こんにちは
NYのKayoです。
日本では、写真を撮るとき、子どもから大人まで、ほぼ反射的に✌️を出す、と言われています。
修学旅行でも観光地でも、集合写真でも、とりあえずピース。
けれど海外では、これがかなり珍しい、というのを聞いたことありますでしょうか?
たとえばアメリカで、友人やミュージシャン仲間と写真を撮っても、誰もピースをしません。せいぜい、肩を組んだりする位です。子どもですら、ほとんど見かけない。
つまり、日本のこの習慣は世界標準ではなく、かなり独特な、日本独自の文化みたいです。
長く海外にいると、日本人の一斉ピースはまるで、撮影モードに入った合図のように見えて、ちょっと微笑ましくもあり、不思議でもあります。
日本の1970年代にブームは一気に加熱
どうやら、このピースの広まりの大きなきっかけの一つが、1972年の札幌オリンピックなんだそうです。転倒しても笑顔を崩さなかったフィギュア・スケートのジャネット・リン選手の明るさが、ピースのポーズ写真とともに、日本中の心をつかみました。
さらに同じ頃、歌手の井上順さんがカメラのCMで、アドリブでピースを披露したのが大人気に。加えてバレーボール漫画「サインはV 」も大ヒット、「V」のイメージがぐっと身近に。
そこへ、富士フイルム などが「写真はピースで」と宣伝。偶然と流行と企業戦略がぴたりと重なり、日本の写真文化は決定的に変わったのだそうですね。
欧米の本来のVサインは、政治的意味
しかし欧米でのVサインは、もともと軽いものではありません。
それは、第二次世界大戦中の1941年、 イギリスの首相ウィンストン・チャーチルが掲げた、戦争を「Victory(勝利)」への象徴、でした。
さらにその後1960年代、ベトナム戦争中には、ジョン・レノンが「Peace(平和)」つまり政府への「反戦」への強いメッセージ、と変化させます。
つまり社会的、政治的な強い主張を伴うサインだったわけです。笑顔で写真を撮るための便利ポーズ、という日本的な使われ方とは、ちょっと距離があるようです。
国が違えば、なんと良くない意味にも
しかもジェスチャーの意味は国によって大きく変わります。
イギリスやオーストラリア、ニュージーランドでは、日本でいう『裏ピース(手のひらを自分に向ける形)』は、強い侮辱の意味になります。
さらにギリシャでは、外向きでも、相手を拒絶するような非常に強い侮辱の意味になることがあるそうです。
日本の感覚でうっかり海外でやると、思わぬ誤解を招きかねません。世界は広く、指二本にもいろいろな物語があるのですね。
軽やかに変えてしまう日本流
こうして見ていくと、日本のピース文化はかなり特別です。本来は勝利や反戦を表す強いメッセージだったものが、いつの間にか「はいチーズのポーズ」へと変身しました。意味や主張とは関係無く、いい感じの笑顔の雰囲気。
照れくさい瞬間を明るくするための、ちょっとした知恵のようにも思えます。
世界が驚くほど、気軽で、でも和やか。あの一斉ピースは、日本人らしい、シャイな人でも一緒に微笑める、柔らかな雰囲気づくりの凄い発明なのかもしれませんね。
それではまた次回♫
Kayo
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。

