アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市では、先ごろ11月2日(火)に市長選挙が行われ、この8年間の2期で満期となるデ・ブラシオ市長の後任に、デモクラット(民主党)から立候補したエリック・アダムズ氏が当選しました。
エリック氏は、現在ブルックリン区の区長を務めており、ニューヨーク市では2人目の黒人市長です。NYPD (ニューヨーク市警察)の警部を勤めあげた人で、市内の治安回復に力を捧げるのが、公約です。
今回共和党からは、ガーディアン・エンジェルスと言う、赤いベレー帽をかぶりブロードウェイなどを見回る、非武装自警団の創設者である、カーティス・スリワ氏が対抗馬でした。
しかしながら、ニューヨークはもともと民主党の地盤が強いこともあり、今回の選挙戦は手に汗握ることもなく、まったくのエリック氏の圧勝でした。
ーワクチン接種義務ー
現在ニューヨークではコロナでのパンデミック以降、銃犯罪や、ヘイトクライムなど、アジア人等への襲撃も増加の傾向があり、市民の多くからは、安全な街を作ってほしい、という要望が届いたものと思われます。
また、このコロナ禍、先日からニューヨーク市の職員はワクチン接種義務があり、ワクチンをしていないと仕事につけないのですが、現在ワクチンを摂取していない人員は9,000人にも上っており、これらの人々が無給で仕事を干されている状態です。
エリック市長は、就任後来年の1月から、このことについて、組合等と話し合いを進めていくと宣言しました。この、現在職を失っている人たちの中には、警察官、消防士、ゴミ収集車や清掃員なども含まれ、ゴミ収集が滞るなど、市民の暮らしに実際に影響を及ぼしているのです。
また、プロスポーツなどでも、例えばバスケットボール。ブルックリン・ネッツの有力スター選手、カイリー・アービングも、ワクチン未接種のため、試合に参加できていないのだそうです。
ここアメリカでは、今までは、個人の思想が最も大切にされてきました。ワクチンなど、受けたくない理由があれば、受けなくてよかったのです。輸血や手術の必要があると病院で診断されても、受けたくなければ受けなくて良かったのです。宗教上の理由などもあり。
しかしこのコロナ禍、法律が、個人の健康を規制するようになりました。アメリカ人にとっては、信じられないことです。
ーまずは健康を訴えかるアダム氏ー
この、エリック・アダムス氏は、健康に関しての本も出しています。
まず健康じゃなくちゃってことですね。
約5年前のある日、彼はある朝、いきなり自分の視力が落ちていることに気が付きました。警察官時代の20年余り、仕事に追われ、ファストフードばかりを食べる羽目になっていたからです。早くて安くて、そこそこにお腹も満たせるファストフードは、仕事が忙しい人々には欠かせません。
そして、アメリカに住む黒人は、太り気味だったり、病気がちだったりします。心臓血管疾患や、生活習慣病も多いのです。それで、これを食生活から改善したらどうか、実際に自分で実践したプラントベースダイエット※で、体重を約18キロ落とし、コレステロール値も改良され、視力も戻り、糖尿病も改善されてきたそうです。
いきなり肉類を食べるなと言われても肉好きにはなかなか大変な事なので、この本では、上手な代用食品の調理の仕方とか、素敵なレシピを50種類も揃えているそうです。
「病院で寝たきりになるよりも、家のキッチンでお料理しようよ」
そんなエリックの声が聞こえてきそうな本です。
※プラントベースダイエット・・・野菜、果物、全粒粉、ナッツ、豆類中心の食生活にし、動物性食品などをほとんど取らないダイエット方法
ー給与を暗号資産でもらうー
このエリック市長、来年1月から正式にニューヨーク市長としての仕事が始まりますが、まず最初の3ヶ月の給料を暗号資産(仮想通貨)ビットコインでもらう、とツイッターで表明しました。
新フロリダ州マイアミ市長も、すでに同様の発表をしたそうです。それぞれの市が仮想通貨を創設する構想が出ているそうで、ニューヨークもその波に乗って行きたい感じのようです。ニューヨークブランドの、仮想通貨。21世紀ですねぇ。
仮想通貨としえば、Netflixの人気番組「イカゲーム」にあやかった仮想通貨で詐欺事件が発生、創設者が数億円を持ち逃げしたとか。
世の中には悪い人もいるので、もちろんこの事件は、ドラマとは何のかかわりもないそうですが、これから先、仮想通貨と言うようなものは、どんどん私たちの生活に普通に入ってくることになるのでしょう。
コンピュータのことも面倒がらず、新しいことをしっかり勉強して行かなければなりませんね。
ここで、来年へ向けて面白そうな課題ができました。ブロックチェーン、説明できるようにならなくては。NFTにより、音楽の世界もどう変わっていくのか。理論上では、ミュージシャンにとっても、ちゃんと著作権を守れる時代が来そうです。未来がどんどん、見えてきますね。良い未来でありますように。
そして、エリック・アダムス氏には、安心安全なNYを期待したいと思います。
Eric Adams氏の著書
「HEALTHY AT LAST」
https://www.amazon.co.jp/dp/1401960561/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_550JWKRTP2PZ0SZXZCY4
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。