連日のように報道される大谷翔平選手のニュース。
これはマンガのストーリーか,というくらいの数々の功績は驚きを通り越して,もうため息しか出ません。
はぁ…すごいです。
彼の野球に対する思いと努力,
いやぁ,さすがですよね。
さて,この
「さすが!」
英語ではどう言うのか,今日は一緒に考えていきましょう!
―どうして「流れる石」と書いて流石なの?―
流れる石と書いて「さすが」と読みますが,なぜなんでしょうか。
諸説あるようですが,よく言われるのが古代中国のお話から来ているという説。
中国王朝の一つ,晋国の孫楚という人物が友人に対し,
「自然の中で暮らしたい」
と言う際に,
〔枕石漱流〕(石を枕にして,川の流れでうがいをするような生活)
と言うつもりが,
〔漱石枕流〕(川の流れを枕にして,石でうがいをするような生活…)
と言い間違えてしまったそう。
いやいや逆でしょ?とツッコミたくなるじゃないですか。
その友人もそうツッコんだところ,どうも負けず嫌いだった孫楚は
「川の流れを枕にすれば耳を洗うことができる,石でうがいをすれば歯を磨くことができる」
と言い間違いを認めなかったそう。
それを聞いた友人は,
「さすが,頭の回転が早い!」
と感心したそう。
そこから,「川の流れ,石」となり
「流石(さすが)」
と言うようになったのだとか。
なんとも言い間違えからだなんて,面白い逸話ですよね。
―英語で「さすが!」は?―
さて,その「さすが」。
英語ではどのように言うのでしょうか。
英語でも同じように,
“Flowing stone”
と,そのまま「流れている石」と言う…わけにはいきません。
英語には,
「さすが=◯◯」
のような一語一義の直訳はありませんので,
そのシチュエーションに合った表現にする必要があるんですね。
実は先日こんなことがありました。
私の上司は英語ネイティブなのですが,社内チャットで私は次のようなメッセージを送ったんです。
“I’ve handled the issue, so everything is fine so far.”
(その問題については対応済みですので,今のところ問題ありません。)
すると上司からは,
“Thank you. You are the best!”
と返答がありました。
“You are the best.”って直訳すると,
「あなたは最高です」
となりますよね。
でも,この状況,つまり
「仕事上の問題はすでに対応済で,今のところは大丈夫ですよ」
と報告したことに対して “You’re the best.”は,「最高な人だ」というニュアンスではなく,
「さすがだね」
という感じなんです。
自分が誰かに協力してもらって助かったときは,
“You are the best.”
「(あなたは最高!)=さすが!」
と言ったり,
“best”の部分を変えて
“You are amazing!”
“You’re incredible!”
のような「素晴らしい」という意味の言葉を入れて
「さすが!」
という意味合いを表現したりすることができますよ。
―他にもある「さすが!」の言い方―
状況によって「さすが」の表現はいろいろあるとお伝えしましたが,
こんな場合の「さすが」もあります。
「予測どおり,期待どおり」の「さすが」です。
例えば,何かに挑戦する人がいたとします。
あなたは,
(この人なら絶対に大丈夫,必ずできる!)
と思っていて,その通りその人がそれを成し遂げた場合,
“As expected!”(期待通りだよ!)
という表現で
「さすが!」
を表すことができます。
でもこれは,
「期待通りの結果だよ」
という意味の「さすが」なので,驚きはあまり入っていません。
驚きを強調したい場合は,
「印象的・素晴らしい」
「感銘を受ける」
という意味の,
“Impressive!”
を使うと良いですよ。
何かに挑戦して成功した人に対して,
“Impressive!”
(すごいじゃん!=さすが!)
と言ってあげると,きっと相手も喜んでくれると思いますよ。
―I’m proud of you.は,「誇りに思うよ」ではない?―
褒める言葉と言えば,こんな表現を聞いたことがあるでしょうか。
“I’m proud of you!”
“proud”=誇りに思う
なので,
「私はあなたを誇りに思います」
と訳されていることが多いのですが,本当はちょっとだけニュアンスが違うんです。
私が学生の頃,アメリカのお母さんに
“Good job, Cozy. I’m proud of you.”
なんて時々言われていました。
その度に
(自分のことを誇りに思ってくれるなんて!)
と,若干恐縮ぎみに思っていた私。
だって日本語で「誇りに思うわ」なんて言われたら,すごく褒められたような感じに思うじゃないですか。
でも何度か言われたり,友人からも言われたりする頃には
(あれ?これよく言われるなぁ。もしかすると,そこまで大げさな感じじゃないのかな)
と思うようになったんですね。
その後,いろんな状況でこの表現を聞いたり使ったりするうちに
(ああ,これ「誇りに思う」じゃないな)
と気づいたんです。
そんなときアメリカ人の友人に
「 “I’m proud of you.” を別の表現にするとどんな感じ?」
と聞いてみたところ,
“I’m happy for you.”
と言うではありませんか。
そう, “I’m proud of you.”は,
「すごいね!」
「よかったね!」
くらいの割と軽いニュアンスだったんです。
確かに “proud”は「誇りに思う」と訳されることも多く,辞書にもそのように載っています。
でも,“I’m proud of you.”という表現になると,
「あなたのことを誇りに思うよ」
というような重くて固い表現とまではいかないんですね。
この表現も,自分が肌で感じて覚えた表現でした。
さて,今回の「さすが!」いかがでしたでしょうか。
ぜひ,
“You are the best!”
“You are amazing!”
“You’re incredible!”
“As expected.”
“Impressive!”
を状況に応じて使ってみてくださいね。
あ,もちろん
“I’m proud of you!” も。
それではまた来週〜♪
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。