Hi!
火曜のJiroです。
中高生に英語を教えていると、同じ所で大勢がつまずきます。それを知ることは大人のあなたにもきっと役に立つのではないでしょうか?
次の英文、シンプルに見えますが、9割の中高生がつまずくポイントだらけなんです。
To read a book, it is necessary to be patient.
さてあなたは、次の①と②、どちらの訳が自然だと思いますか?
① 本を読むこと、それは忍耐強くなるために必要だ
② 本を読むためには、忍耐強くなることが必要だ。
①を選ぶ人が多い理由
正解は②。
でも、多くの中高生が①の意味を取ってしまうんです。
特に
「to read = 名詞的用法『〜すること』」
「to be patient = 副詞的用法『〜するために』」
なんて文法用語を並べると、ほとんどが①に誘導されてしまうんです。
なぜでしょうか? ….
英文の構造ー英語の語順ーを、肌で感じていないからなんです。
語順のルール:「誰が・何をする」が先に来る
英語では、文の先頭に主語・動詞が来るのがデフォルト。
これを意識すると、文の構造が「見えて」きます。
だから“To read a book” まで読んだ時点では、これが主語の可能性もあるわけです。
でも it is と来た途端、その可能性は(ほぼ)ゼロに。
なぜなら、it isが、主語(it)と動詞(is)でちゃんとした文の形になってるからです。
つまり、To read a book は、なくても文が成立する「修飾的な要素」だと分かります。
そして文頭の修飾的な「To~」なら、ほとんど「〜するために(目的)」という意味。
だからTo read a bookは「本を読む為、読書の為には」と言う意味だと見当がついてくるんですね。
「it is necessary」で何が分かるか?
そして it is necessary(必要だ)まで来れば、「〜する為に」+「(何かが)必要」という自然な流れに気づきます。
では「何が」必要なのでしょう?
「to be patient」で腑に落ちる
to be patient を見た瞬間(あっこれが it が予告した「必要なものだ」)と分かり、全体の意味が腑に落ちます。
このように先取りして予告する主語の it を「仮主語」とか「形式主語」といいます。
・To read a book = 本を読むためには
・it is necessary = 〜が必要だ
・to be patient = 忍耐強くあること
①の意味なら、どう書くべきか?
ここまで説明すると、ほぼ必ず生徒に聞かれる質問があります。
『なぜ「本を読むこと、それは….必要だ」じゃいけないんですか?…』
という質問です。
実は、その言い方はちょっと不自然。
強いて書くなら
Reading books, it is necessary…
のように、より具体的な表現を先に出して、それを it で受け直す形になるでしょう。
勿論このように「ルイ、彼は…」とか「このネコとネズミ、彼らは…」という言い方は、通じることは通じます。
耳にしたこともあります。でも、私が一度使った時、ネイティブの表情が曇ったんですよね。何だか変に感じたのでしょう。やっぱりちゃんとした言い方を優先して身に着けた方がいいと思います。
例えながらまとめると
Shimada, it is my hometown.
(島田、それは私の故郷です)
は通じなくはないけど、ちょっと不自然。
Shimada is my hometown.
とシンプルに言えるといい。
仮主語の it は「選択肢」として持っておく
仮主語の it でいつも済まそう…と言うワケではありません。
もっと簡単な言い方もあります。でも仮主語のitを使えると、表現の幅が広がるようです。
例:
It is wonderful to take a walk early in the morning.
= An early morning walk is pleasant.
It is not difficult for some people to remember things quickly.
= Some people remember things easily.
どちらの形でも表現できることが、英語の柔軟性につながりそうですね。
中高生に英語を教えていると、英語を「日本語訳を当てはめるパズル」のように扱いがちです。
でも本当に大切なのは、英語の語順ルールに沿って、文の構造を前から掴んでいく感覚です。
・先に出たがる主語・動詞が分かるか?
・修飾はどこ?
・全体の「骨組み」は見える?
これを意識するだけで、英語の見え方が変わります。
あなたは英文を「パズル」ではなく「パターン(型、構造)」で読めているでしょうか?
中高生がよく誤解する構文パターンについて、またお話ししますので、お楽しみに。
See you again
Jiro
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員











