以前の記事で、希望について話したことを覚えてますか?
(以前の記事はこちらを)
私、英検1級とTOEIC満点に加え、フランス語検定とドイツ語検定、スペイン語検定1級を持っているので、希望の話の時にふと思ったことがあるんです。
何かというと、英語で希望はHOPE
絶望はdespair (ディスペア)。
別々の単語ですが、それ以外の言語では別々の単語ではなく似た単語だよなということを思ったんです。
例えばスペイン語では「希望」がesperar(エスペラール)で「絶望する」がdesesperar(デセスペラル)。何だか似てますよね。
イタリア語だとsperare(スペラーレ)とdisperare(ディスペラーレ)。フランス語でも同じ感じ。
英語は全く違う2語なのに、他の言語では共通部分があり似ています。
実はちょっとした単語の歴史を調べるのが、私の趣味みたいな…あなたがこれまでの記事読んでくれたことがあったら、もうご存知かも。
そこで今回も、なんで英語は希望と絶望が別々の単語なのに、他の言語は同じような単語を使うんだろう…と調べてみることにしました。
今回も調べる方法としては、これまでのように単語DNAを辿るという方法。単語DNAとは、何千年もの大昔の語源を調べること。
英語だけでなく、ヨーロッパの他の言語についても当てはまるので、同じ単語をヨーロッパの他の言語と比べることで、たくさんのことが分かります。
早速調べていくのですが、調べるまえにまずは仮説を。仮説をたてないと、膨大な量の単語DNAを1から調べることになります。とてつもなく時間がかかるので、まずは仮説を立ててから調べます。
その仮説とは、英語にもhope以外に、他の言語に似た「希望」があった。hopeに押され消えてしまったが、「エスペラ~~」みたいな単語が昔はあったのでは、ということ。
調べるのに使えそうな資料も、偶然手元にありました。それは17世紀の劇作家シェイクスピア関連の辞書。これは彼の作品中、現代では意味不明の単語を集めたもの。私この辞書で、今は消えた「エスペラ~」みたいな単語がのってないか探したんです。
何とやっぱり、ありました。その単語はesperance (エスペランス/希望の名詞)。シェークスピアの3つの用例がのってました。
さて、Esperanceが分かったことで、新たな謎が出てきます。それは、同じ意味のhopeが生き残ってるのは何故?ということです。そこで、謎のカギを探しにhopeの由来を調べました。
hopeはワクワクするような「希望」
hopeはhop(ホップ/跳ぶ)からという説がありました。三段跳びのhop, step, jumpのhop。つまりhopeの語源は「ワクワク希望する、跳びたがる」の様に考えられそうなのです。
もしこの説が正しければ、hopeは身体の感覚に結びついています。hopeは「ぴょんぴょん、ワクワク」的な実感があって、とても身近なのかも。だからesperanceなんかより好まれ、今でも使われているのかもしれませんね。
アハ体験してる?
私が単語DNAを調べるのが好きな理由、一つには謎解き感覚なのかも。推理小説や、クロスワードパズルなど好きな方もいらっしゃるかもしれません。
それと似たような感覚かもしれませんが、自分が立てた仮説を元に答えを探す。その答えが仮説とぴったりあってた時、とても達成感を感じる訳です。
「ああ!犯人はやっぱりこの人だったんだ!」みたいな。
もっと分かりやすいものだと、好きなスポーツで、予想が的中した時、あるいは仕事のプロジェクトが見事成功した時の達成感みたいなものでしょうか。
この達成感、実はどんな勉強でも非常に重要。例えば英文法の問題を解く時。4択でも、自分なりの仮説をたて、答え合わせで毎回検証する。仮説が合うと、人は快楽物質が出るようで、その快感もっと味わいたいって英文法の勉強を頑張る…らしいです。
物理学の天才ファインマン博士もこう言っています。
「ノーベル賞の研究も日常の問題も、頭の使い方は一緒。人だけがそうやって考えられる、しかも楽しみながら。」
もしかすると、英語の文法の勉強が辛い。英語の勉強自体がそもそも辛いという方は、仮説ではなく当てずっぽうだったのかも。一度仮説を立てて、答え合わせで検証するってことをやってみるの、いいかもしれませんね。
そうすると、今まで苦手で辛い英語の勉強も、もっとやりたい!となってるかもしれませんよ^^
See you later!
P S
実は、オーストラリアにEsperanceという名前の街があるそうです。そこにはピンク色の湖があるそうで、住んでいる方は「私の街の名前? 希望よ!」なんて会話してるかもしれませんね。
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員