Hi!
火曜のJiroです。
突然ですが、あなたはダジャレ好きですか?私とても好きですw 英語でもダジャレ言えないかどうか考てしまう程。
例えば I sent a cent.(あいセントあセント)とか..
でもあまり言えない点は日本語と大違い。日本語はすぐダジャレが言える感じです。
例えば「セン」なら、お金拾ったのはどこ?ー温泉で….「オー!銭!」…とか…
このダジャレの言いやすさの違い、英語は同じ音の別単語が少ないのに、日本語は別の単語でも同じ音がすごく多いからのようです。
例えば 日本語「セン」と発音する単語:千、線、戦、船、栓、選、宣、腺、専、先、浅、鮮、繊、洗、等々
英語「セント」と発音する単語:sent, cent, の他にsaint(聖なる), scent(匂い)
(まさか英語に、ダジャレに対する反対があるわけでは….)こう思い、半信半疑で英語の歴史を調べたら、ダジャレに抵抗するような例が見つかりましたw
少なくとも結果的にダジャレが減ったようなんです。
それは綴りが違う別々の単語が、似た発音にならないようにした例です。どういうことでしょう?
お話は大母音推移からです。
これは15~17世紀の英語に起きた母音だけを一斉に変えて発音するようになった大事件のことです。この変化で英語母音は今の様になりました。
👉大母音推移に関するコラム「英語が難しい理由は大母音推移…?」
以下の表は大母音推移の一部です。
この表で分かるように、大母音推移以前は、英語は所謂ローマ字発音でした。
例えば「O]はただの「オ」でしたが、大母音推移後「オウ」と読まれるようになりました。
その結果困ったことが。
それは大母音推移の前すでに「オウ」「アウ」と読まれていた(ou, auの綴りを含む) 単語の扱い。
例えばbought, brought, caught, taught等。
これらは大母音推移の頃はローマ字的に「ボウト、ブロウト、カウト、タウト」みたいな発音で、大母音推移の影響は直接は受けなかったようです。(ghはここでは無視します)
ところが大母音推移で「オウ」や「アウ」と発音される単語が現れ、このままでは、ダジャレが増えてしまいます。
例えば I bought gold[(私は金を買った)は「アイボウゥト ゴゥルド」…「オウ、オウ」とダジャレっぽくなりそう。
また同様に I caught now(私は今捕まえた).が「アイカウゥト ナウ」…「アウ、アウ」とこれもダジャレっぽい。
こんなダジャレで英語の精神を汚すな!…と誰かが怒ったのではないでしょうが、bought, brought, caught, taughtの母音発音が「オウ、アウ」から「オー」に変わったのは事実!その結果ダジャレの数は減りましたw
例えば… fish caught now / フィッシュ コート ナウ 」(今捕まえられた魚)は無事ダジャレでなくなりました。caught / コートとnow / ナウ の母音が「オー」と「アウ」で違います。
でも大母音推移へのこの対応は、行き当たりばったりでバラバラ。
結果的に、brought や caught が似た発音になり、ダジャレの可能性がここでは逆に広がったようです。
例えば….fish caught and brought… フィッシュコートアンドブロート(捕まえて持ってきた魚)ではダジャレっぽいわけですね。
caught / コートとbrought / ブロートの母音が「オー、オー」と同じです。
今回は、英語でダジャレが少ない一つの理由?を見つけたお話しをしていますが、理由は他にもあるかも。例えば、日本語の漢字はダジャレの作りやすさと関係してる…とか。
随分ダジャレに拘るお話しだったのですが、実は他の重要な点で日本の中学英語に通じるんですよ。
それは中学で覚える動詞の変化。あなたも多分中1生の時、不規則動詞が出てきて、catch-caught と buy-bought 等….過去形の発音が同じ、綴りは au,ouと微妙に違う…変に思いながらも暗記しませんでしたか?私もそうでした。
でも今回、その違和感が何十年ぶりかに消えませんでしたか?私は疑問が氷解しました。-au-と-ou-。
別々の動詞の過去形が「大母音推移」の余波で同じ発音になったんですね。
(ああそうだったのか)と感動し中学生の頃の自分に教えたい…と思う私って ダジャレオタクというより英語オタクかもw
ともかくこの記事が、あなたが楽しく英語を学ぶ切っ掛けになれば幸いです。
追記:
「A」の発音も大母音推移で変わった。以前はただの「ア」だったのに、大母音推移で「エイ」に替わり今に至っている。
例えば name / ネイムは以前「ナーム」みたいな発音。それが大母音推移で今の「ネイム」になった。
このAの発音変化への対応で、発音を変えたと言われるのがnew / ヌー・ニュー。
これは大母音推移前「ネウ」と発音していた。
例えば new name(新しい名)は大母音推移前
new / ネウ name / ナーム
大母音推移後 name だけが「ネイム」になった。
new / ネウ name /ナーム → new / ネウ name / ネイム
「エウ」と「エイ」の似た音の衝突に違和感が感じられ、その解消の為に「エウ」が「ウー/ユー」に変わったらしい。
new / ネウ name / ナーム → new / ネウ name / ネイム
→ new / ヌー・ニュー / name / ネイム
これが今も続いている。
new / ニュー・ヌー(米はヌー、英はニュー)
古い英語に興味のある方に最上の本は
Colin GorrieのOsweald Bera an Introduction to Old English Vergil Press 筆者のサイト https://colingorrie.com/books/osweald-bera/
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員