昔ヘブライ語を学びかけたことがあります。ギリシャ・ローマと並び西欧文明の源泉だ、と一時期燃えましたw
今回中東紛争がきっかけで興味が再燃。
でヘブライ語をしばらくぶりで再学習したら、改めて驚くことが2つあったんです。
<英語よりこだわる?>
まず一つ目の驚きは人称代名詞(英語ならI, you, he…等)についてです。
これ、あなたが昔英語の勉強をした時、目にしたような文章
You have a book in your hand.
(あなたはあなたの手の中に本を持っている。)
あなたは、今この英語を見て違和感は特にないかも。私も今はもうありません。
でも中1の時、初めてこういう英文に触れた時大きな違和感があったんです。
さてあなたはどんな違和感か想像つきますか?
実は
(「手に本を持ってる」で分かるだろうに「あなたはあなたの手の中に…」ってくどくない?。誰の手かいちいち言う?)と感じたんです。
英語は誰のものかにこだわるんだとの驚き。彼は彼の家の中に住んでいる、俺の、お前の、我々の、彼の、彼女の、としつこい~と思いました。
ところがですよ。ヘブライ語も負けていません。というかもっと「ひどい」かもw
例えば英語では、youは単数も複数も一つのyou。この「2人称」がヘブライ語では4種類もあるんです。単数か複数か、また男性か女性かでも区別し結局4通りになるようなんです。
表にしてみました。
例えば、You have your country.(あなたはあなたの国を持っている)と英語なら一文で言えそうです。これは「あなた」が男でも女でも、一人でも大勢でも区別せず、同じyouと言ってしまうからですね。
ところが、ヘブライ語では4通りの文ができてしまいます。つまり性別・人数の違いで「あなた」が別の単語になるからです。(表を見るとアタ・アトゥ…と発音は似ていますが、別の単語です。)
ヘブライ語で直接表すのは難しそうなので、主語が4種類の「あなた」になるよう日本語で説明的に表してみました。少し不自然ですが…
一人の男のあなたには(一人の男の)国がある。
一人の女のあなたには(一人の女の)国がある。
男のあなた達には(男のあなた達の)国がある。
女のあなた達には(女のあなた達の)国がある。
ヘブライ語で書かないムリはありますが、誰が何を持っているかの、所有にこだわる感じがあなたに伝わるでしょうか?
繰り返しますが、これら全部英語では
You have your country.
で済んでしまうのです。
ざっとの印象ですが、ヘブライ語って、誰のものって、英語や日本語以上にこだわると言えるかも。
自分のモノへの執着は、言語面のコトだけではなさそうです。
別の洋書『Beyond Revenge / 復讐を超えて』(邦訳なし)には
ーーーーー
牧畜民は農耕民より財産を盗まれやすいので絶えず目を光らせて警戒している。農耕民の場合、財産の土地や収穫した農作物をごっそり持っていくのはほぼムリ。それに比べ、牧畜民の牛や羊の1頭や2頭なら遥かに盗まれやすいからだ。
ーーーーー
ということが書いてありました。盗まれないぞ、という警戒心の裏には「これは俺のモノ」という強い意識があるのかも。
ユダヤ民族は農耕民ではなく牧畜民。言語面だけでなく、文化的・心理的にも財産に執着すると言えるのかもしれませんね。
<彼らがいつも耳に,口にする言葉>
ヘブライ語の再学習で、もう一つ驚いたのは、ヘブライ語教科書にあった例文。彼らの集まりで毎回歌う「アレイヌ」という讃美歌的なお祈り?が読解用にのっていました。その文句が驚きです。
♪神が造った我々は他の民とは違う。
♪神が造った我々の取り分は他の民とは違う。
♪神が造った我々の運命は他の民とは違う。
世界史の授業で「ユダヤ人達の選民意識」というのを習った覚えがありますが、これってそれでしょうか?「俺たちって、他とは違う、特別さ」というような感じ。
日本の念仏とかに似たような言葉が書かれているなんて、ちょっと想像できませんよね。
下世話な言葉ですが「しゃらくさい」と言う印象を周りに与えるかも。
ヘブライ語や、ヘブライ文化の表面をちょっと引掻いただけなですが、もう他の民族との火種がゴロゴロ。
(こういう発想の人達だと、妥協とか和解とかも難しいのではないか)と感じずにはいられませんでした。
何はともあれ、中東の紛争が一日も早く終息することを願わずにはいられません。
See you soon!
Jiro
<英語版>
知ってる内容を英語ルートで理解する。洋画で字幕を読んで英語を
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追記1:
『Beyond Revenge 』(p78)
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本文引用箇所
….as a herder you have to be on guard to make sure no one steals your herd while you sleep.
(牧畜民は誰にも家畜を盗まれないように目を光らせている必要がある。)
By comparison, it ’ s awfully hard to steal someone ’ s barley crop overnight
(これに比較すると一晩で誰かの収穫した麦をごっそり盗むのはものすごく大変だ。)
追記2:
今回古い記憶を掘り起こすと、私とヘブライ語の縁は英語の次に古いと分かった。
私が英語習い始めの中一の時。担任がイスラエルの歌だと教えてくれた。「ヘベヌシャーロマレヘム」という短い歌。切ないような一節だった。
ヘベヌシャーロマレヘムとは「我々は平和をもたらした」という意味だそうだ。今は皮肉にさえ聞えかねないのでは。
追記 3:
最近youtubeに、ユダヤ人は特別な存在だ。が他の民族もそれぞれ特別な存在である、と(ユダヤの方?が)解説しているものを見ました。(面白いけど言い訳っぽい)と思っちゃいました。
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員