【World Life】とは?
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自分が日本人と初めて自覚した本

World Lifeな生活
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あなたが今までに一番感動した本は?と聞かれたらなんと答えるでしょうか。私なら「菊と刀」と。

Ruth Benedict(ルース・ベネディクト)という米文化人類学者が、米国戦時情報局の依頼で、太平洋戦争の敵である日本人の心理を研究した不朽の名作

「the Chrysanthemum and the Sword」

40年以上前、米国から帰国直後、留学体験の見直しになるかもと思い読みました。そしたら大学の図書館で、感動でボロボロ泣き、周りに変な顔されちゃいました。

何でそんなに涙が…というと、本の中の日本人らしい行動と生きずらさの説明が、自分にぴったり当てはまったんです。大袈裟でなく自分のことについて書いてあるという気がしたんですね。

では「菊と刀」の言う、日本人的行動、生きづらさを私流でお話しします。

あなたにはどこまで当てはまる…かな?
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<避けられない葛藤>

日本人の行動は、大別して2種類の気持ちのバランスの結果だ。一つは「他人への配慮」もう一つは「自分の感情・心情」。具体的に日本人がどう行動するかが、この2つの力関係で決まる。

例えば、あなたが飲み会に誘われる場面。「行きたくないけど、付き合いがあるし…」のようなケースでは「つきあい」という他人への配慮と「行きたくない」自分の感情の力が拮抗する。もし「行く…」と決めた場合…

(ここで日本的特徴)ポイントなのは他人への配慮と自分の気持ちの2種類は、価値が同じ(等価値)というコトだ。等価値とは、一方に従っても、他方をすっきり消せないという意味だ。

上のケースなら、行きたくない自分の気持ちは押し殺されただけ、消えずにくすぶる。あなたも、いやいや酒席にでかけ(来なけりゃよかった)などと後悔したことはないか。心の葛藤が実は尾を引く。

では自分の「行きたくない」気持ちに従ったらどうか?事態はそう変わらない。

今度は、付き合わず他者への配慮に欠けた、という後ろめたさが残る。誘いを断った時など微妙な「フォロー」をする人が多いが、これは後ろめたさの裏返しと言える。

結局誘いにのってものらなくても葛藤がついて回るのだ。

このように、日本人が何か行動する場合「他人へ配慮」と「自分の感情」の2つの力の緊張関係から常に葛藤が生まれ、しかもそれが尾を引く。これが日本人の典型的な生きづらさだ。

この葛藤は、借金まみれ状態に似ている。日本人は言わば二つ(以上)借金を負っているようなもの。

the fact that he pays one debt does not free him of the rest of his debts.
(一方を返済しても、別の借金が消えるわけではない)

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私が一つにまとめた「他人への配慮」はもっと細かくなるかも。例えば家族、親戚、隣近所、職場、友人…それぞれ別の「他人」なので配慮も別と言えるかもしれません。

例えば「忠」や「孝」とか普通は別の言葉で説明されます。でも私は一括りで「他人への配慮」としました。こうすると例えば「義理と人情の板挟み」も「他人への配慮」と「自分の感情」の葛藤…と簡単に説明できるからです。
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<危険な「逃げ道> ~「菊と刀」の説明続き

様々な葛藤からの逃げ道や安全弁として日本人が好むのは、対決や合理的解決ではない。美意識である。

例えば「感情は我慢した方が美しい」とする美意識がある。繰り返すが日本人は「自分の気持ち」を素直に表さないし、表せば後悔する。そういう日本人にとり、「感情を押さえる方が素敵」という美意識は慰めになる。

忠臣蔵も、上司への忠と、人間的な気持ちの衝突を美として描いたものと言える。

また美意識は個人の慰めであるに留まらない。美意識は葛藤のエネルギーを現状改革の方向から逸らすので現在の秩序や体制には影響しにくい。美意識は現状維持の安全弁として働くと言える。

例えば忠臣蔵では、義士らは最後に切腹する。個人が自己破壊する姿が美化される一方、封建社会は温存される。

このように美意識は、個人の自己破壊性と表裏一体である。
(「菊と刀」の説明終わり)
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さてこの日本人の行動と葛藤が私、図星で自分のこと当てられたと感じたんです。

例えば仲間とのつきあいでの違和感・葛藤が菊と刀の図式ですぱっと説明できました。例えば、コンパの後、解散後でさえ皆ぐずぐずしている…だけど自分の心情としてはもう帰りたい、の時の相反する心理が説明できたのです。

感情が表しにくい理由も、人目を気にしてるのだから、結局「他人への配慮」だと説明がつきました。

また「葛藤から感じる美意識」も、知らない間に自分の勤勉さや忍耐を生み出していたと言えるかもw。でも美意識が自己破壊的な行為さえ美化しかねないなら、ちょっと怖い感じ。

でも無意識だと振り回されるだけですが、自覚すれば自己コントロールもよりしやすくなります。私も「菊と刀」読む前は、五里霧中でただ迷うだけでしたが、読んだ後、救われたような落ち着いた心持ちになりました。

自分の長い間のもやもやに、やっと光が当たり「日本人らしさ」の正体が見えたのは、留学と洋書のおかげ。あなたも一度日本人とは何か、振り返ってみるのも良いかもしれませんね。

See you next time,
Jiro

<英語版>
知ってる内容を英語ルートで理解する。洋画で字幕を読んで英語を聞くように。
↓ ↓ ↓
追記:

◯「The Chrysanthemum and the Sword」
https://www.amazon.com/Chrysanthemum-Sword-Patterns-Japanese-Culture/dp/1946963259

◯英文版 菊と刀(縮約版)
https://amzn.to/3NGdZZX

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