おはようございます。
木曜日のCozyです!
アメリカンレトロなインテリアのレストランでランチをしていたときのこと。
ドリンクバーやサラダバーがあるお店なのですが,結構人が並んでいたので,私は席でぼーっと周りを眺めて空くのを待っていました。
壁には古き良きアメリカ時代のポスターや看板がずらり。
その中に,ちょっと色あせた古い広告でしょうか,
“Stationeries”
と書かれたポスターがあったのです。
ふと,
「なんで文房具って “stationery” って言うんだろう?」
と思ったのです。
だって,“station” といえば「駅」ですよね。
文房具との関係って,なんだろうって思いません?
あなたはこの謎,わかりますか?
― “station”…もともとの意味―
「もしかして,駅で売っていたから?」
「駅員さんが使う道具だから?」
あるいは,「station」ってそもそも『配置する場所』という意味もあるし……うーん,ますます混乱してきます。
でも考えてみると,英語ってこういう “似ているけど関係ありそうでなさそうな単語” がけっこうありますよね。
しかも綴りや発音が似ていると,なんとなく同じ由来だろうと思い込んでしまう。
でも実際のところ,意外な歴史や背景が隠れていることも多いんです。
ではまず, “station” の意味をちょっと広げてみましょう。
“station” は,私たちは「駅」と思いますよね。
でももともとの意味は,「立ち止まる場所」を意味するラテン語の “statio”に由来しているんだそう。
ローマ時代には,軍隊の宿営地や駅馬車の休憩所など,
「人が集まって一時的に滞在する場所」
を指していました。
中世になると,
「聖職者が巡回で立ち寄る場所」
や,城塞の一部など,
「活動の拠点」
を指すように変化していきます。
そして19世紀,鉄道の発達とともに,
「鉄道の停車場」
という意味で定着しました。
現代では,「駅」だけでなく,人が集まって活動する場所全般に使われます。
たとえば
“fire station” は消防署,
“police station” は警察署,
“radio station” は放送局
どれも,
「ある目的のために人や物が集まり,そこを拠点に活動する場所」
という共通点があります。
“station”のもともとの意味は「立ち止まる場所」ですが,時代を経る中で
「活動の中心地」
というニュアンスが加わり,現代では駅から消防署,警察署,放送局まで,あらゆる“拠点”を表すようになったのですね。
― 文房具との関係は?―
では,それがどうして「文房具」と結びついたのでしょうか。
実は “stationery” の語源は,中世ヨーロッパの商売人 “stationer” に由来するのだそう。
彼らは市場や街の一角など,決まった場所に店を構え,本や紙,インクなどを売っていました。
当時の本は手書きか印刷直後の貴重品で,扱うのは移動販売ではなく,
固定の店=“station”
に腰を据えた商人だったのです。
だから “stationer” が扱う商品をまとめて
“stationery”
と呼ぶようになり,やがて現代の「文房具」という意味に定着したんですって。
えー,そうだったの!?って感じじゃないですか?
そう考えると,「駅」と「文房具」は直接の関係はないのに,もとは同じ
「固定された場所」
というイメージから枝分かれしている,ということなんですね。
つまり
“station” という固定された場所で売っている人のことを “stationer” といい,彼らが扱っていた「本や紙,インクなど」を “stationery”と呼ぶようになった,というわけなのです。
もうここで,
「100へぇ」くらい押したくなっていませんか?←古っ!(笑)
ちなみに,文房具は “stationery”と書きますが, “e”ではなく “a”の“stationary”とすると,
「動かない・静止した」
という意味になります。
綴りは似ていても意味が全然違うんですね。
でもやっぱりもともとの意味の「固定された」から考えると,こちらもイメージがつきやすいと思いませんか。
“stationery”と “stationary”,街中のポスターや看板でも,たまにこのスペルミスがあるので,もし見つけたらどっちの意味なのか考えてみてくださいね。
英単語って,こうして由来をたどると,
「なぜそう呼ばれるのか」
がストンと腑に落ちますよね。
次に文房具店の看板を見たとき,あなたはきっと頭の中で中世の “stationer” の姿を思い浮かべるかもしれません。
そしてその足で, “stationery”を買いに行くのです。
決して “stationary”の状態にはならないで,前に進んでくださいね(笑)
それでは,今日も良い一日を!
See you next week~!
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。