所変われば,食も変わる。
いろんな地方で美味しいものを味わう,っていいですよね。
おでんやお雑煮をみても,同じ日本国内でも地方によって様々な味や具材,食べ方の違いがあり,それぞれに素晴らしい特徴があります。
国内でもそんなに違う日本食。
そんな日本食を代表してお寿司が海外へ渡ると・・・
それはまた違った変化を遂げるのです。
変化を知れば,その国の文化が見えてくる,
そう言っても過言ではないその変化とは?
―おしゃれなSushi Barは,寿司もオシャレ?だった―
San Diegoで寿司バーに行った時のこと。
店内は日本の寿司屋の雰囲気とは程遠い,薄暗くネオンサインがきらめくクラブのような感じ。
「今日はSushi Nightだ!日本食を堪能するぞ~!」
と,早速友人が頼んだカリフォルニアロールが到着。
テーブルに到着したのはアボカドが中心で,周りに鮮やかな “とびこ”をまとったもの。
そして「四角い!」(笑)
「へぇ!おもしろいなぁ。」と,一緒に供された小皿に入った「醤油」をつけて食べようと口に入れた瞬間,
醤油だと思っていたそれは,
Teriyaki sauce!
そうなんです。
アメリカ人はテリヤキ大好き!
これは日本でも,「鰻や穴子」用に甘いソースもあるので許容範囲。
醤油だと思って食べたら甘かったので,自分の脳が混乱しただけです。
でも・・・別の小皿には,別のソースが・・・
明らかに「マヨネーズ」,メイヨーです。
ピリリと辛いスパイシーメイヨー。
「お好きなソースでどうぞ!♡」って,
でもね,いいんです。
アメリカだもの。
現地仕様バンザイですもの。
こういう「違い」を体験するのも海外生活の醍醐味。
そして,さらに驚くのは
Sushi Roll Tempura!
日本食といえば,「寿司」と「天ぷら」!
じゃあ,一緒にしちゃえばいいじゃん!とアメリカでマリアージュされてしまったのが
寿司天ぷら!
衣をつけて揚げた巻き寿司に,テリヤキソースとサウザンアイランドドレッシングを書けたようなもの。
そして,クリームチーズをトッピングして,ポップでかわいらしい巻き寿司も。
(実際のものとは異なりますが,概ねこんな感じ)
これはもはや別料理です。
日本人が持つ寿司の概念を捨てて,「こういう食べ物」と思って食べると,まあ意外とイケル。
でもなんだか楽しいんですよね。
Japanese Sushiとか言っているのに,現地の人好みの味や見た目に変身している。
それを体験するのって,本当に楽しい。
だって,本物の日本食をきちんと出しても現地の人の口に合わなければ,「日本食って不味い」って思われてしまうかもしれないじゃないですか。
なのに,アレンジすることによって「寿司って美味しい!」って思ってもらっているわけです。
一昔前までアメリカでは,「刺し身を食べると腹の中に虫が湧く」って言われていたんです。
でも,今は握り寿司も刺し身も受け入れられている。
そこには,現地の人に合わせたアレンジがあったからなんだと思うのです。
―インスタントラーメンだって―
インスタントラーメンだって,アメリカではけっこう大雑把な味。
Shrimp Flavor(エビ味),Beef Flavor(牛肉味),Chicken Flavor(チキン味)にPork Flavor(ポーク味),中にはOriental Flavor(オリエンタル味)というよくわからないものも。
食べてみても,結構大味。
でもね,これがまたいいんです。
「ああ,こんなに日本とは味が違うんだ。」
それを知るだけでも面白い。
―日本人だって同じ―
よく「日本食を勘違いしている!」と鼻息を荒くして言う人がいますが,考えてみれば日本人だって同じことをしているわけです。
たらこスパゲティもナポリタンもイタリア食ではありませんし,中華料理には天津飯も中華丼も冷やし中華もありません。
エビチリだってそうです。
中国には乾焼蝦仁(カンシャオシャーレン)というエビ料理があります。
その乾焼蝦仁をもとに,日本人好みにケチャップを加えたものがエビチリです。
なので,日本のエビチリも中国にはない料理。
では,なぜこのようになったのでしょう。
それは,その国の料理を自分たちの口に合わせて美味しく食べようとする工夫。
だから,アメリカや海外にある寿司や日本料理も,同じく工夫されている料理なのです。
ある意味,リスペクトを込めたアレンジかもしれません。
私にとって,日本食がどのように海外で食べられているかは,その国のことも知ることができる「貴重な体験」。
日本人だからこそ体験できる,海外の違った日本食。
それも一つの異文化体験だと思うんですよね。
コロナが収束して海外へ行き来できるようなったら,ぜひ,その国の日本食を食べてみてください。
「ん?なぜこれはこんな味なのか?」
「どうしてこういう具材なんだ?」
等,疑問が出てくると思います。
そこからその国の国民性や文化に思いを馳せると,また違った見方ができるようになりますよ。
でも,なるべく現地の人がやっているお店を選んでくださいね。
アメリカは特に,「日本人以外のアジア人」が日本人のフリをして日本料理店をやっていることが多いです。
だから何気にその他のアジア料理と日本料理が混合していたりします。
まあ,それも一つの特徴として面白いのですどね💦
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。