パラリンピックが終わって数か月。実は新しい「パラ」の意味見つけました。
前回お伝えしたパラの意味はこちらを。
今回はパラの「共生」<共に生きる>イメージにぴったりの意味です。
そこでクイズ。今回見つかった「共生」に合う「パラ」の意味とは何でしょう?答えは、次の四つのどれか
1.前
2.後ろ
3.上
4.横
ちょっと考えてみてください。
・
・
・
・
・
答えは「横」
英語に興味持つあなたなら、多分正解?
Paraがこの意味なら、パラリンピックは「(オリンピックの)横にある大会」ととれます。共生のイメージがすっと伝わるようです。
単語DNAという語源探索ツールを使い、PARA「横」で分かる英単語もいくつか見つかりました。今日はそのうちparallel(平行な)、paragraph(段落)、parasite(寄生者)を見てみましょう^^
<横にあるのは何、誰?>
まずparallel(パラレル/平行の)。先頭のparaがDNAのPARA「横」。後ろのllelは元ギリシャ語の「他」。全体では「(ある物の)横に他の物が(ある)」つまり人でも物でも二つ横に並んでいる。これで「平行」を表していると考えられます。
para(~の横に) + llel(他)→(ある物が) 他の横に(ある)→ 平行な
スキーする方ならとっくにピンと来たかも。パラレルは2枚のスキー板、平行な滑り方。確か初心者卒業位のレベルですよね。
さて語源の話に戻ると、次はparagraph(パラグラフ/段落)。先頭に「横」のPARA。graphは「書く」のギリシャ語から。昔は1頁とか2頁とかの文章の切れ目を表すのに、各段落の「横」に目印を小さく書いたそうです。全体で「段落(の横に書く、文章が切れてる印)」ほどの意味。
para(~の横に) + graph(書く)→段落(の横に書く、文章が切れてる印)
英語の読み方でパラグラフリーディングってお聞きになったことあるでしょうか。一文毎でなく、段落毎に大きく英文の流れを掴んでいく読み方。
さて語源は最後の例になりました。parasite(パラサイト/寄生虫・寄生生物) 。「横」のparaの後に、siteは元ギリシャ語。「(パン・穀物等の)食べ物)」の意味だそうです。全体は「横で(食物を)食べる(者)」。寄生の感じがよく表れているようです。
para(~の横に) + site(パン・穀物)→横で(食べ物を)食べる(者)→ 寄生生物
<実際は「共生」と真逆だった?>
さきほど述べた「パラは共生が理念」。少し前ですがパラ観戦されたなら、あなたはどう感じたか覚えてますか?私パラに「共生」という温かさより…寒々しさだけ感じたというのが率直な所。
つまり、百分の1秒、数㍉までの闘争。車いすの激突。メダル逃したパラアスリートが嗚咽.. 共に生きると言うより、相手を蹴落とす殺伐さだったと言えば言い過ぎでしょうか。
競争は有害かも、と結構話題になるようです。共生を謳いながら、実際は何から何までメダル争奪戦。これどう考えても変。パラには「競わず争わない」種目もあるべきと思います。英国の哲学者ラッセルも「大事なのは他人に競り勝つことではない。己が秀でること」と言ってるみたい。
しかし、「競争しない」スポーツ…と聞いても分かりにくいかも。「競技」と言う位、スポーツと言えば「競い争う」のが普通だから。糖質ゼロの飲み物風に、スポーツを「競争ゼロ」にできるのか…
あなたも少し考えてみてください。
やや細かくなりますが…一例として、皆で共通の課題を行うなら競争はゼロのはず。この「課題方式」で、仮にボッチャをやったらどうなるか考えてみました。ボッチャは、普通は球を転がし的球に近づけるのを競う競技でした。
課題は、皆で協力しボッチャ球で床に五輪マークを描くこと…とします。大きな五輪ができ上がるよう、めいめいが玉を投じていく。拍手の中、いびつな五輪がだんだん姿を現す…という具合。
これが「競争ゼロ」種目の一つのイメージ。競争が消え協力が生まれる、派手さより温もりが伝わる…こんな期待、私だけ?でもとにかく一つでも二つでも、こんな「競争ゼロ」種目を試合後やってみたらどうでしょう。殺伐さが薄まり和気藹々な感じになる予感が…
アイディアは考えればいろいろ出てくるはず。協力的「競争ゼロ」スポーツの研究者Terry Orlickの本には約200種類も。工夫を重ねて、将来共生のイメージに合うパラになっていけばいいですね。
あなたは、世の中の競争主義そのものに違和感を持つ方かも。そうでなければ、最後まで読んでくれなかったはず。有難うございました。そんなあなたにお子さんがいるなら、子供たちが競争せず力合わせる遊び方。きっと色々思いつくでしょうね。
追伸
本文中で取り上げたもの。
Cooperative Sports and Games Book
Terry Orlick Pantheon(1978)
https://www.amazon.co.jp/dp/0394734947/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_7QYHJ2RWJ3R78E22H4YX?_encoding=UTF8&psc=1
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員