ここ毎日とても寒い日が続いているニューヨークですが、どうやら緯度は青森と同じ位だそうですね。
そんなニューヨークでも、石油ストーブやガスストーブとか使っているの?そんな質問をいただきましたので、こちらの暖房事情をお伝えさせて頂きます。
日本での寒さ対策を思い出すと、床暖房や、電気コタツ、石油ストーブ、ガスストーブ、あとエアコンで暖房もありますよね。アメリカのエアコンは、暖房機能がない、冷房のみの場合ががほとんどなんです。
アメリカでいうストーブは
さて、暖房器具のお話の前に、日本の暖房器具で出てきた、「ストーブ」という言葉について。アメリカでは、一般的に「ストーブ」と言う単語は、台所の「コンロ」のことを指します。下に「オーブン」が付いていてクッキーなどを焼くことができ、上には「コンロ」が付いている大きな調理器具です。
「レンジ」とも呼びます。日本で言う「電子レンジ」は、「マイクロウェーブ・レンジ」や単に「マイクロウェーブ」と呼びます。
日本で、「チン」と言えば「マイクロウェーブ・オーブン」の事、と言うのは最近知りました。確かにその通りですね。おまけに、「チンする」と、動詞にもなっているようで、日本人の感覚、すごいです。
暖房はセントラルヒーティング
では、本題の暖房器具に話を戻しますが、ニューヨークでは、冬にはビル全体でセントラル・ヒーティングが入ります。これは法律で決まっていて、冬の間、ビルの管理者が、ビルの室内の気温を、法律で決められた最低気温以下にならないように保たなくてはなりません。凍えて死んでしまう人が出ないようにするためですね。
冬のシーズンとして、10月1日から3月31日までの期間、朝6時〜夜10時まで、昼外気が華氏55度(約12.7°C)以下の場合、ビル内の室温は68度(約20°C)以上に保たれていないといけません。
そして、夜の10時〜朝6時までの夜間、今度は室温が最低でも62度(約16.7°C)以上ないといけません。この温度に達していない場合は、市にこのビルディングを訴えることができます。
なので、大概、各ビルの地下に大きなボイラーがあって、そこでガンガン全世帯用のお湯を沸かしているわけですが、そのお湯がビル内を駆け巡って、各部屋のパネルヒーターを通ってヒーターにもなるのです。
なので、真冬には、24時間、このお湯が駆け巡っているおかげで、どの部屋もとても暖かく、外がカチンコチンに凍っていても、ニューヨークのアパートでは、Tシャツとジーンズが部屋着、なんて言う話もよく聞きます。
ただ、ここが逆にネック、とっても大きなネックなのですが、このセントラル・ヒーティングのシステム、古いビルの場合、各部屋に、室温調整どころか暖房スイッチがありません!!
なので、ニューヨークあるあるですが、暖房が効きすぎて暑いので、その日の最高気温が零下、などと言っている時でも、窓を開けます。(笑)
そして、ありがたいことに、この大きなボイラーのおかげで、24時間いつでも熱いお湯が出るので、アメリカ人はあまりお風呂には入りませんが、いつでも、熱いシャワーを浴びることができます☆
シャワーで思い出しましたが、これもニューヨークでは割とよく聞く話なのですが、家賃に、ガス代と水道代が含まれている、と言うことがあります。
つまり、ガスと水道はいくら使ってもフラット・レートと言うことになります☆
しかしながら、ちょうどこれを書いている現在11月は、乾燥注意報がずっと出ていて、山火事なども多く、レザボア(貯水池)の水もすごく減っているので、水道を大切に使うように警告が出ています。
知り合いのビルでは、ガス代水道代に加えて、おまけに電気代まで家賃込み、だと言っていました。電気代まで、いくら使ってもフラット・レート。
そんなビルだと、どういうことが起こるかと言うと、夏の間、ビルのほぼ全員が、クーラーを24時間つけっぱなしにすると言うのです。
働きに行っている間もです。日本人からすると、こういうエネルギーの無駄な消費は避けるべきじゃないか、と思いますが、自分の懐が痛まないとなると、そういうことをする人もいるわけなんですね。
とにかく、ガス代や電気代もこ、の物価高でどんどん上がっていくことでしょうから、そんな中でのセントラル・ヒーティングは、とにかくありがたい。
と言いながらも、このビルディング、最近管理人が変わったらしくて、結構寒い夜があります。
(エレベーターの中で、下の階の奥さんが教えてくれた)。そういう時は、オーブン料理を、とにかく火を長時間使うお料理を、なるべくするようにしています。
このアパートも、運の良いことに何を隠そう、ガス代込みなので(微笑)。
さて、日本もかなり寒くなってきていると聞きます。どうぞお体おいとい下さいませ。お風邪など召されませんように。
それではまた来週♫
Kayo
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。