさを大事と思わない、なのかも
ただ日本文化は沈黙を大事にする文化だとも言われますよね。
例えば芭蕉の蛙の句が沈黙を詠んだ…との説明を学校で聞いたことがあなたもあるかも。
そこで微調整。日本人は話す時、聞き手の静けさを破るとはあまり考えない、つまり日本では人の私的な静けさが大事にされにくい.,,,そう言えると思います。
さてそんな聞き手の私的静けさへの洋の東西の態度の差はどうしてあるのでしょう。
視点が広がりますが、西洋と東洋の沈黙の差にありそうです。
「沈黙の差」なんて少し唐突かも。なのでまず個人的な体験に触れますね。それは沈黙についてドイツの哲学者Max Picardが書いた「沈黙の世界」という本との出会いです。
<ある本との運命的出会い?>
あなたには題名だけで本の内容が「分かった」経験はありますか?私にはこの本がまさにそう。地元の図書館の棚に「沈黙の世界」というタイトルを見つけた途端、ジーン?ショック?。
題名だけから「アッそうか~」というような不思議な感じがしました。全て分かった(気がしたw)私は二日後の上智大受験でこの本について書きました。そしたら見事合格w この本のおかげですw
冗談はさておき、個人的な体験から文化の差に戻ります。
以来何度も読み返してきた意味深な本。私には西洋人の筆者の全体的なメッセージは「沈黙に神が宿る」つまり「沈黙はdivineディヴァイン(神的)」….そんな気がします。
では他方日本はどうでしょう。日本では「神様が沈黙中に存在する」って聞いたことあります?俳句とか茶の湯とか沈黙が尊重される場合があっても、神との関係は薄い。つまり日本の沈黙は一応secular(世俗的)で神と直接関係はないと言えそう。
だから日本の静けさは、人間同士の間のマナーの話がほとんど。ただそのマナーも守られていない場面は多い感じ。私ならJRの車内放送のほとんどは静けさの破壊だと思うのですw。
結局、西洋では沈黙に神がいるので聞き手の沈黙にも神がいる。だから聞き手の沈黙も神聖で大事。でも日本の沈黙は世俗的で神と直接結びつかない。その分聞き手の沈黙も西洋程には大事にされにくくなる…以上が結論かな。
西洋の文化の方が何でも優れているワケはないでしょうが、学ぶ点はまだありそう。沈黙を大事にする姿勢はその一つかも。
<新しい変化?>
冒頭の英語の車内放送の話に戻ります。
実は数日前、関西方面に新幹線を利用した時のこと。英語の車内放送でThank you. が聞こえ思わず何度も頷きました。
これって車掌さん個人の判断?それとも新幹線では昔から普通のこと?新幹線・在来線を問わず、JR車内放送の尻尾のthank youが当たり前になりますよう。そしてやがて日本でも、聞き手個人の沈黙が大事にされますように。
See you soon!
Jiro
<英語版>
知ってる内容を英語ルートで理解する。洋画で字幕を読んで英語を聞くように。
↓ ↓ ↓
英語版はこちらから☆
追記:芭蕉の「古池や~」は、人や神も超えたスケールの沈黙を描く…のような見方もあるそう。これについてはいずれまた。
◯『沈黙の世界』
https://amzn.to/3EyUyxN
◯同英語版 (Amazon canada)
https://www.amazon.ca/World-Silence-Max-Picard/dp/0971748314
◯同ドイツ語版 (Amazon deutch)
https://www.amazon.de/Die-Welt-Schweigens-Max-Picard/dp/3492109373
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員