先月2月14日はセイント・バレンタインデーでしたね。私が日本にいた頃は、とにかく事前に家族や職場の皆さんやご近所とか、お会いする男性の人数分を購入、義理チョコとかネーミングして、チョコレートを買いまくっていたものでした。
スーパーでも、もちろんチョコレートの売り出しの大セール、でも本命用は、デパートで高級なブランドのを購入(!)、なんていう感じでしたけれども、最近はどんなふうなのかしら。
私が今でも思い出すのは、そういうプレゼント用商品の、日本のお店のラッピングの綺麗さ。世界でも、きっと有数だと思います。アメリカでは、日本みたいに丁寧なラッピングをしてくれるところはなくて、普通は、自分で包装紙やリボンや手提げ紙袋を購入して、自分でやります。そうでなければ、普通のポリ袋です。味気ないですよね。(大笑)
また日本の面白いところは、ホワイトデーまで作り出したこと。1ヵ月後の3月14日に、男性はもらった義理チョコの倍返し?(笑)。もしかすると今では無いのかもしれませんが、当時は、結構お返しを楽しみにしていたものです。考えてみると、当時の経済の発展には、きっと役に立つことだったのでしょうね。バブルの絶頂期、だったのかもしれません。
さて、アメリカでは。アメリカのバレンタインは、やっぱりチョコレートですか?
やっぱり日本と同じように女性から男性に愛を告白?
なんてよく聞かれますが、ちょっと違って、もっとシンプルで、大概は、お花やちょっとしたキャンディです。
お店などでも特にバレンタイン・デーのセールとかはありません。この特別な日に、素敵なチョコレートをギフトに女性から男性に好きだと告白、と言うような習慣は全く無いので、大概のカップルで、女性が、男性からお花をもらえるみたいです。
強いて言えば、普段お世話になっている感謝の気持ち、とでもいう感じでしょうか。そして、前述の通り、ホワイト・デーは日本が発明したものなので、日本以外の世界の国では、存在しません。
本当に、日本人て世界のいろんな風習を、日本用にうまい具合にアレンジして、誰でもが楽しめるような習慣として作っていくのが、上手ですよね。
クリスマスもその一つ。キリスト教でもないのに、デコレーションケーキを買ったり、クリスマスツリーを飾ってみたり、意味もなくフライドチキンを食べたり(大笑)、でもすっごく楽しいですよね‼️
アメリカ人からよく、なぜ日本人は仏教徒なのにクリスマスを祝うんだ?と聞かれます。あれは別に何かを祝っているわけではなくて、クリスマスって、ヨーロッパとかでは、きれいにライトのイルミネーションがあったり、なんか楽しそうな感じがするから、日本人も一緒に人生を楽しもう、とする慣習なんだよ、って説明するのですが、敬虔なキリスト教徒である彼らには、なかなか伝わりにくく、不思議がられているようです。
さて、バレンタインデーにお話をもどして、
ここで、セイント(聖)・バレンタイン・デーと言うものの発祥を振り返ってみましょうか。なぜ、世界のキリスト教の国々で「愛の日」と呼ばれるようになったのか。
これはキリスト教での伝承で、セイント(聖)バレンタインという名前の司教が、殉職された日なのだそうです。(こんな訳があり、キリスト教でない国では、このバレンタイン・デーの風習はあまりないみたいです。)
3世紀のローマ帝国では、兵士たちは、家庭を持つと戦う意欲が削がれるということで、結婚が禁止されていました。でも、若者が恋に落ちるのを止める事は誰にもできません。なので、このバレンタイン司教は法律に背くということを知っていながら、この兵士たちの愛のために、極秘に結婚式を取り行っていたのだそうです。
そして、それが見つかって捕らえられ、2月14日に処刑されてしまったのだそうな。そして、それからキリスト教では、この日を「愛の日」としたのだそうです。
私は、この話を聞いたときに、胸がキュンとなりました。周りの人々のために、自分の愛を注いで、そのためになくなっていったバレンタインさん。人間同士、もっと今よりも愛し合えたらいいのになぁ、AIにも、人間みたいな愛が生まれるといいなぁ、と思う今日この頃です。
それではまた来週♫
Kayo
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。