意外な意味や繋がりを見つけて楽しく英語を学ぶのに役立つ単語DNAの第5弾。今回は同じDNAを持つthousand, thigh, thumbを中心に見ていこうと思います^^
さて突然ですが、1000がどういう数なのか、100を使って簡単に説明してもらえるでしょうか。ただし、「10倍」とか「10個」等の表現は使わず、「1000とは~100」の形で。
ヒントは英語のthousand―「さウザンド」に近い―に入っているDNAです。(thは舌先を軽く噛む音。日本語にはないので「さ」で表しています。)
さてthousandとはどういう100であると、英語の語源は言っているのでしょうか?
thousandには、前半部分に「膨らむ」という意味のDNAが入っています。後半のsandは「100」の意味。centセント(100分の1ドル)に何となく似てますよね。全体で「膨れた100」と言う意味です。ですから答えは
1000 (thousand)とは 膨れた100
これってびっくりですよね。100が10個集まった、とか100の10倍ではなく100が言わば太って1000だなんて!
私この語源を初めて知った時、小さい子が巨峰を見た時に呟いた言葉を思い出したんです。それは「あっブドウ太った!」というものだったのですが、私この発想に驚いたのを覚えていて、それとちょうど同じ驚きがthousandに入っているDNAを知った時に蘇りました。
大昔英語を話す人たちが、「さあ1,000の数をどう呼ぼうか」と考えてた時「そうだ『太った100、膨れた100』にしよう!」と決めたかどうかは分かりませんが、1000 は膨れた100だよと言われてみれば、表現としてもそれなりにケチはつけにくい気がします。
millionも太っていた?
桁数の多い数を「太った」や「膨れた」とする発想は他の言語にも見られます。
1000を「膨れた100」とする英語と同じ語源に遡れるのはドイツ語とロシア語です。ドイツ語は「タウゼント」とほとんど英語と同じ。ロシア語は「トゥイスィッチ」とかなり違います。
フランス語では1000をmilleと言います。発音は「ミッル」に近い。この語源であるラテン語に「大きな」という尻尾(-ioneや-ion) がついて、500年前位に生まれたのがmillion(英語で100万)だとか。つまりmillion(英語で100万)というのは語源的に「でかい1000」!何だか「膨れた100」と同じような発想ですね。
激闘の末膨らんできた「腿」?
人の脚の上部「腿」、英語ではthigh(さイ)….highのように最後のghは読みません。この単語にも「膨らむ」DNAが入っています。
中学生の時に運動部だったのですが、部員同士で何となく筋肉を競ったことがあります。私はお腹いっぱい食べても運動やっても思い通り筋肉がつかず他の部員の盛り上がっ(て見えた)腿に羨望を感じました。
これはあくまで私の想像ですが、
いくらでも食べられるような現代から大昔に想像を馳せると、食べ物はきっと不足していたでしょう。
そんな中で人々は命がけで狩りや農作業を行い、結果的に身体も鍛えあげられ腿も「膨れた」部分になったのでしょう。thighの語源には、人類の苦闘の歴史が刻まれているのかもしれませんね。
他にも、体の部位には日常生活の平俗な言葉が残り易そうなので、thigh―「膨れた」という語源には、むしろ乳児の福々しい腿や、新妻の眩しい太腿等が反映しているのかもしれませんね。
(このthigh「さイ」最後のghは読みません。high「ハイ」(高い)等と同じです)
「膨れた指」の受難?
さて、あなたも私もPCやスマホの操作で使っている指の一つである親指。英語ではthumb「さム」。これにも膨れるDNAが入っています。「膨れた指」というわけですね。
私この由来を知った時から「だからどうなの?」のような違和感が消えなかったんです。でもそれが私の折った折り紙のツルに米国人が本当に驚く様子を目撃し一遍に解消したことがあります。
つまり英語のように親指だけが他の指より「膨れた指」と捉えられていると、その捉え方が原因で細かい作業が億劫になることもあったのかなと。
もし、もしですよ、大昔の人が「俺の親指膨れてるから、細かい作業はやめとこう」なんて思って、やればできるのに細かい作業を避けているうちに増々苦手になっていったとしたら、語源的な発想の影響力って大きいなあって言えますよね。
親指に関し、気になったのですが、最近、整形外科の先生から親指の腱鞘炎が多いという話を聞いたことがあります。スマホのスワイプ(swipe)やフリック(flick)が元凶だとか。親指は本来他の指と向かい合って動くようにできている為、swipeやflickのような一人(一指?)だけの水平運動は構造上負担があるとも。
スマホ使うなら親指を労わりながら使いたいものですね。親指は「膨れた指」であってswiper(スワイプする指)やflicker(フリックする指)という名前ではないんですよね。スマホを使うと内向的な性格になるという実験もあり、スマホの使用に警鐘が鳴っているそうです….(興味のある方は私のarchiveへどうぞ)
thumbは「さム」。最後のbは読みません。tomb「トゥーム」(墓)と似ていますね。
今日の単語DNAは「膨らむ」でした。思いがけない語源や単語同士の関連に驚き、想像を「膨ら
ませ」楽しく学んで行けるといいですね。 See you later!
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員