BGT(イギリスのタレント発掘番組)でお笑い芸人の安村さんが3イエスをとりました。会場全体が爆笑の渦に包まれた様子がYoutubeからも伝わってきます。
しかしここで一つ不思議。それは、日英で微妙に違う例の決めゼリフ「はいてます」。
(日) 安心してください、はいてます。
(Eng) Don’t worry. I wear ――― (審査員や聴衆がpants!と叫ぶ)
英国の審査員や聴衆が自然にpants!と叫んでます…まるで何かにあやつられたみたい。安村さんにも予想外だったらしいのですが。
今回は「パンツ」の叫びがなぜ起きた?から英語の胆「他動詞」を簡単に説明します。
さてなぜ日本語ではいらないパンツが英語では、いるのか?
日本語は「はいてます」だけでもう十分な感じですよね。状況でパンツと分かります。
でも英語ではI wearでは文が終わらない感じなのです。状況から分かる分からないかは無関係。とにかくI wearでは言い切った感じがしません。ついPants!とか言わずにいられなくなるみたい。
なぜ言い切った感じがしないのでしょうか。さあここで、もう一歩踏み込みましょう。
英語ではwearは「何かを着る」と言う意味。「着る」ではなく「何かを」まで含んでいるのです。
あるいはwearという動詞には身につけるモノをつかむ「手」がある、と言えるかも。特別な手をつけた以上、空っぽにしておけません。絶対何かを攫まなければならなくなるのです。
こういう特別な手のある他の例はhave。
仮に
Do you have your ticket?
(あなたはチケットを持ってますか)
と訊かれたとします
”I have!”
(チケットはちゃんと持ってるよ…)
とかつい言ったことありませんか?
私は昔w。確かに(持ってるよ)の日本語。どこもおかしくありません。
でも英語のhaveはただ「持つ」ではなく「何かを持ってる」意味なんですね。
haveの後ろに空にしておけない特別な手があり、何かを持たせないといけないのです。I have…と言い始めたら、とにかくitや something 等何か言わないといけません。
この特殊な手付き動詞(wearやhave等)のことを他動詞と言います。(動作が「他」に及ぶので「他」動詞)。他動詞は「何を、誰を」の意味を表す語専用の特別な手付き動詞。また「何を、誰を」の意味を表す語の方は「目的語」といいます。
「目的」といっても「旅の目的」とかではありません。色々な動作の対象、動作の受け手という意味です。(英語ではobject―対象)。Wear(着る)の目的語pantsは、はくモノですよね。
BGTでの聴衆の反応に戻りましょう。最初安村さんはwearで切りました。でもwearは他動詞で目的語が必要。聴衆は目的語ナシに耐えられず、pantsと自ら叫んだ…というわけです。
安村さんは、他動詞とか目的語とかは知らなかったかも。でもI wear.を繰り返すうちにI wear~みたいな感じになっていきましたよね。聴衆が焦らされI wear―Pants!の掛け合いが一層盛り上がったようです。大成功を引き寄せたのは芸人の文字通り裸の感覚でしょうかw
<邪魔なもの>
冗談はさておき、他動詞のお話に戻ります。
一つ注意点。それは目的語の前に前置詞(on, with, about等)はつけないことです。
例えば、左の3つは間違い英文。前置詞のない右の3つが正しい英文です。
I wear on pants. ⇒ I wear pants.
I will marry with you . ⇒ I will marry you . (私は君と結婚する)
We will discuss about it. ⇒ We will discuss it. (我々はそれについて話し合う)
日本語の訳(~と結婚する、~について話し合う)からすると、いかにも前置詞が入り
そうです。
でもそれは日本語に訳すから。英語では前置詞があると邪魔で目的語が入れません。
まとめると
英語の他動詞には目的語が必要。また動詞と目的語の間に前置詞は不要。
今回は安村さんの大活躍のおかげ。英語の他動詞についてお話しできました。
このように楽しく英語が学べると良いですね。
See you soon!
Jiro
追記:
安村さんの画像はこちらに。
https://www.youtube.com/watch?v=79pZyZc6Xuc
追記:
他動詞以外を自動詞と言うが、英語の動詞は、他動詞/自動詞の両方として使えることが多い。
例えば
The door opens.1(ドアが開く)
He opens2 the door.(彼はドアを開ける)
opens1 【開く】は後ろに目的語がない自動詞として使われている。
opens2【(ドア)を開ける】は後ろに目的語があり他動詞として使われている。
<英語版>
知ってる内容を英語ルートで理解する。洋画で字幕を読んで英語を聞くように。
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私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員