Hi!
火曜のJiroです。
かなり以前のお話ですが、舞台「人魚姫」の主演を演じていたある女優の方が
「最近人魚姫がやりにくい・・・。もう人魚姫を演じるのは無理なのかもしれない・・・。」
とラジオで発言。
偶然これを聞いていた私は、エッと驚きました。
その女優の方の話によると、
「私が眠ている王子にナイフを振り上げ、殺すかどうか躊躇う、舞台の一番の山場で、客席から子供が『殺せ!!』と…そこから舞台が滅茶苦茶に…」
と理由を語られていました。
人魚姫のお話をご存じない方の為に、かいつまんでご紹介すると、人間になりたい人魚姫が、王子に恋をし、色々あって最後に、魔女が「人間になりたいなら王子を殺せ」とナイフを渡される。王子を殺せば人間になれると、人魚姫が眠る王子にナイフ振り上げるが・・・というのが最後のシーン。
王子を殺さず、自ら泡となり消える人魚姫。
「やっぱり殺せないよね…」と観客が涙し、感動の内に終わるのが元の筋書き。
ところが、この時は「さっさと殺せば」と一部の観客が真逆の反応。張り詰めた雰囲気が一瞬で壊れ、この女優の方も呆然としたようなんです。
舞台の一番の山場が台無し、子供の『殺せ!』の一声…ショックが大きかったでしょうね。
<英語にもう一つの「海」が>
さて「人魚姫」の劇で絡み合っている「海」と「死」のイメージ。この二つ、英語でも意外な繋がりがあるようです。
「海」というと、あなたの頭に浮かぶのは、seaかもしれません。
でも英語に、別の「海」の語源があるのご存じでしょうか。
それは単語DNA のMER / マー(海)。
今日は、MERを語源にもつ、mermaid(人魚)、submarine(潜水艦)、murder(殺人)、mortal(死すべき)の4つを見てみましょう。
<mermaidとsubmarineは由来が一緒>
まずmermaid / マーメイド(人魚) 。
人魚姫のタイトルは、Little Mermaid。このmer-にDNAのMER(マー/海)が。maidは元々未婚の男女を指す広い言葉で、ここでは勿論女性。全体で海の娘。
mer (海)+maid(娘) → 海の娘 → 人魚
次はsubmarine / サブマリーン(潜水艦)。
subは「~の下」。marineは「海の~」の意味。「海の下の~」が「海の下の船」として使われ、「潜水艦」を指すようになったようです。
sub (~の下) + marine(海の)→ submarine「海の下の~」→「海の下の船」→「潜水艦」
<海と死は一つなのか?>
DNAの MER / マー(海)は、実はMER / マー(海と死)と、「死」の意味も持っていたとされます。
MERに二つの意味を持たせる根拠は古代の風習。大昔死者を海に流す習慣があったらしいんですね。そこから 海 → 死 の連想が生まれたと。
「死」と聞くと、あなたは die とか death を思うかもしれませんが、今回話ししたいのは、例えばmurder / マーダー(殺人)や mortal / モータル(死すべき)。
この mur- や mor- の部分に、DNAのMER(海と死)があると。mur や mor が元々のMERの綴りだったなら、分かり易かったんですけどね。
↗ murder / マーダー(殺人)
MER / マー (海 → 死)
↘ mortal / モータル (死すべき)
海に死の影が差すようですね。
<我が子はどうして殺人鬼にならなかった?>
冒頭のお話に戻ると、『殺せ!』と叫んだ子供のことが、人の子のことなんですが、何だかスルーしにくく、とても気になりました。何でそんな声を上げたのでしょう。
テレビ等の影響がよく言われますが、確かに、殴り合い殺し合う場面を我が子がジーッと見つめてたら、末恐ろしく、怖くなりそう。
自分の子育て期を思い返すと、当時もとても心配になり、TVの暴力的シーンを実際に数えてみたことがあります。当時我が子は小1で、そのころ人気のアニメ「ドラゴンボール」。
一回の番組に、殴る蹴る殺人などのシーンが平均40回位かな…週1の放送で一年50週と考えたら、40×50=2000。小学校6年間で×6で12000。他の番組も見ると2,3倍。ゲームやネットも…合計すると3万回から4万回!これじゃ影響ないはずがない、どうしよう・・・
などと思ったりもしましたが、我が子も殺人や暴力事件も起こさずに、無事に大人になりました。
山ほど見た暴力的な映像・・・なぜ無事に育ったのか・・・
おそらく、親世代が持っている暴力反対という気持ちが、いつの間にか子供に伝わり、暴力はよくない、と思う大人になったのかもしれません。
テレビやメディアの影響、心配しすぎる必要ない。影響が大きいのは、あなたの価値観があなたの子供を導く羅針盤になるから。
それではまた次回。
See you again.
Jiro
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員





