Hi! Jiroです。
45年程前、大学3年の時、アメリカの中西部の州立大学へ一年間留学しました。
地元民が「牛とビール、大学だけ」と自嘲する程、何もないような田舎町に着いたのは、太陽が20時過ぎまで沈まない夏の終わり。
到着早々開かれた、海外留学生達向けののオリエンテーションでの出来事。
当時私が気になっていたのは、オリエンテーションの内容ではなく、未治療のまま渡米してしまった虫歯について・・・
虫歯が痛くなってしまった時の情報が欲しくて…友人もいないし、もちろんスマホも存在しない時代。
オリエンテーションの一通りの説明(もちろん全て英語で)が終わり、司会の方から
“Any questions, guys?“
(何か質問あるかな?)
来た!と意を決して挙手しました。
“I’m expecting a toothache!”
すると、10名程いた大学教務スタッフ(allアメリカ人)が爆笑。特に女性がゲラゲラ。30人位いた多国籍の留学生達は私も含めて皆ポカン。
なぜ
“I’m expecting a toothache!”
がアメリカ人に「ウケ過ぎた」のか分かりますか?
答えは、expect「期待・予期する」の動詞の使い方でした。
この動詞は進行形にすると普通「(女性が)妊娠している」という意味になるようなんですね!
例えば
Anne, my wife, is expecting (a baby).
(妻のアンはお腹が大きい)
なので、男の私の口から出た
I’m expecting a toothache. は
「歯痛が私のお腹にいて、そのうち生まれそう!」
みたいに聞こえたのかも。
でも、なぜ爆笑になったのか、渡米して間もない留学生達(私も含め)には難しかった…
今思えば
I’ll have a toothache soon, I guess.
あるいは、
I’d like to go and see a dentist. Are there any dentists around here?
と、とにかくストレートに情報を求めればよかったのかもしれませんね。
<あまりはっきり言わない「妊娠」>
さて、お話に出てきた「妊娠している」は、和英辞典的にはpregnant。
例えば
You are pregnant.
(あなたは妊娠しています)
でも何だか産科医等のセリフみたい。TPO考えないと、ストレート過ぎる言葉かもしれません。
日本語でも「お腹が大きい」とか「おめでた」とか遠回しにいうのが普通ですよね。
pregnant という単語が浮かばなかった場合、遠回しで通じそうな言い方・・・ちょっと考えてみてください。
知り合いの英会話講師から聞いた、生徒の一人で、お腹の大きい日本人の女性のセリフ。
I have a baby in my pocket.
(私ポケットに赤ん坊がいます)
実にうまい切り抜け方ですね!
<単語の数より、自由な発想で>
単語力もちろん大事ですが、頭を柔らかくして大体の所を伝えようとする方がもっと大事。
もう一つ例をあげてみましょう。
次の日本語の内容を英語で表現したらどうでしょう。
「食事をしている時には食事をすることに集中しろ」
さあ、どんな英語が浮かぶでしょう。
集中は、コンセントレイト…concentrateか。concentrate onかな?inだったか…。
等々、いろいろあると思いますが、例えば
When you eat, eat.
(食べる時には、食べろ)
こんな風に、ごちゃごちゃ言わない手もありますよね。
実はこれ禅の言葉で、何事も気持ちを他所に散らさずに集中を…という意味みたいです。
日常の英会話も、表現の仕方を自由に考え、後は思い切って使うのが醍醐味かも。
そんな楽しさを味わえると良いですね。
See you again,
Jiro
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員