2024年7月21日(New York時間)現在、バイデンアメリカ大統領が、次期アメリカ大統領選への出馬を辞退することを発表。代わりに、カマラ・ハリス副大統領を支持、と言うニュースが発表されました。
下記の記事はこの前日に書かれたものです。どうぞご了承ください。
「あの瞬間のトランプは本当にかっこよかった。星条旗の下で拳を振り上げて、頭から血が出てるのに、強いアメリカ、俺は戦える!みたいなこと言ってて、すごくタフな感じがかっこよく見えた」
そんな話を、地下鉄の中で、近くの若者たちがしてました。
2024年7月13日。トランプ大統領候補がペンシルバニア州での演説中にライフル銃で撃たれた、と言う事で、これは世界的にも将来も語り継がれるでしょう。
シークレットサービスの人々が、「かがんでください、危険です!」と叫んでいるのに、それを振り払うかのように本人は立ち上がって、拳を振り上げ、大丈夫だ、俺はアメリカのために戦う!みたいなことをずっと言ってて、今、自分の命が狙われているのに、なんて凄いんだろうと思いましたよね。
これに対して、バイデンはこのことにより、テレビコマーシャル等の、大統領選挙戦へ向けた宣伝を、しばらく取りやめることになりました。
アメリカでは、共和党と民主党の対立は、大っぴらにお互いをけなしあったりするのが結構見てて面白いのですが、今回はそれもなしです。バイデンは苦境に追い込まれました。
さて、「そもそも、共和党と民主党ってどこがどういう風に違うの?」と言う質問を日本の方から受けました。そうですよね、外国のことなので、そこまでなかなか知るチャンスもないか、と思います。
なので、今回はそれを簡単にご説明しようかと思います。
Republican(共和党)
トランプが属するRepublican/ リパブリカン(共和党)。
この政党は、赤で表され、なので、トランプさんはいつも赤のネクタイをしていて、「小さな政府」を目指します。政府が、なるべく人々のお世話をしないので、各自が各自の責任で行動すると言うことです。
貧乏な人が病気になっても、政府はお世話をしません。病院に行きたい人は、お金持ちになってくださいということです。(笑) そのかわり、お金持ちからは、なるべく税金を少なく取ります。
お金持ちの人は、努力を重ねて頑張ってお金持ちになったからです。オバマケアのように、お金持ちでもない人が病院に行ける制度なんて、信じられません。
トランプは、このオバマケアを1日でも早くつぶしたいと思っています。
既に前大統領時代に、多くの州から、このオバマが画期的に作り上げた、国民の特権を取り上げることに、成功しています。ニューヨーク州などは、たまたま、その時にトランプの力に屈せず、民主党の理想を守り抜きました。
共和党は、アメリカが1番、と思っていますから、人種差別もありです。アメリカの分断化がここまで強くなったのは、堂々と人種差別をするトランプに、従う白人アメリカ人が多いことを見せつけました。
アジア人と言うだけで、路上で殴りつけられたりする事件が、増えました。
トランプは、アメリカ中西部の、広大な土地を持つ農民たちに、人気があります。彼らは変化を嫌い、家族や伝統を大事にします。車は、ガソリンの消費量がとんでもないような、フルサイズのピックアップトラックが人気です。
そして食事は毎日ハンバーガーを食べると言われるトランプのように、肉が大好きです。
Democrats(民主党)
一方、バイデンやオバマが属するDemocrats / デモクラッツ(民主党)。
この政党は青で表します。「大きな政府」が、民衆を、福利厚生、保険などで、なるべくお世話します。
そのために、税金は必要です。社会的公正や多様性を重視する自由主義で、人権を尊重し、人種差別に反対し、LGBTなども許容します。社会的弱者の救済です。
また、銃の規制化に尽力しています。気候温暖化なども気にしています。なるべく地球を大事にしようと思っています。車で例えるならば、エコカーです。
そして、主に都市部に住むインテリ層に、人気があります。食事はカロリー、栄養バランスを考える、ヘルシーな食事を好みます。
オバマケアを作ってくれたのもこの民主党です。それまでは、アメリカでは、日本のような国民健康保険制度は一切なく、各個人が健康保険に加入するのですが、その値段があまりに高額で、お金持ちしか健康保険に入れなかったのです。
このオバマケアは、全ての米国民が、十分な医療サービスを受けられる国民皆保険を目指して、制定されました。
<ニューヨークでのオバマケア>
さて、皆さんは、どちらの政党がお好きですか?アメリカでは選挙時、州によって大体、どちらの政党か既に決まっているところが、多いです。ニューヨーク州は、民主党です。
場所柄かアーティストが多いので、俳優、ダンサー、音楽家、歌手、脚本家、映画や舞台の製作者、小道具大道具などのスタッフ、メイキャップ、ヘアデザイナー、衣装デザイナー、縫い子さん、画家、彫刻家、パフォーミングアーティスト、マジシャン、数えあげれば全くキリがありません。
ニューヨークのアートを形作っている骨格は、一人ひとりのアーティストから成り立っているわけで、それでも病気になったり怪我をすれば、病院に行く必要があります。
アーティストの世界は、常に競争で、オーディションの毎日です。いつもギャラの良い仕事が待っているわけではありません。私たちアーティストにとっては、オバマケアは、とても強い味方です。
2024年7月20日現在、トランプ銃撃事件からちょうど1週間後、アメリカのテレビのニュースでは、赤の共和党支持者が、右耳に正方形のガーゼを貼って、トランプに強烈な支持を送っています。
他の国民から見ると、笑えちゃうようなジェスチャーですが、当の本人たちは大真面目のようです。さて、この先まだ3ヶ月以上ありますが、この選挙戦がどうなっていくのか、そしてどんな結果が出るのか。
世界中の国々が、この強大な国家、アメリカ合衆国の行方を見守っています。アメリカが良い国になって行きますように。人間として、自分のことだけでなく、周りの関わっている人たちを助け合いながら、生きて行ける世界になりますように。
それではまた来週♫
Kayo
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。