今年の夏は,もう嫌になるくらい暑い…。
愛犬とのアサンポも朝6時に目が覚めると
「ヤベッ!」
とダッシュで起きて出発です。
6時だってもう暑い。
だから本当は5時台に行きたいのです。
が! たまに寝坊してしまうのです…
と,そんなアサンポではいろいろな人と顔見知りになり,自然と挨拶をします。
「今日も暑いね!」
「湿度が高いよねー。」
なんて他愛のない挨拶をして,また散歩を続ける毎日。
さて,この「暑いですね。」
あなたならどう英語にしますか?
― “hot”にお気をつけを―
昔,高校生の受験指導をしていたころ,とある精読の教材にこんな一節がありました。
「私たちはなぜ人と会った時に天気の話をするのか?」
たしかに,「暑いですね」「寒いですね」「いい天気ですね」などと天気のことを挨拶代わりに言ったりします。
これは年齢を重ねるごとに増えていく気も…^^;
その教材には,
「それはおそらく,意見の相違のない安全な話題だから」
と理由を述べています。
たしかに,政治の話,他人の噂話,好きな球団の話,などを「共通の話題」としてしまうと,
「自分の支持政党は違う」
「人の噂話なんて興味がない」
「その球団は好きじゃない」
と,思いが食い違った話になってしまって微妙な雰囲気になってしまうかもしれません。
その点,天気であれば基本的に安全ですものね。
熱中症になりそうなほどの猛暑に,
「今日は寒いね」
なんて言う人はきっといませんよね。
と,ちょっと話はずれましたが
「暑いです」という英語,あなたは次のどちらが適していると思いますか。
1. “I’m hot.”
2. “It’s hot.”
・
・
・
答えは
2. “It’s hot.”です。
天気や時間,距離などを表す場合の主語は “It”を用います。
でも,「自分が暑い,のになぜ “I’m hot.”じゃないの?」
と疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
多くの英語の教材や説明では,
“I’m hot.”には,「自分はセクシーだ。」「(性的に)興奮している」という意味があるので使わない方がよい,と書かれていたりします。
確かに,
“She’s hot.”(彼女はセクシーだ。)
“He’s hot.”(彼はイケてる。←死語かしら?)
“You’re hot.”(あなたは魅力的だね。)
なんて言いますので, “I’m hot.”と言うとそういうとらえ方をされることはあると思います。
が,がですよ!
A: Phew! It’s like summer today.
(ふぅ!今日は夏みたいだね。)
B: Yeah, I’m hot.
(だよね,暑いよ。)
のような話の流れで, “I’m hot.”と言ったとします。
そこで,
「え,君がセクシーだって?」
なんて思われませんので大丈夫。
話の流れから,「暑いんだな。」と思ってもらえますし,
同じ部屋にいる人から,
“Are you hot?”
(暑い?)
と訊かれた場合でも,
“Yes, I’m hot.”
(ええ,暑いです。)
という答え方はごく自然です。
ですので, “I’m hot.”が絶対にダメというわけではありません。
ただ,先に書いたように気温の話もしていない場合,「自分以外」の人に対して
“She’s hot.”(彼女はセクシーだ。)
“He’s hot.”(彼はイケてる。)
“You’re hot.”(あなたは魅力的だね。)
というのは避けましょうね。
勘違いされてしまうかもしれませんので^^;
―他にもまだまだある “hot”―
基本的に “hot”は「暑い」ですよね。
でも,「熱い」という意味もあります。
英語には「お湯」という単語がないので,
“hot water”と言えば,「(熱い)水」=「お湯」になります。
さらに,
「今,◯◯が熱い!」
「ホットな話題」
のように,ブームのようなものに対して使われる「熱い!」がありますよね。
これもそのまま “hot“。
“The hot topic in our city this week is the summer festival.”
(今週、私たちの街で話題になっているのは夏祭りです)
のように使うことができます。
― “hot”と “spicy”―
そして,「辛い(つらい,じゃなくて からい)」という意味の “hot”。
その “hot” を書こうとすると,どうしても出てくるのが
「レッチリ」こと “Red Hot Chili Peppers”(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)。
言わずと知れたアメリカのロックバンドです。
これは直訳すれば,
「赤唐辛子」。
唐辛子って辛いですもんね。
そんな「辛い」も “hot”なのですが, “spicy” という単語もあります。
これって一体どう違うのでしょうか。
実は,「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ」を意識すると覚えやすいかもしれません。
“hot”も “spicy”も同じ「辛い」を意味していますが, “hot”の場合は「熱い」という温度も含まれているので,
「食べると舌がヒリヒリして体が熱くなって体温が上がる感じ」
なのが “hot”。
舌がピリピリして体がカーっと熱くなる「唐辛子」って,まさにそんな感じじゃないですか?
なので,唐辛子の辛さは “spicy”ではなく “hot”で表現するんですって。
だから “Red Hot Chili Peppers”も “Red Spicy Chili Peppers”とは言わないのかもしれませんね。
では反対に, “spicy”をみてみましょう。
“spicy”は,カレーなどのようにスパイスを効かせた辛い料理などに対して使われます。
ですので厳密に言えば,インド料理などは “spicy”で,四川料理などは “hot”なんだそうですよ。
でも,どっちを使っても通じますし,ネイティブでも使い分けを気にしていない人も結構いるそうなので,その時は自分の思いついた方を使ってOKですよ(笑)
そういえば,昔こんなことがありました。
友人に日本の食べ物を説明していたときのこと。
もう何の食べ物を説明したか覚えていないのですが,たしか
“It’s hot.”と言ったんです,私。
すると友人は,
“Spicy hot or temperature hot?”
(辛いの,それとも熱いの?)
と訊いてきたんですよ。
「ああ,同じ “hot”でも[辛い]と[熱い]ってこうやって確認することもできるんだ!?」
と関心したのを覚えております。
ああ,辛くて熱い料理を食べたくなってきました。
外はまだ暑いのに。
さあ,そんなあなたは,
「お熱いのがお好き」(Some Like It Hot)(笑)
それではまた来週〜♫
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。