いきなりなんだか悩ましいタイトルでスタートしましたが,
あまり嬉しくない初体験です。
実はつい先日,人生で初めての救急車体験をしました。
もちろん社会科見学のような体験ではなく,体調を崩しての搬送体験です。
今まで経験したことのない体調不良を感じた,ある日の朝。
まともに会話もできない状態が続き,仕方なく人生初の救急車を呼ぶことに。
これまではどんなに辛い症状があっても,「自力」で病院へ行っていたのですが,
今回ばかりは,そんな余裕もありません。
駆けつけていただいた救急隊員の方々のテキパキとした行動に感心するも,次第に意識も遠のく感じ。
救急車に揺られながら,「ああ,日本でよかった。でもこれ,記事にするのかな」
なんて思いながら,病院へ到着したのでした。
救急車は「有料」?
日本では「無料」の救急車も,アメリカなど海外では有料であるという話はご存知の方も多いはず。
でも,その料金まではあまり知られていないかもしれません。
アメリカでは,救急車の運用は公営と民営に分かれています。
公営は各州の法律に基づき運営されていますが,民営は様々な会社が各地域で事業を展開しています。
アメリカでは,地域や搬送中に処置された内容,距離などによって料金は変わってきますが,その料金は年々上がっているそう。
ロサンゼルスでは,2020年の相場で約1,500ドル。
なんと日本円でおよそ165,000円!(1ドル110円計算)
これは,ALS1 Emergency(Advanced Life Support=高度医療対応の救急車)を呼んだ値段です。
さらにこれに「走行距離」が加算されます。
たとえば病院までの距離が10km(6.25マイル)だとすると,約60ドル(1マイル)として,「60ドル×6.25マイル=375ドル(41,250円)が加算され,救急車での搬送のみで20万円を超える料金となるのです。
もしこれが夜中であれば,ここに「夜間料金」が加算されます。
「でも,生命保険に入っていれば大丈夫なのでは?」
そう思いますよね。
アメリカの保険
アメリカでは,基本的に自分の働く会社が契約している民間の保険会社に入ります。
また自営業の人は,自分で民間保険会社と契約して加入します。
日本のサラリーマンのように社会保険もありませんし,国民健康保険のような制度もありません。
公的医療保険制度して存在するのはメディケア(Medicare…65歳以上の高齢者や障がいを持つ人対象)とメディケイド(Medicaid…低所得者を対象)の2つのみ。
そのため,高齢者でもなく,障がいもなく,また低所得でもない場合の人々は自分で保険に入らなければなりません。
その民間保険料は決して安くはありません。
私たち日本人からすれば,病院にかかりたい場合は自分で好きな病院へ行って診察,治療してもらうのが当たり前と思いますよね。
しかし,そのようなプランの保険はアメリカではかなり高額。
しかも,保険を利用して治療すれば,翌年の保険料はさらに高くなってしまうため,保険に入らない人,または入ることもできない人が多くいるのです。
自分で保険に加入したとしても,その保険がどの程度,救急車での搬送費をカバーしてくれるのかも保険によって様々。
中には救急車での搬送費はカバーされない場合もあるのです。
だから,多くの人はできるだけ救急車は呼ばずに自力で病院へ行くのだそうです。
医療費も高額
そして,治療費だって高額なのがアメリカです。
アメリカの医療は自由診療で,医療費用も医師,または病院が自由に決定できるのです。
これは,「質の高い医療は,それだけ人件費も設備費用もかかる」という考えが根本にあるからだそう。
なので,虫垂炎で入院・手術した場合,入院2~3日でかかる費用は100~600万円。
(2~3日で退院だなんて,早いですよね。でもこれが普通だそう。)
上述したように,自身が加入している保険がカバーしていれば負担額も抑えることができます。
加入プランによって負担額は変わってきますが,日本よりも高いのは代わりありません。
では,日本での場合はどうでしょうか。
日本で手術・入院した場合,入院約7日,費用は約30~40万円。
ですが,社会保険や国民健康保険,高額医療制度の適応されるため,自己負担額は約8万円程度になります。
さらに自身で加入している保険などがあれば,さらに抑えることができます。
海外旅行障害保険
旅行などでアメリカへ行く際,海外旅行向けの保険に加入する人も多いと思います。
また,「クレジットカードに付帯している保険があるから大丈夫。という人もいるでしょう。
では,その保険の内容をしっかり理解していますか?
多くの場合,救急搬送費はカバーされていなかったり,過去に罹った病気に関しては対象外となったりすることもあるので,どこまで保証されるのかをしっかりと調べておきましょう
「旅先で病気にはならないだろう…。」なんて思っていたら大間違い。
人生何があるかわかりません。
少なくとも医療費は3,000万円以上の保障があるものを選んでおきましょう。
日本人は恵まれている
人間って毎日同じ環境で生活をしていると,たとえ恵まれていることであっても「当たり前」となってしまうもの。
自分もやっぱりそうです。
でも,今回,救急車搬送されて思ったことが3つあるのです。
1つ目は,「いかに平凡な毎日であっても,それがどれだけすごいことか」ということ。
毎日,朝起きて,愛犬と散歩して,仕事して,ご飯食べて・・・という生活。
なんの変哲もない毎日の生活。
「なんか良いことないかなぁ」と思ってしまいがちですが,こんな毎日の生活こそ恵まれているんですよね。
つい忘れがちですが・・・(^_^;)
2つ目は,「人間はやっぱり1人では生きていけないんだな」ということ。
もちろんこれまでも理解していたつもりですが,ついつい不満な気持ちを持ったり,イラッとしたり…。
今回,救急隊員の方々,そして看護師の方々のプロフェッショナルな仕事振りに触れ,本当に頭が下がる思いでした。
家族,友達,友人・知人,仕事関係の人々…
ああ,考えると,やっぱり自分は1人じゃ生きられていないですね。
もっと大切にしなくちゃいけません。
そして3つ目は,「日本ってすごいじゃん」ってこと。
こういう整った医療制度,海外と比較してもすごいと思いませんか?
今の社会情勢を鑑みると,いろいろと思うところはあると思います。
そして,このコロナ禍で人々の心も荒んでいるようにも感じることの多々あります。
でも,こんなときだからこそ,不満な部分や足りない部分ばかりに目をやるのではなく,今ある幸せな部分,恵まれている部分にも目を向けて見るのもいいと思うのです。
ネガティブな部分から目を背けるという意味じゃなくて,です。
不満や攻撃的な心で自分を苦しめるのも,自分。
恵まれている部分に目を向けて,「なかなかいい環境じゃん。」と,明るい気持ちになるのも自分。
同じ日々を送るなら,どっちがいいのか,それを選ぶことができるのはやっぱり自分なんですよね。
今回の救急搬送。
体調的には大変でしたが,そんなことを考えることのできた初体験でした。
でも,本当に今回ばかりは「自分は死ぬんじゃないか」と思いました…。
回復したから良かったのですが,これからはもっと体調にも気を配らねば。
みなさまも,くれぐれもお気をつけを~。
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。