私は英語などの教材制作をしています。
毎日,何かしらの教材を作っているのですが,よく
「こういうものをサンプルで作れないか」
という依頼があります。
これまでの知識と経験で,できるだけその要望に応えようとするのですが,
ある程度の時間は欲しいもの。
そこで,いつまでに欲しいかを聞いたところ
こう返ってきたのです。
“I need it yesterday.”
あなたはこれ,どういう意味だと思いますか。
―「昨日欲しい」って何!?―
物事を依頼される場合って,急に言われることが多いもの。
私の場合も例外ではありません。
今取り掛かっているタスクもあり,すぐにはできないこともあります。
だからスケジュール感や期日を聞くのですが,返ってきた返答が
“I need it yesterday.”
これ,普通に聞くと
「昨日欲しい」
です。
いやぁ,それもう遅いんじゃない?って思ってしまいがちですが,
本当の意味は,
「今すぐにでも欲しい」
ということなんです。
じゃあ,なんで “yesterday”なのか。
それは,
「昨日欲しいくらい。つまり今日でも遅いくらい」
というニュアンスで,
「今すぐにでも欲しい」
という表現なんですね。
でもこれ,日本の学校英語のテストでは完全に✗。
“yesterday”は過去ですよね,だから
“I needed it yesterday.”
のように
「“need” を過去形にして “needed” にしないと意味が成り立たない」
とか言われちゃう可能性大なんです。
日本語でも
「昨日必要です」って変でしょ?
そんな感じです。
でも “I need it yesterday.” は実際にネイティブが使っている表現。
面白いですよね。
―「◯◯が空を飛ぶ?」―
ということで,他にもちょっと変わった英語表現を見てみましょう。
まずは,どんな意味なのか英文を読んで考えてみてくださいね。
“When pigs fly.”
直訳すると,
「豚が空を飛ぶとき」
ですよね。
ヒントは,
「豚が空を飛ぶなんて◯◯◯◯◯!」
この◯にはどんな言葉が入るでしょうか。
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・
そう!
豚が空を飛ぶなんて,まず「ありえない」ですよね。
このように,
「絶対にない」「あり得ない」
ことに対して使うのが
“When pigs fly.”
なのです。
A: Hey, do you think Tom will ever stop being late for work?
(ねぇ、トムが仕事に遅刻しなくなると思う?)
B: Ha! When pigs fly! He’s been late every single day for the past year.
(ははっ!絶対無理だね!この1年間、毎日遅刻してるんだから。)
のように使うことができますよ。
あ…,ここまで書いて思い出しました。
「飛べない豚はただのブタ」
あの豚は空を飛んでいましたね。
ブーブー。
― “My feet are asleep.”―
続いては,
“My feet are asleep.”
“feet”は足(の複数形)で, “asleep”は「眠っている状態」のこと。
直訳すれば,
「私の足は眠っている」
です。
ここからどんなことが想像できるでしょうか。
・
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・
正解は,
「足がしびれた」
です。
足がしびれると,まるで足が眠っているんじゃないか!?という感じで思うように動きませんよね。
そんな状態を表したのが “My feet are asleep.”です。
「“sleep” を使っても言えるのかなぁ…?」
って疑問に思った方もいらっしゃるかもしれません。
答えはYes。
その場合は, “go to sleep” のようにひとかたまりで覚えておきましょう。
“My leg has gone to sleep.”
“asleep”には「眠っている状態」から「感覚がない」という意味もあります。
そして, “go to sleep”にも「感覚がなくなる」という意味があります。
“My legs have gone to sleep.”
(足がしびれている)
のように,have + gone to sleepにすることで,
「さっきからしびれている」という状態を表すことができます。
ちなみに,両足の “feet”ではなくても
“My right foot is asleep.”
(右足がしびれちゃった)
“My right foot has gone to sleep.”
(右足がしびれちゃった)
とも使えますし,
“My arm is asleep.”
(腕がしびれちゃった)
“My arm has gone to sleep.”
(腕がしびれちゃった)
主語を変えても使えますよ。
― “Blessings in disguise”―
最後は,
“Blessings in disguise.”
“blessing”は「祝福」,
“disguise”は「変装」。
直訳すると,
「変装した祝福」です。
これ,ちょっとヒントになる…かもしれません。
さて考えてみましょう。
・
・
・
◯◯かなぁ,という答えが頭に浮かびましたか?
答えは,
「一見不幸に見える出来事も,結局は幸福となること」
つまり,「災い転じて福となす」という感じでしょうか。
本当は「幸せなこと “blessings”」なんだけれど,「変装した現象 “in disguise”」として起きてしまったために,
最初は「なんて不幸なんだ!」
と思うけれど,
結局は以前よりも良くなるなど,「結果的によかった」と思えるようなことのことを言います。
たとえば,
A: I lost my job, but I found a better one soon after.
(仕事を失ったけど、その後もっといい仕事を見つけたよ)
B: Well, that sounds like a blessing in disguise.
(じゃあ,結果的にはよかったってことだね)
のような使い方です。
A: My girlfriend broke up with me… I feel so miserable.
(彼女に振られた…めっちゃ落ち込むよ)
B: Come on, maybe it’s a blessing in disguise. Now you can find someone who truly appreciates you.
(大丈夫だよ。もしかしたら不幸に見えて幸運かもよ。これで本当に君を大事にしてくれる人と出会えるよ)
なんとなく使い方がわかりましたでしょうか。
今のこの物価高,不景気…
どうか “Blessings in disguise”でありますように。
そして,早く結果がでますように!
ということでまた来週〜♪
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。