オリンピック東京大会も終わり,現在は,パラリンピックが盛り上がりを見せています。
この日のために一生懸命に練習に励んできた選手のみなさん。
嬉しい涙,悔しい涙…それぞれにドラマがあり,画面越しでは知り得ない想像を超えた努力と苦労を考えると,ぐっと胸が熱くなります。
そんな感動を与えてくれるオリンピックとパラリンピック。
東京で開催されるのは,1964年と今回で2回目です。
実は,オリンピックと何も関係のないと思われる「あるもの」が,オリンピックと「ちょっとした関係」にあったということを知っている人は少ないかもしれません。
ええ,本当に「ちょっとした関係」ではありますが・・・
その「あるもの」とは…
「自動販売機」です。
え?どういうこと?と思われた方もいらっしゃるかも知れませんね。
今のように誰もが気軽に飲むことのできる飲料自動販売機が本格的に日本に導入されたのは,1962年(昭和37年)のこと。
アメリカの大手飲料メーカーが日本に進出してきたことから始まったと言われています。
それから2年たった1964年,国鉄(現JR)が多種類の切符を販売することのできる券売機を導入したことにより100円硬貨が多く流通し始め,自動販売機で飲み物を買う人がだんだんと増えていったのだとか。
それが東京オリンピックの年だったというわけです。
そして,さらにその3年後の1967年(昭和40年)に,100円硬貨が改鋳されたことにより,それまで以上に「100円硬貨」が大量流通することとなります。
これを機に,きっぷの券売機と共に自動販売機も増え続けていきます。
その後,爆発的に増えるきっかけとなったのが,1974年頃に世に出始めた「ホット&コールド機」と言われる飲料自動販売機
現在も当たり前のようにある,温かい飲み物と,冷たい飲み物が1つの自販機で同時に販売できる自販機です。
この「ホット&コールド自販機」,誕生から50年近くたった現在でも,「同じ機械で温かいものと冷たいものを同時にできるなんてすごい!」と,海外の人々を驚かせているのです。
―自販機数世界一は日本?―
「自販機の数は日本が一番多いでしょ?」
そう思っている方もいらっしゃると思います。
それは不正解であり,正解でもあるのです。
なんと,飲料・食品の自動販売機自体の数だけで言えば,実はアメリカが※1 448万台と,世界一。
対する日本はというと,※2 235万台なのです。
(※1 2013年 ※2 2020年 一般社団法人 日本児童販売システム機会工業会調べ)
しかし,アメリカの国土は日本の25倍。
考えてみれば,国土が広い分,数も多くなるのは当たり前。
だから,人口密度で考えるとやっぱり日本が世界一なのですね。
でも,決定的に違うのはその設置されている場所です。
日本では,屋内であろうと屋外であろうといろいろな場所に設置されています。
道路脇にはもちろんのこと,お店の前,田んぼのあぜ道など,「え,こんなところにも?」と驚くような場所でも自動販売機を見つけることができます。
しかし,アメリカを始めとする海外では,ほとんどが屋内のみ。
日本よりも治安に不安のある国が多いため,屋外に自販機を置くということは一般的ではありません。
考えてみれば,自販機の中には商品だけではなく「現金」も入っており,ある意味「レジ」が無人で放置されているようなものですよね。
防犯面を考えると,どうしても屋内になってしまうのが通常なのです。
―アメリカの自販機はシンプル―
私たちの身近にある自販機の多くはお水,お茶,ソフトドリンクなどの飲料です。
でも,その種類は数え切れないほど。
同じソフトドリンクでも,様々なメーカーがたくさんの種類を販売しており,選ぶだけでも一苦労。
また,あたたかい飲み物から,冷たい飲み物までもあります。
これは,「消費者のニーズに応えたい」とする各メーカーの企業努力と言っても過言ではありません。
夏には冷たい飲み物がズラリと並び,「へぇ,こんなドリンクがあるんだ」と,自販機ごとに違う飲み物を発見できたりして,ちょっと楽しくもなったりします。
一方,アメリカの飲料の自販機はこんな感じが一般的です。
アメリカでは一般的な自動販売機ですが,日本とはちょっと違いますよね。
このようにボタン部分が写真になっていたり,ただドリンクの「ロゴ」が描かれた大きなボタンを押して購入するだけ,というシンプルさ。
では,なぜこのような違いがあるのでしょうか。
それは,アメリカの自販機はただの「広告」の役割が強いから。
日本の自販機は,「消費者のニーズに応える」という消費者の利便性や実用性を考えた商品ラインナップになっているので,その数は数十種類が1つの自販機で販売されていますが,アメリカでは大手飲料メーカーの「広告塔」として設置されているため,せいぜい,数種類の種類しか販売されていないのです。
また,ちょっとしたスナックなどの自動販売機もあります。
これは,実際の商品がガラス越しに見えるタイプ。
欲しい商品に書かれているアルファベットと番号を入力して購入します。
最近では,日本でもこのタイプの自販機を見ることができるようになりましたね。
時折,駅などでみかけては,アメリカを懐かしんだりしております(笑)
でも,このタイプ,もう数十年も変わっていないんじゃないかというくらい同じ感じです。
ただ進化していることと言えば,その支払方法。
昔は当然のことながら,「現金のみ」でしたが,今はクレジットカード等の決済にも対応しています。
日本の自販機数は世界一とはいえ,その売上は年々減ってきているそうなのです。
今や,コンビニをはじめ,24時間営業の店も増え,さらに価格も安く買える店が増えているのも1つの理由なのかもしれません。
これまで,「ホット&コールド」のような画期的な自販機を開発してきた日本。
そして,販売するものも飲料だけではなくアイスクリームなど,外国人もアッと驚くようなものまで販売してきた日本。
ある意味,日本の文化の一つともなってきた日本の自動販売機。
最近では,「出汁」の自動販売機や,有名店のラーメンなども話題となっています。
だから,これからも世界を驚かせるような便利で楽しい自動販売機が出てくること間違いなし!
治安の良さ故にここまで自販機が「外」にある国は他にありません。
だからこそ,これからも「クールジャパン」の一つとして,自販機大国を突き進んでほしいと思います。
さて,みなさんは,次にどんなものが自販機で売られると思いますか?
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。